皮膚呼吸しか知らない蛙

アスペルガー症候群当事者が、2次障害に溺れることもありながら社会に適応していく道のりを綴っていきます。

ウェクスラー成人知能検査 - 解釈に関しての個人的見解① -

2009-06-23 23:34:34 | ウェクスラー知能検査

以前に掲載した記事 ウェクスラー成人知能検査 事例 - WAIS-Ⅲ検査結果 - 及び、本カテゴリー内の記事の内容がかなり抽象的で分かりづらいんだな、と思ったので少し表現方法を改めて書いてみようと思う。

ワタシは個人的にはWISCやWAISで解ることというのは非常に少ないと思っている(現行の解析法では)。
ウェクスラー知能検査の生みの親、デイヴィッド・ウェクスラーが関与していたかどうかは別にせよ、知能検査の類は先の大戦における軍事エリートの養成、ひいては優生学の観点に端を発していたりする。
現在はそのような使われかたはしていないにしろ、やはり点数の出る検査というのは他者比較で優れている・劣っている、個体内での出来不出来に一喜一憂しがちであるが、得られた結果から推論し、自身の実生活に生かすというのが目的であるので、検査の点数に憂慮する必要はないと思っている(といってもやっぱ悩むのはワタシも含めたヒトの性・・・。

児童への対処を目的としたWISC結果からの大まかな対応法の指針、WAISに応用する際の目安としての群指数等の解釈は、

軽度発達障害の心理アセスメント―WISC‐3の上手な利用と事例 (単行本)
上野一彦氏ほか
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が個人的には読みやすくて良著ではないかと思っています。
やっぱりムズカシイことを書いてる本はムズカシイですし、それを勉強するほど時間的余裕のない方が殆どでしょうから、この本のように簡潔に要所を纏めてもらうと読みやすいのではないかと思います。


さて、以下は全く個人的見解です。
ワタシは現在のWAIS-Ⅲの理論には懐疑的ですが、ここでは省きます。
まず各種心理検査というのは、主訴という困難の訴えがあり、それを論理的にまとめ上げるために使用される道具の一つです。
ですので、普段の話し合いにおける話の内容、印象、態度、行動に加えてバウムテストやロールシャッハテストなど複数のテスト(テストバッテリー)の複合的結果を統合したうえで、困難の主要素を抽出するというのが目的となると思います。

様々な要素から、推論を立て、論拠を結果で補強してゆき、被験者の抱える困難の状況を明らかにする。数学の証明問題の様な論理的証明に近い分析行為でしょう。

ここで重要となってくるのは、各種下位検査の素点もそうですが、検査中どういう行動を取っていたか(例えば聴覚だけで聞く設問で何度も聞き返すや、時間制限に焦るや、間違えないようにと時間を気にせずじっくり取り組むetc...)というのは重要になってくると思います。つまり各下位検査の点数というより複数の検査で辻褄の合う傾向を示しているところに着目するというのが、この検査の要点になってくるということです。

なんて言いながら、下位検査について改めて書いてみます。

言語性検査においては、「知識」は単純にその事柄を知っていれば答えは一つという前提の設問であり、知ってるか知ってないか、知ってるつもりか、うろ覚えか、とか色々ある。うろ覚えのものは答えないという主義のヒトもいるかも知れない。
教養問題として、普段の教育水準を測るのが大きな要素になっているだろう。
言語概念の統合、長期的記憶という要素にも関連していると思われる。

理解」は社会的ルールや日常的問題を口答で相手に理解出来るように話すことを要求される。知識、単語量にも左右されるが、口頭説明能力というのも問われるだろう。また、経験や被験者の得意とする分野、言い回しにも影響され、それが設問者の社会的認知とかけ離れていた場合、ある種の困難が見いだされるだろう。但しs津問者もヒトであり、設問者の知らない知識を有している可能性もあること、明確な答えが存在しないことから、設問者の考え方にも左右される検査である。

算数」は聴覚的短期・長期記憶と、単純に暗算能力が問われている設問だと思われる。数の扱いというよりは、算数に関する能力と注意集中、聴覚的記憶に依存するように思われる。

単語」は教育水準及び語彙量もさることながら、具体的対抽象的、または叙述的対概念的、あるいは機能的対概念的といった観念分類というパーソナリティ的特徴、それらが全設問を通して一貫しているか、ある種の言葉では態度や口調が変わるか、結構被験者の認知特性を読みとれる要素は多い。

類似」は言語と言語の繋がり(統合)を求められているので、各設問でかなり印象の違う答え方(幼稚な発想をしたかと思えば、非常に知的な結合をしているなど)などは後の判断の対象となる。社会背景や認知特性、独特の統合方法など、かなり読みとれる要素は多い。

数唱」は順唱、逆唱、数字・アルファベットが混同しており、聴覚的短期記憶のほか、非言語情報処理能力、複数の対象の秩序・順序を整理する能力が要求される。
順唱と逆唱でのアンバランスさ、数とアルファベットの組合せによる違い(数だけなら良好)など、読みとれる要素は多い。記憶因子も影響しているだろう。



以上が言語性下位検査の概要であるが、群指数や影響因の他、これらの詳細(間違った場所や躓き方等)を見極め、下位検査単独ではなく全体を通して整合性のある困難がどういうものかを推察するのが、本来の目的である。


ただ、ムズカシイことを理解するのはやっぱムズカシイので、自分自身が納得できる答えが得られたらあまり考えず過ごすことが、より生きやすい人生に繋がると思います(専門家に任せるのはほんとは一番)。


これまた個人的見解ですが、言語性検査で“ぶっ飛び思考”を披露できるようなヒトは有望な怪物候補なのかも知れないですね。ジョウシキの枠が大幅に異なるでしょうから。

次回気が向けば動作性下位検査に移ります。



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2 コメント

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笑いのネタ (pluto)
2009-06-24 22:19:49
>はるぼんさん
こんばんは。
爆笑を誘えるのは大きな取り柄だと思いますよ(人柄っていうすんごい武器でもありますしね

ちびぼん君はにらまれてましたかあ(汗
滑った感満載かも知れないですね。
ワタシは“キャラ的に似合わないしムカツク”と言われるところが哀しかったりします...orz
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ありがとうございます♪ (はるぼん)
2009-06-24 18:48:46
さっそくまとめていただけて、うれしいです~~。

言語性の検査中・・・
ギャグの連発でした。。。自分ではまともに答えたつもりだったのに、いざ、口から出たものが爆笑だったり・・・で、ついつい笑ってしまいましてね~~
息子も似たようなことやってましたから、言語性は母子にているかもしれません。
まあ、息子の場合・・・検査士さんににらまれてましたけど・・・私の検査士さん、一緒に笑ってくれました!ありがたや~
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