皮膚呼吸しか知らない蛙

アスペルガー症候群当事者が、2次障害に溺れることもありながら社会に適応していく道のりを綴っていきます。

発達検査結果アセスメント事例 - 総合所見 -

2008-12-05 18:18:36 | ウェクスラー知能検査

前回の続きです。

WISC-Ⅲの検査結果と解釈

総合所見(あ、これはあくまでフィクションです)

生育歴、行動観察および検査結果を総合すると、対象児の主訴のうち集団適応の問題、対人関係の問題に関して次の3つが要因であると解釈した。

①社会的理解の未熟さ

②場に適したコミュニケーションの基礎をなす言語概念形成の弱さ

③場面の切り替わりに対する適応能力の弱さ

本児の認知特性では、「空間視覚化」「言語記憶」「短期記憶」などの強さが認められる一方、「言語概念化」「言語推理力」などの弱さがあることが、検査のプロフィール分析から明確に示唆された。

検査結果、検査中の行動観察、生育歴、普段の生活の様子から、文化的負荷の高い知識」を得る環境に触れる機会が少なく、「常識(原因- 結果)」「社会的理解」の弱さを客観的に理解する機会が得られなかったことで、周囲からはわがままと言われて本児自身も苦しんでいたと考えられる。

また短い時間しか集中できないことは、刺激を要素ごとに処理する同時処理においてやや弱いことが示唆されたが、その影響因としては、心理的に常に不安感を抱えていることが考えられる。
これらが学習面のつまづきの要因でもあると示唆される。

心理面では、本児は周囲から叱責や注意を繰り返し受けた結果、慢性的な不安感や劣等感が生じたものと解釈した。対人関係では、基本的信頼関係に支えられた二者関係が確立できず、成長過程で社会性が習得できなかったことが要因と考えられる。 


上記から分かると思いますが、WISC-Ⅲの検査結果の数値のみに注目しすぎると、要点を見誤ってしまう可能性があると思います。


児童にとって必要なのは、
“周囲の人間が今後どのように接していくか”
“本人がどういった点に気をつけていくか”

だと思いますので、そもそもの『広汎性発達障害』という診断名は必要ない、個人的には思っています。
診断を下すことが目的ではない、という点は成人に対する検査も同じですが、“児童の発達過程における目安”として使われているという事実を間違えないように。

アセスメントレポートを、支援者達が共通認識のもと、いかに活用できるかが鍵だと思います。



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4 コメント

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Unknown (異性人)
2008-12-06 10:45:42
そのとおりです!
同感同感!!

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Unknown (pluto)
2008-12-07 00:46:35
>異性人さん
ありがとうございます。
この件に関しては、色々思うところがあるのですが、どうも自閉症・発達障害という名前が先走りとか、いらぬ誤解とかを生んでいる気がします
返信する
ブログのことで (magazinn55)
2008-12-08 04:51:52
突然ですが、コミュニケーションサイトを運営しております。
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重複してご案内になりましたらお詫び申し上げます。
なお、全く興味のない方は、削除してください。
失礼いたします。
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Unknown (pluto)
2008-12-08 21:32:31
>magazinn55さん
こんばんは。
サイト拝見させて頂きました。
なるほど、ポータルサイトを運営されているんで寸ね。
ワタシはあまりランキングとか訪問者数とかは気にならないので、今のところ保留でもいいでしょうか?
また気が変わりましたらよろしくお願いします。
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