明治日本の産業革命遺産で世界遺産となった
ジャイアント・カンチレバークレーンは、
同型としては日本に初めて設置された最新式電動クレーンで、
英国アップルビー社で製造されました。
クレーンは150トンの吊上能力を持ち、大型重機の荷重に耐え、
電動モーターで駆動するもので、
英国マザーウエル社が仮組、解体の上輸送し、
1909(明治42)年に長崎造船所飽の浦岸壁に再組立てし竣工しました。
英国人技師ガードナー・ロジャーがマザーウエル社から派遣され、
クレーン設置工事の監督及び技術指導を行いました。
このクレーンを設置した頃には、長崎造船所は東洋最大の民間造船所となっており、
1908(明治41)年には世界最高クラスの豪華客船「天洋丸」が完成しました。
機械部門では、1904(明治37)年に英国のパーソンズ社と
陸上及び舶用蒸気タービンの製造ライセンス契約を締結し、
1908(明治41)年には国産第一号の陸用及び舶用タービンが完成しました。
ジャイアント・カンチレバークレーンは、
舶用主機等の大型機械の船舶への搭載或いは陸揚げのため、
飽の浦事務所の前面に設置しました。
設置場所では機械・仕上げ工場の海側係船岸壁を強化し、
既設の100トンクレーン岸壁の東に岩盤の浅い位置を選定し基礎を建設しました。
基礎工事は1908(明治41)年9月に竣工、
そして、クレーンは1909年12月に竣工ました。
1961(昭和36)年には、機械工場拡張でクレーン周辺が埋め立てられたため
水の浦岸壁に移設、現在も機械工場で製造した蒸気タービンや
大型船舶用プロペラの船積み用に使用しています。( 非公開施設 )