三浦の大蘇鉄は、宇久島の太田江郷三浦神社の境内に植栽されたもので、
三株の巨樹から樹相をなす。
県の天然記念物に指定されている。
海の神様、豊玉姫命を祀る太田江郷の三浦神社の境内に自生している。
大きなものは、根廻り約1.7m、長さ10mあり、
国内有数の巨樹で、臥竜のように社を取り巻き、覆い被さるように横臥横走し、
大小の幹や枝が捩りあい複雑を極めている。
また、入口の看板の 「 乙女崖三浦の蘇鉄伝説 」 によると、
むかし神武皇后が朝鮮 ( 新羅・百済・高句麗 ) へ出陣した折、
軍船が宇久島に立ち寄り、三浦湾に集結した。
出港まで幾日かの日を過ごしているうち、
軍船の一人の兵士と地元の娘との恋が芽生えた。
幾日かの逢瀬に娘は幸せであった。
しかし、やがて神武皇后の軍船は朝鮮に向けて出港して行った。
娘は出港して行く兵士の船を見送り、
「 二度と逢えない 」 と思う深い悲しみに暮れた。
崖の上から遠く船が消え行くまで、いつまでも見送った。
それから娘は毎日々、崖の上に登っては、
遠く離れた海を眺めて兵士の帰りを待った。
悲嘆に暮れる娘は次第に痩せ衰えていった。
そして、娘は月の綺麗な夜に、海原に映る月を眺めながら、
乙女崖から見を投じた。
悲しい娘の亡骸は、地元の人達によって懇ろに葬られた。
やがて葬られた側に一本の蘇鉄が生えた。
これは娘の化身だと、地元の人たちは大切に育てた。
そんな蘇鉄の下に今も娘は眠っているという。
また、三浦の蘇鉄の葉一枚、石ころ一つでも持ち帰ってもいけない。
それは、持ち帰った人の後に大嵐になると伝えられ、
今もその言い伝えは大事に守られ、
宇久島の貴重な蘇鉄として保護されている。