招きねこの手も借りたい

主婦のち仕事、ところによって母、時々芝居。

希望

2007年11月10日 | 日常
夫の治療方針が変わった。

使う予定だったこれまでと同じ薬を中止して、
新薬を使うことになった。
昨日丸一日がかりかけて、その抗ガン剤を点滴し、
アレルギー反応が出ないか観察し続けた上で、
異常がなかったため無事今日明日と外泊許可が出て帰ってきた。

新薬のメリットは、とてもよく効くということと、
悪いガン細胞だけを攻撃し、他の細胞を傷つけないため、
副作用が出ないということだ。
デメリットは、大変高価な薬のため、
保険診療でやれる回数や期間が国で定められているということ。
自費でやるとすると、かなりすごい額になるらしい。
らしいというのは、まだ具体的なことの説明がないからである。
とりあえず夫は、今月4回の新薬治療を行う。
これは保険診療内なので、
高額医療手続きをしてある私たちに支払えないような請求はこないだろう。

ただ、次に再発したときにどうなるのかというと、
かなり選択肢が狭くなってくる。

骨髄移植の話しも出るには出たが、
どうやら夫の年齢だとリスクが高すぎて危険らしい。
もともと夫は臓器移植や骨髄移植に関しては、
他の人がする分にはいいけれど
自分がそうしてまで長らえたいと思っていない。
ということで、すぐに選択肢からはずされた。

どんどん新薬が開発され、
その時その時で新たな展開があるかもしれないと楽天的に考えたい私だが、
夫は最近どうも腹をくくりつつある。

「人間いつかは死ぬ」
「早いか遅いかだけ」
「悔いのない日々を送ることが大事」

そりゃそうなのだが、やはり私はじたばたしたい。

奇跡はおこるものではない、おこすものだと思っている。
画期的な治療法が生まれると信じていれば、
必ずその日が来ると思いたい。

「こういう時は先々のことをあれこれ考えているよりは、
目の前のことを粛々と片付けていけば必ず明かりは見えてくるよ。」

先日そんなメールをいただいた。


今日は、地物の香箱蟹と、おでん、地酒で
みんなで食卓を囲んだ。

食欲が落ちてやつれていた母が、
今日はたくさん食べることができた。
夫は終始にこにこ食べている。
娘もおでんをおかわりして食べた。

家族で食事をする…
ただそれだけのことが、こんなに愛しい時間だということに
気がつくことができたのは、
夫と母の病のおかげだ。

明日は夫の誕生日。

丁寧に、大事に時間を過ごそうと思う。