おりおん日記

電車に揺られて、会社への往き帰りの読書日記 & ミーハー文楽鑑賞記

「本を読む女」 林真理子

2009年12月19日 | は行の作家
「本を読む女」 林真理子著 新潮文庫 

 多分10年ぶりぐらいの再読。やっぱり、いいなぁ。いや、年をとった分、10年前に読んだ時より、一段と味わい深く感じました。

 私が子どものころ、林真理子はフジテレビのキャンペーンにおかしな格好をして登場したり、とにかく、キワモノな人だった。糸井重里と共に、実体のよくわからない「コピーライター」という職業を名乗り、流行の先端であること、カネがあることをなにかとハナにかけていた(もちろん、まだ、セレブという言葉は無い時代である)。ま、一言でいえば、嫌いだった。

 初めて林真理子を読んだのは大学生の時。知人の翻訳家から勧められました。彼女は、文章修養として、毎日、寝る前に小説を30分音読していて、「声に出して読むと、文章の良し悪しが一段とハッキリわかる」と言っていた。その彼女が「絶対におススメ」と言っていたのが林真理子だったわけです。

 小説を読んでみて、テレビに出ている露悪的な林真理子は彼女の一面でしかなく、実は、コンプレックスと戦う、真面目で、控えめな人なのだということを知りました。本のタイトルは忘れましたが、「美しい人が勉強もできて、優秀なのは、それほど驚くようなことではない。だって、彼女のために椅子をひき、アドバイスをしてくれる人がたくさんいるのだから」-という趣旨の表現に出会った時、林真理子という小説家に激しく共感しました。

 「本を読む女」は、林真理子の母親をモデルにした物語。昭和初期から太平洋戦争が終結するまで。今のように、女が自由に生きることが認められていなかった時代のこと。背が高いといっては結婚に差し障り、高等教育を受けたことも、本をたくさん読むことも結婚にはマイナス。

 本を読んでも、誰も、救いにきてはくれない。所詮、自分の人生は自分が生きなければならない。それでも、本を読む時間が私を自由にし、一歩を踏み出す勇気をくれる-。主人公が「本」から得るエネルギーは、本好きの人には、きっと、切ないぐらいわかるはず。

 そして、この本を書いた林真理子は、「本を読む女」から生まれ、同じように本を愛し、本によって救われ、そして、本を書く女になった-ということなんですね。

 でも、最近の林真理子、全然、読んでいません。週刊文春で連載してた「不機嫌な果実」以来、なんか、不倫とか、ちょっとエッチな感じの小説が多いような…。いや、たまに、そういうドキドキする記述があるのって悪くないかもしれませが、食傷するほど並べたてられると、うんざりするなぁ…という気分です。

「もっと声に出して笑える日本語」 立川談四楼

2009年12月19日 | た行の作家
「もっと声に出して笑える日本語」 立川談四楼著 光文社文庫 

 「声に出して笑える日本語」の続編。
 師匠のような才能溢れる方が、二匹目のドジョウを狙っちゃあ、いけません。マンネリ感というか、どこかで聞いたことがある感というか…。
 と批判しつつも、電車の中で読んでいて、ちょっと怪しい人っぽく、何度も、ニヤニヤ笑ってしまいました。