作家 小林真一のブログ パパゲーノの華麗な生活

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【 社会部記者 】

2006-10-31 18:28:37 | 12 幼き日々のこと


大学2年から3年になる春休みに、統一地方選挙が
ありました。
その前年ぐらいに、読売新聞が大阪に進出し、
大阪読売新聞が出来ていました。

統一地方選挙というのは、知事・市町村長・府議・県議・
市町村議員など、数多くの選挙が同じ時期に重なる。

朝日・毎日・サンケイなど、既存の新聞社には、現職は
もとより、主な立候補者についての情報が備えられて
いるが、新たに進出した悲しさ、大阪読売にはデータが
揃っていない。

そのために、アルバイト学生が百名ほども集められ、
それぞれ担当地域を指定されて、立候補予定者の、
略歴や顔写真を集めさせられました。

ボクには大阪市西淀川区が割り当てられた。

アンカーを務めたのは、社会部の奈良さんという、女性
記者でした。

3~4日は、他のアルバイトと同じように、担当地区を
周り、指示された資料を集めたり、コメントがあれば、
それをまとめたりして、奈良記者に渡せば、それで一日の
業務終了だった。

このアルバイトは、他より待遇が良く、日給350円
だったと記憶しています。

たしか4日目に仕事を終えて帰ろうとすると、奈良さん
から声がかかり、「部長があなたに話があるから、少し
待って欲しい」

当時の社会部長は森さんといい、大阪読売の紙面に
連載小説を書いているような人でした。

新聞社内にある、上等な方のレストランに連れて行かれ、
ナイフとフォークを使う食事が出た。
(別に一般社員が普段利用する食堂があった)

「キミ、背広持ってるか」 と森部長。

大丸の紳士服売り場に一年ほども居たことがあるから、
安物だけどスーツ一着はある。

「一応持っています」
「じゃあ、明日からそれを来て出社してくれ」
「?????」
「いま奈良さんがやってる、アンカーの仕事を、明日
からはキミに頼みたいんだ。なに、皆が集めてくる資料
を集計して、抜けてるところが無いようにチェックして
くれれば仕事は勤まる」

「それと現職の市長と議会の長とか、威張ってる手合い
には、アルバイトって訳にはいかんので、社のクルマ
でカメラマンと同道し、簡単なインタビューぐらい
やらんと、先生方機嫌が悪いんで、そっちも頼む」

大阪読売新聞・社会部・記者の肩書きつきの名刺が2箱
すでに用意されていました。

仕事は森部長がいうほど簡単ではなく、毎晩遅くまで
残業させられた。
社旗を翻して、インタビューに大物の所に出向くのは、
ちょっといい気分でした。

選挙が終って、これでオシマイと思っていたら、
「よかったら、しばらく社会部を手伝え」となり、
もっぱら、記者連中が電話で記事を送ってくるのを
原稿に書き取ったり、一般市民からの速報を記事に
したり、留守番役をやらされました。

バイト料が他所より良かったのと、部長だけじゃなく、
他の記者たちからも、ひんぱんに食事をご馳走になり、
あれは良い仕事だった。




                                       パパゲーノ


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