前回の続きです。
WISC-Ⅲの検査結果と解釈
1)アセスメントレベルⅠ
FIQ=90(90%信頼区間 85~96)
VIQ=95(90%信頼区間 90~102)
PIQ=83(90%信頼区間 86~90)
VIQとPIQの差は15%水準で統計的に有意な差があった(5%水準では有意差なし)。
2)アセスメントレベルⅡ
言語理解 VC=84(90%信頼区間 77~93)
知覚統合 PO=81(90%信頼区間 75~92)
注意記憶 FD=114(90%信頼区間 106~120)
処理速度PS=92(90%信頼区間 84~103)
FD(114) > PS(92) ≒ VC(84) ≒ PO(81)
FDとPS,VC,POとの差は5%水準で有意な差があった。
・聴覚的な記憶が得意。
・言葉の操作や理解は苦手。
・視覚的な処理、絵や図の操作や理解は全般的に苦手。
といったところになるのかも知れません。
3)アセスメントレベルⅢ
下位検査項目
・<算数>、<記号探し>で「S」
・<絵画完成>で「+」
・<理解>で「W」
・<単語>、<符号>、<組合せ>で「 - 」
1.言語性下位検査に関して
<算数>が有意に高い(FDが高いのは<算数>の素点が影響)。
<理解>、<単語>が有意に低い。
2.動作性下位検査に関して
<記号探し>、<絵画完成>が有意に高い。
<符号>、<組合せ>が有意に低い。
3.プロフィール分析による強みと弱み
・強み
入力: 非本質的細部からの本質の区別。
統合・貯蔵: 言語記憶(Guilford)、空間視覚化、計画能力。
出力: 簡単な言語反応。
・弱み
統合・貯蔵: 言語概念化(Bannatyne)、言語的推理、文化的負荷の高い知識、常識(原因-影響)、社会的理解。
出力: 長い言語反応。
・影響因
文化的機会にあまり恵まれず。
以上が記録紙上で表面的に読みとれる対象児の能力のピースとして、次回推論に入ります。
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