いやいや、私もまだまだ青いな。
トイレの電球ひとつで思わず泣き出しそうになった。我ながら恥ずかしい。
と、自己反省しながら洗面所で手を洗って、ついでに顔を洗って歯をみがいて髪をとかしてシャツを着替えて居間に戻ると、死神は私の夏休みの宿題の読書感想文を読みながらワラっていた。
「こらっ!」
「コラコラ言うなよ」
「感想は?」
笑った以上は笑う理由が聞きたい。
「感想文への感想か。内容はともかく最近の子は究極に本気で字がヘタクソだねぇ。まるで左手で書いたみたいだ」
「いや、私は左利きだし」
「本気で左手で書いてんのか?
どーせペンの握り方も変なんだろう。
まーいいけどねぇ。
ぎっちょならぎっちょでプライドもてばぁとは思うけどぉ。
俺にゃ関係ないかぁ」
そして、死神は話題を変える。
「まぁ、そこで復讐への『プランニング』だ。
あんたの憎しみを秩序立て、誰を本気で憎むべきなのか考えてみた。
あんたが最も憎んでいるのは、あんたの母親だ。
あんたの母親が母親として成り立った過程には、あんたの母の、女という存在への自己確認の甘さが前提にある。
ようするに、女は女としてあるだけで価値があるという『女社会』のまやかしが、本当なら『母親失格』であるような人間を母にさせたのだ。
そして、母親失格な母を、本当に失格者に追いやったのは、あんたの兄を殺した『人殺し』だ。
あんたは、『はは』と『ひとごろし』に復讐するべきだ。
復讐すべき目標は決まった。
次は、どのように復讐するかだ。
目標さえ定まったなら、プランを立ててニングした上で現在進行形で復讐するのだ!」