おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

リラックスさせると言っても

2019年12月15日 | 重力奏法
習い始めから重力奏法で教えるようになって、一人一人抱える問題は違うものだなと思います。

この奏法自体は新しいものではなく、少なくとも50~60年前からヨーロッパでは当たり前の奏法。
残念ながら日本はそれ以前の奏法が伝わったきりになっていたようで・・

ただ、もっと以前、戦前はそうではなかったのではないかと思います。
白系ロシア人が日本に住んでいた時代があり、その音楽家たちが良い教育をしてくれていたようです。

この奏法をソ連では子供たちに教えるためにどうするか上手く考えた指導者たちがいて、プロを育成する音楽教育のカリキュラムもしっかり作り上げたわけです。
大人たちが皆で若い音楽家を育てるのもこの国の特徴だと思います。

ロシアの素晴らしさは幼児教育にあると多くの音楽家が言っています。

私はロシアンメソッドとは重力奏法を子供たちに教える導入期の指導法と今は捉えています。導入さえ間違わなければこれまで教えてきたこととさほど変わることはありません。

これまで上手くいかなかったのは、導入期から身体の使い方を教えることができなかったために一部の子供たちしか進歩しなかったと今は思っています。

それは身体の使い方を覚えられる教本がなかったからとも言えます。

ここまで徹底して身体の使い方、音の作り方を小さな子供たちに教えてきたことはありませんでした。

これが今までと最も異なることです。習い始めて間もない子供たちにこんなことは教えられないと思っていました。

一音弾くごとに必ず手をリラックスさせることや手首をどう使うか、指先の事、深く美しい音で弾くことなど小さな子供に教えることができるのがロシアンメソッドです。

特別な子供たちだけのものでも、特別な指導者だけのものでもなく、私のようなごく一般的な者でも取り入れることができます。

必要なのは根気と長い目を持つこと。
生徒と自分を信じること。
本物を目指すことを諦めないこと。

ところで、ひとつ気を付けたいのがリラックスさせることについて。

腕の力が上手く抜けると腕は重くなります。子供の腕でも結構重いです。
その重さを使うのですが、ただ、鍵盤にもたれかかって弾くのではありません。
第1関節の支えと共に肩で腕を持ち上げている必要があります。

身体全体を支えるのは腰と足です。

第1関節は手首を持ち上げた時に休むことができます。
肩は曲の中で休ませることが可能な時がありますが、基本的にいつも腕を持ち上げる仕事を続けます。黒鍵から習い始めると自然に腕を持ち上げるので良いと思います。

腰と足が休むことはないと思います。

これらはピアノを弾く上で普通のことです。
リラックスさせると言っても全ての力をだらんと抜いて、しまりのない音で弾くものではありません。

生徒さんで力を抜きすぎて、音がだらんとしてしまう子が何人かいます。
力を抜かせるのも苦労しますがその逆も直すのがたいへんです。

どんな質の音が美しいのか耳が手を誘導してくれるようになると良いのですが・・

耳から音を探せるようになってくれる日が来るのはきっと、ずっと先・・

私がピアノを教え始めた時から一貫して変わらないことは、「将来、一人でピアノが弾けるようになってほしい」

いつも教えてもらわないと弾けないではダメなのです。
自分で考え判断できること。
コメント
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