何カ月前だったか定かではないが、
NHKの特集で東出昌大が村山 聖の生い立ちから
プロ棋士へと上って行くドキュメントが放送された。
その中で大阪の古びたアパートの一室が映し出された。
それが村山 聖が青春時代を将棋に注いだ部屋であった。
映画化された 「 聖 ( さとし ) の青春 」で、
村山 聖という天才棋士を演じた松山ケンイチ。
対局したのは若き日の羽生善治を演じた東出昌大。
この撮影ですべての打ち手を覚え、
撮影というよりも真剣に将棋という勝負に挑んでいた。
撮影後、すべてを絞り出したように松山は倒れ、東出は感極まって泣いた。
そんな番組だった。
1994年、大阪。
路上に倒れていたひとりの青年が、
通りかかった男の手を借りて関西 将棋会館の対局室に向かっていく――。
彼の名は村山聖 [ さとし ] ( 松山ケンイチ ) が演じた。
現在 七段、 “ 西の怪童 ” と呼ばれる新世代のプロ棋士だ。
聖は幼少時より 「 ネフローゼ 」 という病気にかかりながら、
そのベッドの上で 将棋を覚えていく。
そして、聖は 「 中学校に行かん。プロの将棋打ちになる 」 と、
その決意を口にする。