「本屋さんで待ち合わせ」 三浦しをん著 大和書房
読売新聞に掲載されたものを中心に既発表の三浦しをんの書評をまとめたもの。改めて、三浦しをんは作家である以前に、重篤な読書中毒患者であることを思い知らされる。
新聞書評という紙幅の制限がある中で紹介した書評の集大成なので、無理無理まとめました感が否めないものも多い。もっとたっぶりの字数ならば、さぞやしをんワールドが炸裂したのではないかと思うと、少々、残念ではあります(書評集としては、ポプラ社の「三四郎はそれから門を出た」の方がガツンと読み応えがあった)。それでも、自分が全く知らない作家や、考えてもみたことのない読書視点が紹介されていて、「これは、いずれ必ず読もう!」と思う本が何冊もあった。
中でも、最も気になった作品は「東海道四谷怪談」(四谷怪談の頭に「東海道」が付くなんて初めて知った!)。小学生の頃、学級文庫にあり、男子はこぞって読んでいた。しかし、顔面が崩れたお岩さんの挿絵が小学生女子にとってはあまりにも耐えがたく不気味で、その後のン十年の人生でも四谷怪談を手に取ろう、読もうと思ったことは一度もなかった。
三浦しをんの解説によって、お岩さんの顔面が崩れてしまった理由を初めて知るとともに、怪談というよりも、なんとも人間臭い不条理物語なのだと理解する。かなり文楽チックなストーリー展開だ。ホラーとか怪談ものはあまり好きではないけれど、四谷怪談、必ず読もうと思います。(ちなみに、歌舞伎の演目にはあるけれど、文楽でほとんど演じられたことがないようです)
昨年は通勤時間にタブレットで新聞を読んだり、FBチェックするクセがつき、読書量が急減!読了後、感想を書かないままにしてしまった本も多数。今年は、デジタル機器に振り回されず(?)、読書三昧な生活を取り戻したいものです。