墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

平成マシンガンズを読んで 121

2006-11-09 19:40:28 | 

「お医者さんごっこでもしようかぁ?」

「え」

「安心しろ、内科じゃない。歯科だ。ギュィーンン、ギュゴー。はい、次の患者さん!」

「えっとぉ、歯が痛いんですけどぉ」

「どこらへん?」

「うーっと、奥歯」

「どの奥歯?」

「左の下の奥歯あたりが痛いような」

「はいアーン」

「アーン」

「これ痛い?」

「いたふぅないでふぅー」

「これは?」

「そこそこ。そこがぁいたいでふぅ」

「あー。ココが確かに虫歯だ! ギュイィイイン!」

 沈黙。

「てなふうに、痛いところと痛くないところが分けらなきゃ、歯医者さんだって治療できない。逆に痛くもない歯を勝手に痛そうだからという理由でけずる歯科はヤブだ」

「たふぃかぁに」

「もう、口を閉じていいよ。次は『動物のお医者さんゴッコ』だ」

 死神は枕を手に取って私に渡した。

「この枕はグリーン・イグアナだ。そして、君は爬虫類愛好者。そして俺は動物のお医者さん。君のイグアナがなんだか昨日からとても元気がない!」

「先生! この子、昨日から食欲も元気もやる気も無いんです。助けてあげて下さい!」

「あー、どれどれ。うんうん、立派なトカゲだ。確かに元気がないようだね。ところで、このトカゲは、なんていう名前のトカゲなのかね?」

「え?」

「君の大事なグリーン・イグアナを、なんていうトカゲだねという医者に任せられるか? 種の区別もついてない医者なんかに任せたくないはずだ。トカゲの種類の区別もついてない医者には、正確な治療なんか無理だろうと考えるはずだ。正確に他と分けられないモノは、分かってないと判断されるし、そして、ソレはだいたいそのとおりだ」


平成マシンガンズを読んで 120

2006-11-09 19:02:07 | 

「例えば、道に立っている郵便局のポストを、郵便局のポストだと理解している状態とは、どんな状態だろう?」

「え?」

「同じように道に立っていてもポストと電柱は違うよな。どうやってポストと電柱を区別している?」

「ポストは赤いし、郵便局のマークがあるし、鉄で出来てる」

「じゃあ、電柱は?」

「灰色で、ポストより高くて電線がついてる」

「ようするに、見た目や感じで、ポストと電柱を分けているわけだ」

「そうだと思う」

「でも、色や材質の違いだけでポストをちゃんと理解していると言えるのかな? もしかしたら『ポスト小泉政権』か何かと勘違いしているかもしれない」

「ポストにハガキを入れると宛先に届けてくれる」

「それだよ!」

「それなんだ」

「見た目と役割の違いから、きちんとポストは電柱とはちがうと分けられてこそポストをちゃんと理解したという状態となる。ポストは赤くて郵便を届けてくれるし、電柱は灰色で高くて電線がついてて電気を送電していて電気を使いすぎるとデン子ちゃんに怒られる。同じように道に立ってていても、ポストと電柱は見た目も役割も違うとハッキリ区別している状態が、ポストを『分かっている』という状態だ」

「分けなきゃわかんないってこと?」

「そう、コレとソレは見た目も役割も違うという方法でしか人間は理解することができない。境界線の無いあやふやな物は実際にあってもなかなか理解できない。例えば、ニュートンが『万有引力』を発見し、それを説明できたのも、引力のはたらきはコレコレだと他の自然現象と分けて説明出来たからだ。リンゴが落ちるのも人間が空に浮かばずに立っていられるのも引力のおかげだと、他の自然現象によって起こる現象と、引力によって起こる現象を、正確に分けられたからこそ『万有引力』は認められたのだ。磁石が砂鉄を引きつけるのも『万有引力』のおかげだとニュートンが言ったのなら、きっと、なんでやねんと突っ込まれていたはずだ」

「ポストと電柱は違うと分けられる事が、わかる事?」

「そう、ポストと電柱は見た目も役割も違うと分けてこそ分かった事になる。例えば、幼いガキンチョが、切手も貼らずにサンタさんへの手紙をポストに投函したなら、このガキはポストのなんたるかを理解していないと推測される。まずは、郵政制度のなんたるかを小1時間ほど説教してやろうかと、そうは思わないかね!」

「まぁ、説教はともかく、その子供はポストの役割をきちんと理解していないよね」