皮膚呼吸しか知らない蛙

アスペルガー症候群当事者が、2次障害に溺れることもありながら社会に適応していく道のりを綴っていきます。

メジャートランキライザーとSSRI及びSNRIに関する一考察

2009-03-10 00:43:22 | アスペルガー症候群

※医療従事者ではありませんので、正しいコトは書いていません。鵜呑み丸飲みは自己責任でお願いします。


抗精神病薬(メジャートランキライザー)は、主に統合失調症、躁状態の治療に用いられていることが知られている。
(抗てんかん薬や抗不安薬としてGABA受容体に作用するベンゾジアゼビン系、NaチャンネルCaチャンネルに作用するバルプロ酸等が使用されることもある)。
作用としては、中脳辺縁系のドーパミン作動性ニューロンのドーパミンD2受容体を遮断することを主な狙いとしている。


定型抗精神病薬の治療効果と主要な副作用である錐体外路兆候はドパミンD2受容体の薬物親和性に相関することが分かっている。定型抗精神病薬のドパミンD2受容体遮断作用は中枢神経のドパミン経路すべてに及ぶが、中脳辺縁系(腹側被蓋野から側坐核と腹側線状体、扁桃体と海馬の一部、その他の辺縁系構成部位に投射する。報酬経路をつくることで有名)とおそらく中脳皮質系(腹側被蓋野から大脳皮質特に前頭前野に投射する。これは注意、計画、動機に関与する)への拮抗作用が主要な薬理作用と考えられている。中脳辺縁系の遮断作用が統合失調症の陽性症状の改善に効果がある。また黒質線状体路や下垂体のドパミンD2受容体の遮断によって薬剤性パーキンソニズムなどの副作用が生じる。陰性症状の改善はセロトニン系の関与などが示唆されており定型抗精神病薬では改善が乏しい傾向にある。非定型抗精神病薬は定型精神病薬と比較してドパミンD2受容体への作用が緩和されており、セロトニン受容体やドパミンD4受容体、ドパミンD2受容体の解離速度などの差からより高い抗精神病作用をもち、錐体外路障害、高プロラクチン血症、心血管系副作用も少ない。そのため、2008年現在、統合失調症の第一選択は非定型抗精神病薬である。

<Wikipedia 「抗精神病薬」より引用>


ドーパミンは中脳黒質を起始とし、目的ある運動、感情、思考、記憶蓄積に作用する。抗精神病薬は、中枢縁辺系・中脳皮質系への拮抗作用(ドーパミンD2受容体遮断作用)を期待され、統合失調症の陽性症状の改善に効果があるとされている。


躁状態を伴う双極I型障害と、軽躁状態を伴う双極II型障害、急速交代型(Rapid Cycler)に関しては、シナプスとセロトニンやノルアドレナリンなどの脳内神経伝達物質を介した神経伝達機構に障害が生じるためであるとのモノアミン仮説が有力である気分安定薬が第一選択肢とされ、怒りや攻撃性が見られる際にメジャートランキライザーを併用することが選択肢として上る。


一方、自閉圏者に用いられることのある、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)は、その名の通り、シナプス間隙に貯まったセロトニンが、セロトニントランスポーターにより再取り込み(吸収)され、再利用されることを阻害する作用を持つ。これはシナプスにおけるセロトニン濃度を高め、間接的に受容体への取り込みを促進させる効果と考えてもよいと思う。
双極性障害においては禁忌とされている処方であったりする。

SNRIでは更にノルアドレナリンの再吸収を阻害することによって、興奮神経を刺激し、やる気や気分を向上させる効果を発揮するとされている。


逆説的に考えると、統合失調症者に投与される非定型抗精神病薬が自閉圏者に投与されないのは、ドーパミン拮抗作用に由来するものではないというのが現在の学会における定説なのかも知れない。
また、ノルアドレナリン取り込み阻害に関しても同様なのだろう。
SSRIをどう解釈するかで、狭義の自閉圏者 (ここでの対象はAS及びPPDになるのだろう) に対する医学的処方が変革していく可能性はあると思う。


ここに取り上げたのは、何らかの精神疾患と処方された際に主剤として処方されるであろう薬剤であるが(大うつ病に効果が高く、副作用が強いとされている三環系等は省略)、そのメカニズムはかなり異なることが解ると思う。
基本的に一般的に呼ばれているうつ病(気分変調症、急性ストレス障害、適応障害から大うつ病障害まで)とそれに付随する疾患に対する作用が期待されており、薬物療法を行っていない当事者さんがいらっしゃることも何となくは納得ができる。

自閉圏のヒトにとって、精神科にかかるということは二次障害を罹患している場合が多いため、上記のような薬剤が処方されていると思われるが、それはあくまで二次障害対策と考えることが妥当のようなきがする。

二次障害を罹患し上記薬剤を服薬しているヒトは、薬剤遮断の際、離脱作用より急激な感覚鋭敏を体感するコトになることが考えられる(薬剤によってデフォルトの感覚を強制鈍麻させているため)。
要するに薬剤服用から遮断による変則トランス状態というところだろうか。

ここに書いた文章はあくまで、中枢神経系(Central nervous system)、脳と脊髄を含む神経系の大部分を占める領域に関する正常・異常を語っているのであり、中枢神経における細胞(orニューロン)間ネットワークに異常がある場合というのは取り上げておらず、そこに本質がある可能性はあると思う。


はあー、最近環境関連の記事まったく書いてないorz

追記:てんかん併発の場合は多少異なるだろうと思います。



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4 コメント

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Unknown (みお)
2009-05-10 15:40:04
立て続けに失礼します。
まだこちらのブログは一部しか読めていないので、もしまずいこと書いてしまってたらすみません(^-^;

個人的に、自閉圏の人にはSSRIは向かないのではないかと思っています。
薬剤過敏持ってる人が多いみたいだし。

現在私はSSRI減薬中ですが、離脱症状が人一倍酷いのも薬剤過敏と関係してるのかも、と思ったりしてます。
飲み続けてるうちにどんどん副作用が強くなってきたので止めることにしたんですけどね。
(肝心の効果は謎でした・・・)

確かに、感覚が鋭敏すぎるのはきついものがありますね。
でも、本来の鋭敏な感覚を薬で無理やり押さえつけられている感覚が、今の私にはどうしようもなく不快なので、ゆっくり時間をかけて向精神薬から離脱していくつもりです。
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思うままに書いて下さい (pluto)
2009-05-10 23:07:59
>みおさん
こんばんは。
SSRIが合わないんですね。
そういう症例もあっていいと思います。
自分の臨床データを一番知っているのは自分自身ですから。
実はワタシは薬剤過敏とか、離脱症状とか、副作用とかいまいち実感できてないんですね。
SSRIに限らず向精神病薬が痛覚をはじめとした感覚を鈍麻しているのは日々の身体状況チェックで実感してます。
ワタシ全感覚を解放したら、3分くらいしか持たなかったりするという有様でして(いやはや

ゆっくり無理なく減薬していけますように
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こんばんは (みお)
2009-05-11 00:47:44
お返事ありがとうございます。
なるほど。
plutoさんは感覚が鋭敏な部分と鈍麻している部分、両方あるのですね。
私は全体的に過敏気味なんですけど、「自閉圏」といってもやっぱり人それぞれなんですね。
「離脱症状を実感できない」というのは、減薬中の私からするとうらやましいです(^-^;

そうそう、「感受性」のところで「感じ方は人それぞれだから、押し付けないようにしたい」って書かれてましたけど、ほんとそうですね。
私も今まで散々「普通」を押し付けられてきて、しんどかったんですよ。
自分にとっての「常識」が相手にとっては「非常識」ってこともあるんですよね。
自分の感じ方は大切にしつつ、他の感じ方があることも認めるっていう柔軟性は大事ですね。
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結構むずかしいです (pluto)
2009-05-11 20:00:22
>みおさん
こんばんは。
自分自身の過去・現在、状態の良い時・悪い時での感覚の違いはきちんと理解できるのですが(これは副次的要素が圧倒的に多い)、元から持っている感覚というのを過敏や鈍麻と表現するのは、誰かに話を聞いてもらって「そこでびっくりするんかい」というので、うっすらと自覚しはじめる感じですね。
柔軟性は持っていたいですね。
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