テレビや携帯よりもインターネット、米国人の利用動向
世界的な不況が続く中、米国の成人がテレビや携帯電話に対する支出は引き締めながらも、インターネットには昨年よりお金をかけている実態が、米調査機関ピュー・インターネットが17日に発表した世論調査結果で分かった。
ピュー・インターネットは今年4月に、米国の成人2253人を対象に、テレビや携帯電話、インターネットの利用状況について調査し、昨年の同様報告と比較した。
その結果、景気後退の中でインターネットに対する支出を減らしたのはわずか9%だったが、テレビや携帯電話のサービスを解約したのは22%に上った。
また、今年4月現在、自宅にブロードバンド環境を持っている成人は約63%と、前年同期から15%増加した。特に、65歳以上の層で58%、年収が2万ドル以下の低所得層で40%、それぞれ増加した。一方、高速インターネット回線への支払額は月額にして、昨年4月時の34.5ドルから39ドルに増額していた。
この結果から、不況が続いていても人々がインターネットから情報を入手するためには投資を惜しまない傾向が浮き彫りになったとしている。
2. 映画監督にドラマの職人続々
テレビドラマのディレクターを監督に起用する映画がこのところ増えている。テレビ局が製作にタッチしない映画を探す方が難しい昨今だが、資金のみならず人材も供給し始めた格好だ。演出経験豊富な職人気質が、娯楽映画の作り手として評価されている。
公開中の映画「ハゲタカ」は経済の実態を生々しく描いて評判になったNHKドラマの続編。ドラマに続き、大友啓史が監督を務めた。来年の大河ドラマ「龍馬伝」を手がける気鋭ディレクターだ。
テレビは「ながら視聴者」のために言葉で細かく説明せねばならない。大友監督はそんなやり方を「寂しく思っていた」と話す。テレビの「ハゲタカ」は「密度の濃いドラマを作ろうと思った」。
大友監督は「映画は一種の体験」だという。「一方、テレビは情報。主人公の天才ファンドマネジャーはテレビでは視聴者と距離があった。映画では観客と同化し、彼の体験を共に体験してほしい」
ドラマの映画化はドラマのディレクターがそのまま監督を務める。これがいまや定石になっている。7月公開の「ごくせん」の佐藤東弥監督(日本テレビ)も来春公開の「のだめカンタービレ」の武内英樹監督(フジテレビ)もドラマに続いての登板だ。
定石が確立したのは98年、ドラマと同じ本広克行監督が手がけたフジの「踊る大捜査線 THE MOVIE」の成功によるところが大きい。製作したフジテレビ映画事業局の亀山千広局長は「かつてドラマと別の監督を立てて失敗したことがある」と話す。
「ドラマのファンはアングル一つ変えただけで違和感を抱く。だから、僕はカメラマンに、最初の1時間はドラマと同じアングルで撮ってくれと頼むんです」。映画の前半はドラマと同じ。後半は映画ならではのもの――。この必勝方程式を使うには、ドラマのすべてを知るテレビディレクターの方がいい。
映画オリジナルの作品にもテレビディレクターを起用する例も増えてきた。特に目立つのが東宝。今後の配給予定の作品のうち「沈まぬ太陽」の若松節朗監督や「なくもんか」の水田伸生監督ら、ドラマの映画化も含め、約半数がテレビ系の監督が占める。
7月公開の「アマルフィ 女神の報酬」は、フジ開局50周年を記念したオリジナル大作。これに同局の西谷弘ディレクターが起用された。映画は3本目。「フィルムの質感が好きなので、ずっと映画を作りたかった」と話す。
フジは社員ディレクターの映画進出に歴史を持つ。64年に「三匹の侍」を撮った五社英雄に始まり、80~90年代には杉田成道、光野道夫らが監督を務めた。その後、日本テレビやTBSも続いた。フジの入社試験には映画監督志望の若者が増えているという。
テレビでは毎週20本以上の連続ドラマが放送される。ディレクターは演出経験が映画畑の監督に比べて圧倒的に豊富だ。撮影のスピードが速く俳優の扱いも慣れている。評論家の樋口尚文さんは「視聴率が常に念頭に置かれ、視聴者の見たいものをかぎ取る点で鍛えられている」と話す。
もちろん短所もある。「今のテレビは性と暴力に踏み込むことがタブー。だからディレクターも人間の大きなテーマであるこの領域に不慣れ。従って、彼らの映画は概してテーマがほどよいものに限られ、エキサイティングに広がっていかない」(樋口さん)
映画が得意とする性や暴力表現をダイナミックに見せる人材が出て来た時、テレビディレクターの映画進出は不可逆の流れになる。
世界的な不況が続く中、米国の成人がテレビや携帯電話に対する支出は引き締めながらも、インターネットには昨年よりお金をかけている実態が、米調査機関ピュー・インターネットが17日に発表した世論調査結果で分かった。
ピュー・インターネットは今年4月に、米国の成人2253人を対象に、テレビや携帯電話、インターネットの利用状況について調査し、昨年の同様報告と比較した。
その結果、景気後退の中でインターネットに対する支出を減らしたのはわずか9%だったが、テレビや携帯電話のサービスを解約したのは22%に上った。
また、今年4月現在、自宅にブロードバンド環境を持っている成人は約63%と、前年同期から15%増加した。特に、65歳以上の層で58%、年収が2万ドル以下の低所得層で40%、それぞれ増加した。一方、高速インターネット回線への支払額は月額にして、昨年4月時の34.5ドルから39ドルに増額していた。
この結果から、不況が続いていても人々がインターネットから情報を入手するためには投資を惜しまない傾向が浮き彫りになったとしている。
2. 映画監督にドラマの職人続々
テレビドラマのディレクターを監督に起用する映画がこのところ増えている。テレビ局が製作にタッチしない映画を探す方が難しい昨今だが、資金のみならず人材も供給し始めた格好だ。演出経験豊富な職人気質が、娯楽映画の作り手として評価されている。
公開中の映画「ハゲタカ」は経済の実態を生々しく描いて評判になったNHKドラマの続編。ドラマに続き、大友啓史が監督を務めた。来年の大河ドラマ「龍馬伝」を手がける気鋭ディレクターだ。
テレビは「ながら視聴者」のために言葉で細かく説明せねばならない。大友監督はそんなやり方を「寂しく思っていた」と話す。テレビの「ハゲタカ」は「密度の濃いドラマを作ろうと思った」。
大友監督は「映画は一種の体験」だという。「一方、テレビは情報。主人公の天才ファンドマネジャーはテレビでは視聴者と距離があった。映画では観客と同化し、彼の体験を共に体験してほしい」
ドラマの映画化はドラマのディレクターがそのまま監督を務める。これがいまや定石になっている。7月公開の「ごくせん」の佐藤東弥監督(日本テレビ)も来春公開の「のだめカンタービレ」の武内英樹監督(フジテレビ)もドラマに続いての登板だ。
定石が確立したのは98年、ドラマと同じ本広克行監督が手がけたフジの「踊る大捜査線 THE MOVIE」の成功によるところが大きい。製作したフジテレビ映画事業局の亀山千広局長は「かつてドラマと別の監督を立てて失敗したことがある」と話す。
「ドラマのファンはアングル一つ変えただけで違和感を抱く。だから、僕はカメラマンに、最初の1時間はドラマと同じアングルで撮ってくれと頼むんです」。映画の前半はドラマと同じ。後半は映画ならではのもの――。この必勝方程式を使うには、ドラマのすべてを知るテレビディレクターの方がいい。
映画オリジナルの作品にもテレビディレクターを起用する例も増えてきた。特に目立つのが東宝。今後の配給予定の作品のうち「沈まぬ太陽」の若松節朗監督や「なくもんか」の水田伸生監督ら、ドラマの映画化も含め、約半数がテレビ系の監督が占める。
7月公開の「アマルフィ 女神の報酬」は、フジ開局50周年を記念したオリジナル大作。これに同局の西谷弘ディレクターが起用された。映画は3本目。「フィルムの質感が好きなので、ずっと映画を作りたかった」と話す。
フジは社員ディレクターの映画進出に歴史を持つ。64年に「三匹の侍」を撮った五社英雄に始まり、80~90年代には杉田成道、光野道夫らが監督を務めた。その後、日本テレビやTBSも続いた。フジの入社試験には映画監督志望の若者が増えているという。
テレビでは毎週20本以上の連続ドラマが放送される。ディレクターは演出経験が映画畑の監督に比べて圧倒的に豊富だ。撮影のスピードが速く俳優の扱いも慣れている。評論家の樋口尚文さんは「視聴率が常に念頭に置かれ、視聴者の見たいものをかぎ取る点で鍛えられている」と話す。
もちろん短所もある。「今のテレビは性と暴力に踏み込むことがタブー。だからディレクターも人間の大きなテーマであるこの領域に不慣れ。従って、彼らの映画は概してテーマがほどよいものに限られ、エキサイティングに広がっていかない」(樋口さん)
映画が得意とする性や暴力表現をダイナミックに見せる人材が出て来た時、テレビディレクターの映画進出は不可逆の流れになる。