木工挽物という仕事

基本的には時代遅れの仕事
正反対の位置にいるブログから発信してみます
でもブログも先端じゃなくなりましたね

鍛冶屋 2

2010-12-02 17:49:14 | Weblog
今朝起きたら 体のあちこちが痛いの
えっ 急にじいさんになったんか
と思って昨日のことを振り返ってみたら
そうそう 昨日は鍛冶屋をやったんだった
15本くらい刃物を作った
刃物と言ってもまだ刃は付けてなくて鋼の丸棒をたたき出して刃物の原型を作る作業だ




どうだ!!
これで9時から14時までかかった
本当はもう10本くらいはあったけど自家製の炭が無くなっちゃったんで断念したわけ
もっともこの時間でくたびれちゃったから炭があってもいい刃物はできなかったに違いない

こんな風に刃を作る
これはたたき出しただけ



こういう具合に内側を磨くと鏡のようになる
これで外側を磨り込んで木を削る刃物ができる

僕らの仕事はこうやって自分では物を作らにゃならんから厄介だ
誰も作ってはくれない
昔、写真入りで書いたっけ
http://blog.goo.ne.jp/popg888/e/7704b5c36a9d78db34284f4994cc4b45
火の中に入れて鋼をハンマーで叩き出す



「鉄は熱いうちに打て」 っていう格言は別になんのひねりもなく通用する言葉だ
普通は子供の教育なんかに比喩するものなんだけど
この仕事してるときは 諸に体感する
少しでも冷めた時に打つとどうなるかわかりますか?
そうすると鋼(はがね)にひびが入ったりそのままポロリと折れてしまう
昨日も一回ありました
冷めてからって言う言葉・・本当に冷めてから打つわけじゃない
ほんのちょっとのチャンスを逃すとそうなる
見るからに冷めているわけじゃない
まだ十分熱いと思ってるのにやらかすのです
そしてハンマーって打つところが二つあるでしょ
両方とも同じだと思ってませんか?
実は片方は凸レンズのような緩やかな出っ張りがあり もう片方はまっすぐ平らな面なのです
だからたたき出して刃物の裏面を整えるときは凸レンズ面で叩いて 曲げる時は平らな面でする
一見同じような叩き方でも微妙に適材適所変化が必要なのです
教育と同じだよね
「鉄は熱いうちに打て」そして「その打ち方に細心の注意をせよ」ってことです



でもこういう大変な仕事はだんだんと諸外国にお願いする時代になってしまった
日本人はしなくても生きて行けるから
でもそのやり方まで忘れてしまったら どんな日本人ができるんだろう
ちょっと心配がないではないです
コメント (12)
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