時は西暦2018年。
俺の名前は木村実。
なんだけど。
じつは俺って1人じゃないんだ。
俺は5人いる。
いつつごなのだ。
いっぺんに「オソマツ君」みたくにボロボロと5人そろってお袋の子宮から産まれた。
その上に、うちはどういうわけだか大家族で、俺たちが産まれる前にすでに兄弟だけで野球チームがひとつ出来るほどの人数がいたので、親父ももう名前をつけるのがめんどうになったのか、俺たち5人みんなまとめて「実」と命名した。
さらに、俺たちの後にも弟が1人と、双子の妹が1組いるので、すでに野球なら対戦が出来るほど兄弟がいる。
この少子化の時代に、信じられないほどの繁殖力の親父とお袋だ。
そんでもって、お袋は今も妊娠中なので、近い将来は兄弟だけでサッカーの対戦が出来そうだ。
俺たち5人は、「クローンみたいにそっくりね」とよく人に言われるが、一卵性五生児なのでほぼクローンみたいなもんだ。
あまりの兄弟の多さに、親父はすでに我が子の個人識別をあきらめ「コラ」とか「お前」ですませている。お袋は、それでもなんとか識別しようとしているが、俺たち5人に対してだけは識別が出来ないようだ。
ものごころついたガキの頃に、お袋から色のついた布を渡された。
「赤が、赤い実ちゃん。
緑が、緑の実ちゃん。
青は、青い実ちゃん。
黄色は、黄色の実ちゃん。
白が、白い実ちゃん。
ね、あなた達は5人で1人じゃなくて、本当はひとりづつなの。
この布を外しちゃ駄目、この色があなたなのよ!」
それ以前は、俺も残りの4人も全く同じ俺だと思っていた。
お袋のくれた布で色分けされてから、5人は同じ1人じゃないんだなとなんとなしに俺たちも徐々に理解した。
俺の名前は木村実。
なんだけど。
じつは俺って1人じゃないんだ。
俺は5人いる。
いつつごなのだ。
いっぺんに「オソマツ君」みたくにボロボロと5人そろってお袋の子宮から産まれた。
その上に、うちはどういうわけだか大家族で、俺たちが産まれる前にすでに兄弟だけで野球チームがひとつ出来るほどの人数がいたので、親父ももう名前をつけるのがめんどうになったのか、俺たち5人みんなまとめて「実」と命名した。
さらに、俺たちの後にも弟が1人と、双子の妹が1組いるので、すでに野球なら対戦が出来るほど兄弟がいる。
この少子化の時代に、信じられないほどの繁殖力の親父とお袋だ。
そんでもって、お袋は今も妊娠中なので、近い将来は兄弟だけでサッカーの対戦が出来そうだ。
俺たち5人は、「クローンみたいにそっくりね」とよく人に言われるが、一卵性五生児なのでほぼクローンみたいなもんだ。
あまりの兄弟の多さに、親父はすでに我が子の個人識別をあきらめ「コラ」とか「お前」ですませている。お袋は、それでもなんとか識別しようとしているが、俺たち5人に対してだけは識別が出来ないようだ。
ものごころついたガキの頃に、お袋から色のついた布を渡された。
「赤が、赤い実ちゃん。
緑が、緑の実ちゃん。
青は、青い実ちゃん。
黄色は、黄色の実ちゃん。
白が、白い実ちゃん。
ね、あなた達は5人で1人じゃなくて、本当はひとりづつなの。
この布を外しちゃ駄目、この色があなたなのよ!」
それ以前は、俺も残りの4人も全く同じ俺だと思っていた。
お袋のくれた布で色分けされてから、5人は同じ1人じゃないんだなとなんとなしに俺たちも徐々に理解した。