Powder Blue Sky

興味を惹かれること様々。心ときめくこと様々。マイペースで残す雑記ブログ。

BBC Sherlock : The Times Magazine(2) (べネディクト・カンバーバッチ)

2013-06-01 00:26:44 | B. Cumberbatch (B.カンバーバッチ)
パート(1)からの続きです。



(出典:tanyakipina)


ワンダは、彼女のコレクションであるフクロウ同様にホーホーとよく鳴いた。。。つまり喋りまくった。ランチの間、彼女は次々と出来事、逸話を話してくれた。その中にはべネディクトが彼ら両親をスタートレックの撮影現場へ連れていってくれたことが含まれていた。

『何度も何度も撮り直すのよ。』とワンダは、プディングを出しながら、洗練された教養学校出身のアクセントで話すのだった。
『やり直し、そしてやり直し。それが一日中続くの。ベンをこの宇宙船に乗せるだけのシーンなのにね。だからある時点で、私は言ったわ。「ねえ、私がUFO(映画名)を撮っている時は、たったの3回の撮りで月に到着していたわよ。」ってね。』





両親は息子に俳優になってもらいたいと思ったことは一度もなかった - 生計を立てていくにはどんなに不安定な職業なのか、彼らは知っていたから。だから二人はお金をかき集めて、立派な教育を受けさせようと息子をハローへ送り込んだのだ。








べネディクトは赤ん坊の時でも、毎日を満してあげる必要がある子だった。ワンダは彼を『つむじ風みたいでしたよ - いつも動き回っていて止まることがないの。』と表現した。



『僕は新陳代謝がすごく激しかったのです。』とべネディクト。

『彼は骸骨みたいにガリガリに痩せていたのよ。』とワンダ。『だから私達はとにかく彼に食べさせたの。本当にたくさん食べさせたのよ。』

『両親は僕が甲状腺に問題を抱えているのではないか、って心配していました。学校の階段までたどり着くと汗でグッショリでしたからね。それは僕がずっと駆けっぱなしで行っていたから、なのですが。』

『学校ではバカなことを言ってばかりの不愉快な子、だったかな。目立ちたがり屋で。』
と彼はワインを注ぎながら言った。
『悪気がある訳じゃなくて・・・ただ騒がしかった、だけです。僕の全エネルギーを、バカみたいな声を出して授業を混乱させることに使うのではなくて、もっと良い方向へ注ぐ道はないのか、って探そうとしてくれたのですね。』








彼は『真夏の夜の夢』で初めて役をもらった。
『で、私達はみんなBenedict's Bottomを思い出すんですよ。』とティモシーが絶妙なタイミングで、おどけたように言った。


『それからHalf A Sixpenceで役をもらったんだ!』とべネディクトは叫んだ。
『僕はアーサー・キップスの長い間苦労する妻、アンを演じたのだった。』
彼は『Don't Believe a Wor of It』歌い(踊り)始めた。- 36歳の男性が彼の10歳時に戻っているように、ジュリア・フォスターが24歳の時に演じて人気を博した役を演じ始めた。実際それは素晴らしいものだった : 
愉快で、そして憤然と怒った様子で。
彼は部屋の片隅からもう片方の隅まで踊り続けた。





それでもワンダ・ティモシー夫妻は、演劇は息子にとってのただの趣味にすぎないと、思い込もうとしていた。

ただし、それはワンダが彼を、当時ウェスト・エンドで上演中の演劇に出演していたティモシーを観に連れて行った時までのこと。

舞台のそでに立ってステージを観ていたべネディクトが突然大きな声で、やみくもに叫んだ。
『僕もあそこに行きたい。僕もあそこの舞台へ行きたい!』

『私達は彼が舞台に走り出て行くのを止めなければならなかったわ。』とお皿を片付けながらワンダが言った。





『だけど、誰だって出て行きたくなるでしょう?』と彼は私の方を向いて、訴えるように尋ねた。
『子どもだったら誰だって出て行きたくなりますよ。舞台裏には行ったことがありますか?


全てのセットには、大道具小道具の裏側に上演劇の名前が書いてあって、底には倒れないように重しがついているのです。舞台のそででは、これらが全て見えるのです。でも舞台の上では - 舞台に上るとそこに現実の世界が広がっている。その劇を見ている人達にとっての世界です。それは素晴らしいんですよ。』

ワインのお代わりがあり、ロースト肉のお代わりがあり、そしてプディング、プディングのお代わり。
べネディクトは残ったパースニップをつまんで
『これをやってはいけないのですけどね。僕は現在5:2のダイエット中だから。シャーロックのためにダイエットしないとならないんですよ。』








そして約一時間後、私達はインタビューを行うため別室へ移った。私は赤ワインに酔ってクラクラしていた。










その後のべネディクト・カンバーバッチとのインタビューは次のようなものだった:



何だかまるで滝に向かってインタビューしているようだった。どの質問にも、まともに答えが返ってこないのだ。でも彼が話しているのを見ている分には素晴らしい。彼は別に質問を無視したり、避けようとしてるわけではない。もちろん、そうではない。
尽きることなく熱のこもった返事が出てくるし、インタビュー内容の対する意見にはなっているし、感動的なほど懇切丁寧で礼儀正しい行為なのだ。




例えばハローの図書館へ初めて行った時のことを:
『こう考えたのです。おそらく僕はこの本棚の一段目の本を全部読むには、一生時間をかけても無理だろう。ましてや第一図書室全部の本を、ましてや図書館内の全部の本を読むことなんて出来る訳がない。だから僕はいつも「より良い、今より良い」と思われるものを追い求めてきました。あのワインについてだってもっと正確に知ろう、聞こえる鳥の鳴き声についてもっと教えてあげられるようになろう、僕の周りの世界をもっと理解しよう、という具合に。』



でも皆さん、もうお分かりのように、そして彼の母親ワンダさんが嘆いていたように、彼はとにかくエネルギーの塊なのだ。 - 彼は決して止まらない。ゴッホ、ホーキング、ホームズ、彼の才を活かしたティージェンス、ホビットのスマウグ;ウェストエンドではフランケンシュタイン、そしてまもなくハムレット、アサンジ、そしてビートルズのマネジャー、ブライアン・エプスタイン;こうした特に目立ってユニークなキャラクターを演じている力の源はこのエネルギーなのだ。










もう時間も遅くなった。彼は自分のスケジュールを示し、翌朝7:30にはブリストルで予定されているシャーロック撮影現場に入らないといけない、と言う。筋については何も言えないけど、と言って自分の役割がどんなものなのかを熱心におしえてくれた。彼は脚本を手に取り、パラパラとめくった。




『このシーンは40ページに渡るんですよ。40ページ分の推理、という訳。ほぼ独白部分なので、これを寝る前に覚えておかないとならないのです。』
彼は壁の時計を指して言った。その時計は数字の代わりに各時間が鳥で表されていた。

『だから、インタヴューを終えないと。』と時計を見つめて -
『chaffinch(ズアオアトリという鳥の名、らしい)を30分過ぎたら。それでいいですか?』







(chaffinchという鳥が、時計盤の何時の位置にいる鳥なのかは分かりませんけど、クラシカルで味のある時計なのだろうな、と想像します^^。)



*********************************************************



私達は、写真に囲まれていたせいか、話すことも過去の話に留まっていた。
ランチの時、べネディクトが寄宿生活をしていたハロー時代にまで遡ったが、 - 当時彼は両親をケンジントンにある最上階のフラットに両親を残してきていた。








ハローでは優秀だったのだろうか?

『そんなに優秀ではなかったです。途方もなく優秀、という訳じゃなかったです。Sharpish (切れて鋭かった)- でした。覚えが速かくて、人まねが上手かった、ですね。』



いじめられたことは?

『いいえ、それはなかったですね。なぜかというと・・・』
彼は言葉を選んで慎重になった。
『両親が僕のlife (命、生き方、活力源)を大切にしてくれていたから。だから自分を取り巻くthe world(世間、社会、世界)に対して自信を持てていました。何か特別な権利を与えられている、という意識じゃなくて。。。ちょうど。。。さあ、世の中にでていくぞ、いろいろ詳しく調べてやるぞ、みたいな気持ちでした。』




彼はその学生時代を大いに気に入り楽しんだ。

『本当にあの頃は楽しかった。スポーツにアウティングに・・・生涯の友達もできました。
両親宛ての手紙に「最高に楽しい」と書き送りました。本当にその通りだったのです。』




たった一度だけ彼をいじめようとする者がいた。

『そいつは僕が不安に感じるようにさせたり、恥ずかしい気持ちにさせたりしたんですね。僕がただ自分に自信を持ち、楽しくしていたかっただけだったのに。』
だから彼は、カンカンに怒ってそのいじめっ子を壁に押し付けてやったら、相手は言葉をつまらせながら謝ったそうだ。




何もかも順風満帆だったが、たった一つ足りない物があった: 身体面だ。

『僕の成長期はとっても遅かったのです。
とっても遅くて、15,16歳頃でした。もしかして17歳だったかもしれない。』


心配だったので医師に相談にも行った。


『18歳になるまで、僕は子供でしたね。本当に。でも寮制男子校の有難い点は、休暇中どう過ごしたかをウソついて誤魔化せるっていう点です。共学校と違って、ガールフレンドと一緒に校庭をパレードしなくて済む。
僕は女性に対しては、ちょっとヒュー・グラントみたい、でした。(ここから多分ヒュー・グラントの物まね)え~っと、あの~、ちょっと・・あのぅ~、触ってもいいですか?』




(出典:m1211nasu)



『両親をこのことで非難したことは一度もありませんけど、でも僕は自分の子供は男子校や女子校には絶対に入れないでしょうね。』





この当時までに彼はすでにファーストキスを経験していた。

『水中で、メアリーと。11歳のときでした。これ以上しっとり、というキスはありませんね。あれがファーストキスだったと思います。
そうだ、学校でやったあのク○ッタレの劇で、男子の一人とやったキスをのぞけば、だ。』





夜も更けてきました。

続きはパート(3)へ
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6 Comments

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少年時代 (miitiku)
2013-06-02 05:56:39
さっそくのパート(2)、楽しませていただきました!!

興味津々、純真でエネルギーに満ち(過ぎ)た子ども・・・
最近は子どもに接する仕事をしているので、あ、こういう子、いるいる!!って。
何の疑問もなく大人の言うことをちゃんと聞く大人しい子より、
自分の意思がきちんとあって、時に世界とぶつかってしまうけど瞳がきらきらしてる子どもが大好きです。

でも、今は第三者だから、そいいう子がかわいい!って思えるけれど
自分の子がそうだったら、悩むかも。。
まだまだ日本は画一的人格をよしとしてますもの~


僭越ながらBSプレミアムの情報を見つけました。
もしかして、こちらでもご紹介されていたらごめんなさい。

http://www.nhk.or.jp/kaigai-blog/100/156436.html

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カンバーバッチ特集月間 (pale mint)
2013-06-02 22:57:29
こんばんは~!
BSプレミア情報、ありがとうございました!6月は色々な作品が放送されるのですね。『シャーロック』以外では『パレード・エンズ』しか見たことがないので、録画してみようって思います。

この記事を読んでいて、私も少年時代のべネディクトの様子が目に浮かびました。ハイパー・アクティブで、いい意味でも悪い意味でも注目を集めてしまう子。
未だに当時のまま、脱皮しきれていない?ところがあるのがいいですね!純粋で一途なところは、シャーロックそのものだ、なんてネ、感じました。

個性を大切にして伸ばそうとする気風、伝統、文化のイギリスであっても、ワンダさん、ずい分気を揉んだり、悩んだり、大変な思いをして育ててきたみたいですね。でもその持って生まれた才能を、上手く引き出せる環境と理解を得て、上手く育ってくれました!ご両親には感謝、感謝です。
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チャフィンチ時計! (ephemereclair)
2013-06-04 01:27:54
こんばんわ♪
A Study in Cyan というTumblrでベネディクト家にあると思われる時計の画像があげられてましたよ↓

http://astudyincyan.tumblr.com/post/50571113951/just-found-a-clock-which-reads-half-past

チャフィンチ半は...一時半ですね!
ベネディクト、インタビューはほどほどにしてちゃんと寝て...!!(泣)
返信する
フクロウも2羽^^ (pale mint)
2013-06-04 23:14:10
わ~い♪画像ありがとうございます!
ファンの皆さんの情報収集力ってすごいですね。話題の品物はすぐに調べ上げられてしまう^^。
ステキな時計ですね。12時と6時がowlだっていうところが、またいいです!(笑)

ということは、インタビュー切り上げは一時半だったのだ。もっと遅い午後かと思ってました。いったい何時からランチだったのだ?なんてね、考えたり。日曜のブランチだったのかな。

40ページもの台詞をその日のうちに覚えるのだから、早くインタビューを切り上げてもらわないと困りますよね。
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Unknown (さっちん)
2013-06-10 09:32:46
ホントに、素敵な話です。
パート3が待ち遠しいですぞ。(笑)

パパとママの愛情に包まれて育ったんですね。
小さなこじんまりしたお家も魅力的。
何だかシャーロックの役柄もそうですけど、
ベネさん自身のま魅力にも魅了されます。ラブラブ


しかし、ベネさんはパパそっくりですね~。

昨日は朝から車で40分も離れた映画館まで、スタートレックの、ムビチケとやらを買いに行ってきましたよ。
そんなのあるんですね~。
全く知らなかったです。
愛の力は偉大です。
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Unknown (pale mint)
2013-06-11 23:19:22
さっちんさん、こんばんは~♪
べネディクトの素顔がのぞけて楽しい記事ですね。
ご両親の様子や小さな古い造りの家も、脳内で色々と想像して描けました。

生後1カ月くらいのべネディクトと両親の写真は、この記事とは別のタンブラーから拾ってきたのですけど、これまた良い写真ですね!
ベイビーべネが可愛いよ~!この時点でもう手が大きいよ~(^^)!
べネパパは優しそう~!似てる~!べネママは美しい~!なんとみんな幸せそうなこと!
お気に入りの一枚となりました。

ムビチケって、いわゆる前売り券のことですか。8月に向けて観る気満々、用意万端!ですね。
愛の力は偉大です!絶大です!

パート(3)遅れてしまってますが、あともう少しお待ちいただけますか。
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