ボビー野球に関して,とてもまとまった記事があったので,そのまま引用させてもらいます。
ボビー,「楽しむ野球」ラスト采配(産経新聞)
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ロッテのボビー・バレンタイン監督(59)が7日、クリネックススタジアム宮城での楽天戦で最後の指揮を執った。0-9で完敗した試合後は名残を惜しむように雨の中、ファンの声援に応え「素晴らしいチームを率いられて幸せ」と話した。日本での通算成績は493勝450敗23分け。
バレンタイン監督は2004年に、1995年以来2度目となるロッテ監督に就任。メッツなど米大リーグでの豊富な監督経験で培った手腕を発揮し、05年には日本シリーズを制した。
開幕前から退任を通告されていた今季は5位に低迷した。有終の美は飾れなかったが「野球に愛情を注いでくれた選手、ファンに感謝でいっぱい」と話した。
■万年Bクラス…ロッテを日本一に
ロッテのバレンタイン監督を語るとき、選手が共通して口にするのは「野球を楽しむ」という言葉だ。日本の野球は、つらい練習を経て試合で結果が出て初めて「楽しさ」を味わうことが多い。だが、指揮官は選手に「それまでの過程を楽しんでほしい」と説いた。
成果はすぐに表れた。復帰2年目の2005年。万年Bクラスだったチームは、31年ぶりの日本一に輝いた。渡辺俊は「それまでは追い詰めるタイプだったけど試合は楽しいものという考え方になった」。選手がいきいきとプレーする姿はファンも引き付けた。昨季の観客動員は球団初の160万人を突破するなど、人気球団になった。
一方で「『楽しむ』は最大の長所であり、最大の短所でもあった。歯車が狂ったときに取り返しがつかなくなった」と小宮山。選手は100球以上の投げ込みや目の届かないところでの特打や特守も基本的に禁止された。他チームに比べて練習不足は明白だった。打順を頻繁に組み替える「日替わり打線」やヒットエンドランを多用する戦法もマンネリ化。連勝もするが連敗も多く、昨季は4位に終わった。
昨年12月、球団は今季限りの指揮官の退団を発表。球団との確執が背景にあった。これに反発した一部ファンが応援席でフロント批判を展開した。その影響もあり、今季は開幕当初から低迷。早々に5位が決定した。指揮官は「一番楽しむことができなかったシーズンだった。球団と現場が一つにまとまれなかった。それは自分の責任」と話した。日本での指揮は通算7年。仙台がロッテでのラスト采配(さいはい)となった。最後の1年は、指揮官が目指した「楽しさ」とはかけ離れていた。(神田さやか)
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なんといいますか,コミさんの言葉に全てが集約されているんではないでしょうか。そう,
最大の長所は,最大の短所
おそらくボビーが許せないといっていた人たち(もうノーサイドなので過去形にしときます(笑))はボビー野球に後者を見て,私なんかは,かなりの部分で前者を見ていたのでしょう(もちろん,短所だなーと思うことも多々ありましたが
)。
いまや単なる「優勝」という一言で片付けられることも多くなりましたが,多分あれほど面白い優勝というのにはもう一生巡り合えないような気がするわけですよ。
31年ぶりのパリーグ制覇,そしてその勢いを駆っての日本シリーズ優勝という事実自体が素晴らしいことは言うまでもありませんが,その中身たるやすごかった。
初のマリンCSでの,松坂を打ち崩せないまでも球数を投げさせて降板させての勝利
第1ステージ・第2ステージ通して全て1点差あるいは2点差での勝負
シーズン通しての出番すらほとんどなかった,ヘイポー・早坂君のとんでもなく大事な場面での素晴らしい守備
4-0で誰もが勝ったと思ったところからのコバマサ炎上,それにもかかわらず何事もなかったかのように最終戦でのマウンド送り出し&素晴らしいガッツポーズ
1点差の7回でアジアの大砲に代打の代打を送り,しかも送られたカッキーが見事にヒットを放つ
そして何より,8回無死1,2塁1点差ビハインドで,(一部のロッテファン以外は)誰もが送りバントと思ったところで,サブちゃん強攻→失敗,しかしその打ちひしがれるサブはおろかチーム全体さらには全てのファンを救うサトの奇跡の逆転打
(当時の激戦のスコアは
こちらから(26ban.com様毎度お世話になってます))
さらには,日シリでも
3戦連続2桁得点というお祭り騒ぎ
パ・リーグファンですらあんまり知らなかったであろうタスク(ゴメン)の,伝説となった球児のフォーク撃ち
これまた伝説のツヨのプッシュバント
ほとんど守ったことのないセカンドゴリの最終回のファインプレー
なんというか本当にすごかった,まさしく奇跡のような試合運び。単なる優勝あるいは強豪チーム化というのであれば,ひょっとしたら他の人でもできたのかもしれない,あるいはもっとうまくやれたのかもしれない。でも,選手自身が楽しんでやる,そして選手全員で勝つというあの素晴らしかった野球は,やはりボビーでなければ決してなしえなかったことだと思います。
ある意味,パーフェクトの山井君を9回頭で下げる落合采配とは対極に位置する野球。それが私が好んで止まなかったボビー采配の真髄ではなかったかと思います。しつこいようですが,もうあの年だけで自分としては十分お釣りが来ています。たとえその後チームがぼろぼろになろうが,まあそれは快楽を追求しすぎた結果かと(苦笑)
改めて本当にボビーありがとう。来年からは,1ファンとして遠い空から見守っていてほしいと思います
(近くの別のチームからというオチはさすがにないでしょうな・・・)。
さてさて,とはいえ,それはあくまでボビーの野球。あまりにオリジナリティが強すぎて,とても他人で真似ができることではないもの,またすべきでもないものでしょう。
あとを引き継ぐ西村監督は,早速,自分の野球をやることを宣言したようです。
ロッテ 西村新監督を発表
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ロッテは8日、バレンタイン監督に代わる来季の新監督に西村徳文ヘッドコーチ(49)が昇格すると発表した。2年契約で、契約金はなく年俸は5千万円。背番号はコーチ時代と同じ「78」。
ロッテでは八木沢荘六元監督以来、16年ぶりの生え抜き監督は「球団への愛情は誰にも負けない。常勝軍団をつくるために全力で頑張る」と抱負を述べた。
西村新監督は22日、鹿児島の秋季キャンプで本格始動する。2年連続Bクラスチームの再建へ、早くも来季キャプテンに西岡を指名。目指すスタイルについては「わたしの野球をやる」と前監督と一線を画すことを強調。「わたし自身が無名でプロ入りした。必死に練習するのが大事」と猛特訓復活の考えも示した。
西村新監督は宮崎・福島高から鹿児島鉄道管理局を経て1982年にドラフト5位でロッテ入り。チーム一筋にプレーし、俊足巧打を武器に首位打者や盗塁王に輝いた。97年の現役引退翌年からコーチを務めていた。(金額は推定)
▼ロッテ・西村徳文新監督の話 いつかは監督になることを目標にしてきた。不安は一切考えず、前向きに。今までの反省から細かいプレーをやらないと勝てないのが頭にある。そして打つ、走る、守るでアグレッシブな姿勢を前面に出していく。
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一問一答
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グレーの球団旗に似た色のネクタイを締めた西村新監督。愛着あるチームの再建に意欲を見せた。
――ロッテ一筋28年目の就任。
「いつかは監督になることを目標にしてきた。前監督はファンには大変な(人気の)方だった。同じようにはできない。不安はたくさんあるが、一切考えず、前向きに」
――背番号は同じ78。
「(コーチ就任時に)七転び八起きということで決めた。そこを変えるつもりはないので」
――目指す野球は。
「今までの反省から細かいプレーをやらないと勝てないのが頭にある。そして打つ、走る、守るでアグレッシブな姿勢を前面に出していく」
――どこから着手する。
「1年間戦えるだけの体力を付ける。僕自身が練習で結果を残してきた。量的には多くなる」
――西岡をキャプテンに指名した。
「一番適切な人間。彼みたいな若い選手に引っ張ってもらうしかない」
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西村監督は,その堅実(そう)な性格に見合ったきちんとした野球をやることを目指していくようです。
彼がヘッドコーチとして力を出し切れなかったことが一つの不安材料にはなっているようですが,ご存知の方も多いとおり,ボビーって,とにかく独裁者というか,コーチもあくまで御用聞きあるいは伝達役,もしくは怒られ役のような存在で,実質的な裁量がほとんどなかったというのは有名なところ。優勝後の雨後のタケノコ本の一つで,西村さんが「選手が結果が出ない場合に,選手でなくコーチがしかられる。なかなか仕えるのは大変です(笑)」といった愚痴とも本音ともつかない発言が載っていて,ボビーの下でコーチをやるのって大変なんやろな・・・としみじみと思ったことを覚えています。
まあ,フロント主導の監督選出出来レースには思うところはありますが(苦笑),ボビー野球の功罪を知り尽くした男が,それを反面教師として,時には模範として自らのチームを作っていくというのは悪くないことだと思います。
何せ野球は百人のファンが百通りの監督になるというくらいあって,新監督に言いたくなることはいろいろと出てくるとは思いますが,やはり2年はきっちりとお任せする,自由に腕を振るっていただくという気持ちで見ていこうと思います。なにせ監督業というのは孤独な仕事ですからね・・・。
まあ,何はともあれ,初仕事の
キャプテンに剛を指名
というのは,なかなか現状を考えるといい線行ってると思うので(きちんと周りの反応を読める人なんですね(笑)),それなりに期待しつつ見守っていこうと思います。
何はともあれ
西村新監督,来年からよろしくお願いします!
それではおやすみなさい
PS:新里君は球界を去るか・・・。さみしいものです。あっ,タスクは個人的には去年行っとくべきだったと思っているので,個人的には挑戦の決意は支持したいと思います。
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