おとのくに♪♪

生徒さんのピアノレッスンで感じたこと、考えたこと、コンサートの感想などポツポツ綴っています。

インヴェンション作品の成立(Edition vol.3)

2019年12月27日 | エディション研究
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、J.S.Bachのインヴェンションには1720年の初稿と1723年の清書譜というものがあります。

初稿というのは長男ヴィルヘルム・フリーデマン・バッハのための音楽帳(クラヴィーア小曲集)のことです。

W.F.Bachが9歳2ケ月の時に長男の教育のために書き始めたのがこの曲集です。
この時点で長男は既にクラヴィーア奏法の基本はマスター済み。
作曲を学ぶためのものだったようです。

そのため曲順が、プレリュード・舞曲→2声→組曲→3声と徐々に複雑になっています。フーガが視野に入ってきた時点で曲集は終わっています。

全部で62曲あります。
平均律第1巻のプレリュード、インヴェンション、シンフォニアの初稿が収められています。

この曲集の「Praeambulum」が現在のインヴェンションです。
Praeambulumはプレリュードのラテン語です。

この初稿、現在のものと少し違う所があります。


こちらの演奏はこのCDです。

それぞれの曲が、チェンバロ、クラヴィコード、オルガンのどの楽器のために作られたかを考察して演奏されています。(このCDには63曲あります)
Klavierbuchlein Fur Wilhelm Fr CD amazon

バッハがこの曲集を作り始めた日付がはっきりしていて不思議に思われたかもしれませんが、これは曲集のはじめに明記しているからなのです。長男への愛情の深さを感じます。

フリーデマンはバッハの子供たちの中で一番才能に恵まれていたと言われています。
ただ、人間性の問題やらで人脈が築けなかったようで、父親亡き後、職に就かず放蕩生活を送り貧困のうちに生涯を終えたそうです。


タイトルページ:Clavier-Büchlein vor Wilhelm Friedemann Bach angefangen in Cöthen den 22 Januar Ao,1720
1720年1月22日から書き始めたとあります。
コメント
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