皮膚呼吸しか知らない蛙

アスペルガー症候群当事者が、2次障害に溺れることもありながら社会に適応していく道のりを綴っていきます。

CO2排出削減と省エネルギー政策は別物ではあるが・・・

2008-11-02 23:43:56 | 地球科学

はじめに、省エネルギー政策に関しては意義のあるものだと思います。
若干というかかなりエネルギー関連事業者からの圧力等感じなくはないですが、
その分野にお金が廻るのも、その分野の研究が進むのも概ね同意です。
基本的に省エネ製品の販売促進を“環境配慮”という名目を使ってでも促すことはユーザーの消費活動を促進し、経済が幾分活性化することや、エネルギー問題に僅かずつかも知れませんが貢献しうる要素があると感じるからです。

ただCO2排出削減の意味合いは別物としてきちんと説明・報道はして欲しいと思っています。


 省エネ製品の購入や公共交通機関の利用など環境に配慮した行動をすると「ポイント」がもらえ、ためたポイントをほかの商品に交換できる「エコ・アクション・ポイント」事業が、政府や自治体、企業がきょうりょくして全国的に始まった。
 温暖化対策の重要性への認識は高まっているものの、国民一人一人の行動には十分、繁栄されていないのが実情。環境省は「消費者行動の変化を促し、家庭部門の排出削減の柱にしたい」と普及に力を入れる方針だ。
 こんな中、「一般の消費者の行動を促す魅力的なインセンティブ(動機付け)が必要だ」(小林光環境省総合環境政策局長)として始めたのがポイント事業。家電量販店や鉄道、百貨店、銀行、旅行、不動産業者など約20社が参加した。ホームページで登録すれば誰でもポイントを活用することが可能だ。
 ある家電量販店では、電球形蛍光灯一個を50ポイントと設定した。ほかにリサイクル商品の購入、二酸化炭素排出の少ない鉄道の利用、旅行に伴うCO2排出を植林への投資などによるオフセット(相殺)する海外ツアー利用など、ポイントの対象となる行動をした消費者に、購入額に応じてポイントを記した券が渡される。
 消費者は、これをホームページで登録してためていき、ポイントが一定量に達すると、還元サービスが受けられる。
 還元の費用は企業の負担だが、システム作りを手掛けたクレジットカード大手、JCBの担当者は「社会貢献をアピールできるなど企業にもメリットがある」と言う。
 環境省は、来年度以降も企業への支援を拡大するなどして参加を五十社程度に増やし、将来的には一千万人の登録者を目指す。斉藤鉄夫環境相は「企業などが連携して国全体で行うエコ・ポイント事業は世界初。我々が先頭に立って世界のモデルを築き上げたい」と意欲を見せている。

<京都新聞 10月31日付 引用>

確か三重県のある自治体だったと思うのですが、町内会などのグループ単位で、月電力使用量の削減率を競い合い、削減達成上位グループにご褒美として各家庭の電気料金の定率減額や一般ゴミ収集ネットの寄贈などの事業を実施している。
という話題を数年前に耳にした記憶があります。

これはなかなか良いアイデアだなあ、と感心していました。
グループ単位での不要な電力消費抑制、ちょっとした競争意識、それに見合った僅かでも還元される目に見えるもの。
うん、これだったらちょっと無駄な電力は使わない様にしようかなあ。という気になるような気がしました。


さて本題ですが、ポイント制度の導入は京都議定書が採択される前後からかなり議論されていましたね。
家電量販店でよく見られるポイント還元制は消費者にとってはかなり魅力的ですよね(ここでいう魅力的は家電を買って家電関連の商品を購入できるポイントがもらえるというところだと思うのですが)。

今回のこの事業も悪くはないとは思うのですが、問題点は幾つか挙がると思います。

・加盟企業が現在20社。目標50社ではあまりにも少ないのではという根本問題。
・大手カード会社に委託しておいて便利なカード形式ではなく、WEBサイトにて“券”を発行するという手間。
・ポイント利用対象を「エコ」に関連づけるところの難しさ。
・そもそもの加盟企業のイメージアップ戦略以外のある程度の利潤の検討。

例えば電球形蛍光灯を購入するとポイントが得られる。
これは白熱電球との光源としての経済効率ですので、使用していた白熱電球を家電量販店が回収するシステム等の付加サービスも考えられますね。
回収コストを消費者負担にすると家電四品目の時のように問題は出てくるでしょう。これはもっと高価な家電製品の省エネルギータイプへの買い換えにも言えることだと思います。
まずそのような点を整理していくことが環境相と業者間で話し合うことも必要かな?
と思いました。

WEBサイトでの登録、ポイント照会、券発行。これらは今のご時世でしたら携帯端末での“お財布ケータイ”形式などを採用すると使い勝手が良いかな?

環境関連/ecology「エコ」と関連づけるサービスに関しても、かなり厳密に調査しないといけないですね。
例えば
「牛乳はパルプを使用する紙パックより再利用可能な瓶のほうが環境に優しい」
とか言った言葉を耳にしたことがままあるのですが、
確かに紙パックを原材料パルプは木材。伐採していますし、そのままの再利用は不可能です。
しかし瓶の再利用には消毒殺菌、熱殺菌、回収コストなどエネルギー的にも費用対効果としても紙パックより“非環境的”という側面は以外と知られていない事実だったりします。
紙パックは分別収集されて再利用されていると言うこともありますしね。
リサイクル商品を製造するのにかなりの熱エネルギーを使用していたり・・・

結構間違った知識の植え付けって色んな分野で広がっていると思います。


「旅行に伴うCO2排出を植林への投資などによるオフセット(相殺)」
というところには正直ビックリです。

植林すれば植物の光合成でCO2の排出・吸収が相殺されるというのは安易。
植林するにはまず、伐採した地域の原種の特定。
適地に適材の種を蒔き、世話をし、漸く機能する。
おむつの原材料を使った砂漠の緑化などが取り上げられ、結構簡単に出来るものなんだ、とのイメージが日本では浸透しているようですが、そんな生やさしいものではないような気がします。


さて最後に賛同してくれる企業が集まらないことにはどうしようもないですね。
現在「環境問題に貢献しています」というフレーズは確かに企業としてのイメージアップにある程度繋がっていると思いますが、ぶっちゃけ貢献して当たり前の風潮になるのはもう当たり前の時期に来ていると思います。

企業は余程体力があれば別かも知れませんが利益を追求するもの。
企業側としてもメリットがある事業でないと計画は頓挫すると思うのですね。

そこのところ、結構大きな要素だと思いますのでじっくり考えてみたいと思います。



最新の画像もっと見る

コメントを投稿