ルサンチマンには注意

相変わらず自戒テーマです。

ヒトの創り出すエネルギーというのは、結構感情に左右される。
怒りや憤りや憤慨をエネルギー触媒にすることは、確かに膨大なエネルギーにはなる。

ただ、それを使って産み出されるモノが大概ろくなモノではないというのは、歴史が物語っていたりする。
妬みや嫉みや嫉妬や復讐とか、そうなっちゃうともう手に負えない。
ここでは偏った感情ということにしておく。

ヒトの内部でなにかある種の感情が芽生えたトキ、それを素直に表に出すことが一番簡単な自分自身の対処法である。
しかしヒトというものは年齢を重ねるにつれ、自我という装甲を身に纏うようになる。
自制心という名の一種の防御壁みたいなモノである。
もともと自己防衛するための防衛機制ではあるが、使い方を間違えると手に負えない。

単純なことだが、ヒトには喜怒哀楽というものが存在する。
この四文字は四文字であるトキには非常にバランスが取れている。
個体内部の安定状態である。

では、不安定状態とはどういうことかというと、これまた単純で四文字のバランスが崩壊した状態であることは言うまでもないだろう。
実は喜だけの生活というのも、これはこれで厄介である。
喜を求めることを第一義にして生きていくということは、怒や哀や楽な道を選択しないという人生になる。
元々仙人のような生活を目指しているのであれば、喜や楽だけでも十分生きていけるが、そういうある種の覚悟が出来るヒトというのはこの世の中には滅多にいないものでもある。

ワタシの様な俗物は、小さなことに喜んで、小さなことに怒って、小さなことに哀しんで、小さなことを楽しむ。基本的には楽をしたいと思っているが、完全な楽を選択出来るほどの技量も度胸もない。

なのである一定の環境における最低限のルールみたいなものを作る。言い方によれば我慢ともとれるが、我慢という言葉は非常にしんどいので順応性ということにしていたりする。ワタシに肺やエラが存在すれば、様々な世界で動きやすくなるだろうが、どういう訳か皮膚呼吸しか知らないし出来ない。
他人目線ではなんともまあ非効率であるらしいが、本人的には皮膚呼吸しか知らないんだから、まあなんとかやっている。

これは、小学校のときの水泳の授業で“イキツギ”というものを学習しなかったことに近い。元々訳のわからない泳ぎ方で全然前に進んでないのに、“イキツギ”というものをすることを知らなかった当時は、どんなに頑張ってもせいぜい10mくらいだった。
かなりの無謀な戦略で25m泳ぎ切ったことがあるが、本気で窒息するかと思った。

まあなんというか、自分なりに環境に併せて立ち居振る舞いのパターンを構築しているようなものである。なんせ全ての感情をあからさまにして生きていくことは、今の日本ではどうやら許されないらしいから。幼稚とか幼いとかガキとか、そういう表現はとても適切な表現であり、それで許して貰えるならできればそれを通したいモノだが、そうは問屋が卸さないし、自分自身の中にもこんなんでも一応見栄みたいなものも存在する。
言語的には自尊心というものになるのだろう。


少しムズカシク言うと、個体内の感情と抑制のバランスをとっているということだろう。
これまたこの世に一人だけの世界なら、わざわざバランスなんてとる必要もないのかも知れない。
変な自尊心や見栄に該当するプライドなるものがなかったら、“わーい、酒池肉林だあ”でも構わないのかも知れない。
が、それを後で思い返すと恥ずかしくて表を歩けない、などと思ってしまったりするチキンちゃんなので、やっぱりそれなりにバランスをとる。

ヒトは個体内でバランスをとるように出来ているが、外部の刺激によってそのバランスが脅かされる状態に陥るトキ、ヒトは自己防衛でアンバランスになる。
これが一定期間持続する状態を、ヒト社会では病理と呼んでいたりする。

さて、逆境を跳ね返して・・・や、苦労は若いうちに買ってでも・・・などという言葉があったりするが、このバランサーが崩壊するほどの苦労を買っちゃうと、アンバランサーがノーマルの状態となる。これは結構やばい。
ヒトというのは大人になってから変わるというのは、かなりしんどい。
全精力を注げば、-Vが２°ほど角度を変えるかもしれないけど、Vにはほど遠い。
何度もいうが、山奥に籠もって霞を食べて生活していくのであれば、-Vだろうがなんだろうがどうでもいい。


ヒト社会で生きていくということは、どこかで誰かと関係し、その中でもバランスをとることであったりする。
ヒト社会は無限数のマトリョーシカ人形の中に形成されている。このような入れ子構造だけなら話は簡単であるが、和集合や共通集合、補集合が複合的に入り乱れていたりする。
それでもその関係性を理解できる能力があるか、その関係性なんて関係ないって言えるくらいある意味ツワモノになれれば、それはそれで過ごしやすかろうが、ワタシのような凡人はそういうヤヤコシイ関係性のなかでのパワーバランスに足下をすくわれたりする。
というか、見えてない壁に全速力でぶつかって負傷したり、となりの壁をこわして怒られたりしている。

だいぶん話の筋がズレてきているのだが、そういうことで負傷しても好きな本を読んだらバラ色の世界であったり、お隣さんに謝ってまあ夕食でも一緒に食べようか、とか考えているうちはこれはこれでバランスがとれているわけである。


世の中でなにが恐ろしいかというと、一カ所に溜め込まれたエネルギーであったりする。見た目上、“そりゃやばいだろ”という顔をしていればお近づきにならなければすむことだが、そういうモノに限ってマスクマンだったりする。キン肉マンのマスクの下の何十枚のキン肉マンのマスクをはずすと筋骨マン程度なら軽傷だが、それではすまないコトが世の中には沢山ある。

基本的に核融炉に溜め込まれたルサンチマンはやはり危険物と見なした方がいい。
だいたい弱ってるトキに限って、そういうのが巡ってくるのは偶然か必然かよくは解らないが、まあそれでも救われたと思うヒトはそれはそれで救われたヒトになる。

後から考えてやっぱり矛盾しちゃってる、とか理不尽じゃねーか、と思ってしまったら、今度は自分自身がルサンチマンを抱えることになる。
基本的に核融炉は危険物取り扱い責任者以上のヒトに任せておくことが無難である、ということに帰結する。

たまに自己チェックしておかないと、結構感染力は強い。