【 アンネ・フランクの日記 】

「神は万物を作り給たもうた。ただしオランダだけはオランダ人が作った」と
オランダ人は胸を張って言うと聞いた。
国土の三分の一が海抜以下にある国を、オランダ人は西暦のＢＣ期間に
遡って海水を汲み上げては陸地にしてきた。そのことへの誇りであろう。

海抜下の土地を多く持つ事と関係があるのか、オランダには国土の３％と
言われる運河がある。
アムステルダムも運河が流れる町のひとつで、その運河に面した屋根裏部屋
の一室で、一人のユダヤ系の少女が書き続けた日記が残され、本人はゲットー
に送られた後に、ナチスによって生命を断たれた。

少女の書きつづった日記は、生き残った父親の手によって出版され、世界の
各地で読まれ涙を誘った。

その「アンネの日記」が、多くの図書館で破られたり、切りさかれたりの被害が
出ている。どこで？　この日本での話だ。

多くの図書館を訪ね、本を借り出しては、隙を見て破り切り裂く行為は、何に対する
いらだちからか。哀れな境遇に落ちた、罪なき少女を更に傷みつける行為だとは
思わなかったのか。