墨汁日記

墨汁Aイッテキ!公式ブログ

平成マシンガンズを読んで 107

2006-11-01 19:21:54 | 

 いやいや、私もまだまだ青いな。
 トイレの電球ひとつで思わず泣き出しそうになった。我ながら恥ずかしい。
 と、自己反省しながら洗面所で手を洗って、ついでに顔を洗って歯をみがいて髪をとかしてシャツを着替えて居間に戻ると、死神は私の夏休みの宿題の読書感想文を読みながらワラっていた。

「こらっ!」

「コラコラ言うなよ」

「感想は?」

 笑った以上は笑う理由が聞きたい。

「感想文への感想か。内容はともかく最近の子は究極に本気で字がヘタクソだねぇ。まるで左手で書いたみたいだ」

「いや、私は左利きだし」

「本気で左手で書いてんのか?
 どーせペンの握り方も変なんだろう。
 まーいいけどねぇ。
 ぎっちょならぎっちょでプライドもてばぁとは思うけどぉ。
 俺にゃ関係ないかぁ」

 そして、死神は話題を変える。

「まぁ、そこで復讐への『プランニング』だ。
 あんたの憎しみを秩序立て、誰を本気で憎むべきなのか考えてみた。
 あんたが最も憎んでいるのは、あんたの母親だ。
 あんたの母親が母親として成り立った過程には、あんたの母の、女という存在への自己確認の甘さが前提にある。
 ようするに、女は女としてあるだけで価値があるという『女社会』のまやかしが、本当なら『母親失格』であるような人間を母にさせたのだ。
 そして、母親失格な母を、本当に失格者に追いやったのは、あんたの兄を殺した『人殺し』だ。
 あんたは、『はは』と『ひとごろし』に復讐するべきだ。
 復讐すべき目標は決まった。
 次は、どのように復讐するかだ。
 目標さえ定まったなら、プランを立ててニングした上で現在進行形で復讐するのだ!」


平成マシンガンズを読んで 106

2006-11-01 18:41:56 | 

 トイレの電球。

 アッと思った。今朝のトイレは明るい。
 ここ数日ばかりトイレの電球が切れていて、暗闇で半ドアで、外の明かりをたよりに用をたしていたのを突然に思い出した。今はしっかりトイレの扉に鍵をかけて便器に腰掛けている。

 お父さんが昨日の夜に、電球を買ってきてくれて切れた電球を取り替えてくれたのだ。
 私とそんなに背の高さの変わらないお父さんが、とーとぉと便器の上に勇ましくも立ち上がり、暗闇の中で電球を替えているイメージ映像が浮かび上がる。

 お父さん。

 お父さんさえいなければ、お母さんは、お兄さんも私も産みませんでした。お父さんが転勤さえしなければ、お兄さんも殺されずに、もしかしたら今ごろ家族4人で幸せに暮らしていたかもしれません。
 お父さんさえしっかりしていれば、お母さんがこんなにも私に辛く当たる事もなかっただろうにと恨んだ事もあります。
 でも、お父さんは、毎日のように、なにも言わずにお母さんと私という生き残った家族の為に仕事に行きます。
 お父さんにとって私たちは何なのでしょう?

 手放したくない大事なもの?
 家庭は安らぎですか?
 あなたの存在証明ですか?
 かかわってしまったから仕方なく私たちを養うのですか?

 お父さんは何を欲しているの?
 見返りはいらないのですか?
 黙って切れたトイレの電球を替えるのがあなたの存在なのですか?

 電球が天使の輪に見える。 
 お父さんの背中に白い翼が生える。

 あっ。
 解った。

 全身全霊をかけてもあなたにとって守るべき物、それが家族なのですね。あなた自身の癒しも幸福も必要とせず、家族の奴隷となっても守り抜きたいもの。
 それが、家族なのですね。

 ひどい言い方をするなら、あなたは家族を守る自分に酔いしれている。家族なんてなんぼのもんじゃと思います。
 でも、自己陶酔による自己犠牲であっても、今朝は素直にあなたに言えそうです。

 ありがとう。