徒然なるまゝによしなしごとを書きつくる

旧タイトル めざせ、ブータン

成人病と低体重新生児

2011年12月08日 | 生命

 

 成人病、特に糖尿病は飢餓をくぐり抜けてきた人類が、いままで接したことの無い飽食という状況下で不適合を起こしている典型症例だとばかり思っていた。しかし、事実はそんなに単純ではなかったのだ。

 成人病胎児期発症説というのがある。http://www.yomiuri.co.jp/adv/wol/opinion/science_111205.htm

 つまり、妊娠中母親が食事制限等をして胎児が飢餓状態になるとエピジェネティクス(遺伝子DNAの配列は変化せず、環境により生ずる遺伝子発現の制御システム)の変化が起こり飢餓適応の子供、つまり糖尿病などに成りやすい子供が生まれてくるというものだ。これは、小さく産んで大きく育てるという流行が将来とんでもない厄災をもたらすことを示している。

 遺伝子は主に発生時に関与する。個体発生は系統発生を繰り返すという、ヘッケルの反復説は真実を含んでいる。発生は遺伝子のコードをトレースしながら進む。そのコードは進化の順番を保っているはずだ。そうでなければ生体機構の継続性が成立しない。ただ、発生環境に反応しエピジェネティクス適合は起こる。生命の歴史の中で飢餓期間をどう乗り切るかという事は最大のテーマだったろう。その機序が胎児に働き、母親の妊娠ダイエットを飢餓と勘違いする...

 成人病が気になる方は、ご自分の出生時体重を母上にお尋ねになるが宜しいかと存じます。