日本語の「は」と「が」について。

象は鼻が長い=∀x{象x→∃y(鼻yx&長y)&∀z(~鼻zx→~長z)}。
とりあえず「三上文法」を「批判」します。

(636)「パースの法則」の「対偶」。

2020-06-03 12:27:36 | 論理

(01)
命題計算では、パースの法則は ((P→Q)→P)→P のことを言う。この意味するところを書き出すと、命題Pについて、命題Qが存在して、「PならばQ」からPが真であることが従うときには、Pは真でなければならないとなる。とりわけ、Qとして偽を選んだ場合には、Pから偽が従うときは常にPが真であるならば、Pは真であるとなる(ウィキペディア)。
然るに、
(02)
(ⅰ)
1  (1) P→ Q A
 2 (2)   ~Q A
  3(3) P    A
1 3(4)    Q 13MPP
123(5) ~Q&Q 24&I
12 (6)~P    35RAA
1  (7)~Q→~P 26CP
(ⅱ)
1  (1) ~Q→~P A
 2 (2)     P A
  3(3) ~Q    A
1 3(4)    ~P 13MPP
123(5)  P&~P 24&I
12 (6)~~Q    35RAA
12 (7)  Q    6DN
1  (8)  P→ Q 27CP
従って、
(02)により、
(03)
①  P→ Q≡Pならば、Qである。
② ~Q→~P≡Qでないならば、Pでない。
に於いて、
①=② であって、この「等式」を「対偶(Contraposition)」といふ。
然るに、
(04)
(ⅰ)
1  (1)    ((P→Q)→ P)→P A
 2 (2)              ~P A
12 (3)   ~((P→Q)→ P)   12MTT
  4(4)   ~((P→Q)&~P)   A
  4(5)    ((P→Q)→ P)   4含意の定義(Ⅰ)
124(6)   ~((P→Q)→ P)&
          ((P→Q)→ P)   34&I
12 (7)  ~~((P→Q)&~P)   46RAA
12 (8)     (P→Q)&~P    7DN 
12 (9)      P→Q        8&E
12 (ア)     ~P∨Q        9含意の定義(Ⅱ)
12 (イ)           ~P    8&E
12 (ウ)    (~P∨Q)&~P    アイ&I
1  (エ)~P→((~P∨Q)&~P)   2ウCP
1  (オ) P∨((~P∨Q)&~P)   エ含意の定義
(ⅱ)
1   (1)  P∨((~P∨Q)&~P) A
1   (2) ~P→((~P∨Q)&~P) 1含意の定義
 3  (3) ~P             A
13  (4)     (~P∨Q)&~P  23MPP
13  (5)     (~P∨Q)     4&E
13  (6)      (P→Q)     5含意の定義
  7 (7)      (P→Q)→ P  A
137 (8)             P  67MPP
13  (9)            ~P  4&E
137 (ア)          P&~P  89&I
13  (イ)    ~((P→Q)→ P) 7アRAA
1   (ウ) ~P→~((P→Q)→ P) 3イRAA
   エ(エ)     ((P→Q)→ P) A
   エ(オ)   ~~((P→Q)→ P) エDN
1  エ(カ)~~P             ウオMTT
1  エ(キ)  P             カDN
1   (ク)((P→Q)→ P)→P    エキCP
従って、
(01)~(04)により、
(05)
① ((P→Q)→ P)→P 
② P∨((~P∨Q)&~P)
といふ、
①「パースの法則」と、
②「パースの法則の対偶」に於いても、
①=② である。
然るに、
(06)
② P∨((~P∨Q)&~P)
に於いて、
② Pが「真」であるならば、
② 真∨((~P∨Q)&~P) は「真」である。
然るに、
(07)
② P∨((~P∨Q)&~P)
に於いて、
② Pが「偽」であるならば、
② P∨((~偽∨Q)&~偽) は、
② P∨(( 真 ∨Q)& 真 ) であるが、
② P∨(( 真 ∨Q)& 真 ) は「真」である。
従って、
(06)(07)により、
(08)
② P∨((~P∨Q)&~P)
に於いて、
② Pが「真」であっても、「② は、全体として、真」であり、
② Pが「偽」であっても、「② は、全体として、真」である。
然るに、
(08)により、
(09)
② P∨((~P∨Q)&~P)
に於いて、
② Pが「真」であっても、「② は、全体として、真」であり、
② Pが「偽」であっても、「② は、全体として、真」である。
といふことは、
② Qが「真」であろうと、「偽」であろうと、
② P∨((~P∨Q)&~P)
といふ「命題論理式」は、「恒に真(トートロジー)」である。
といふことを、「意味」してゐる。
従って、
(01)(05)(08)(09)により、
(10)
①((Pであるならば、Qである)ならばPである)ならばPである。
といふ「パースの法則」は、実際には、
①((Pであるならば、Qであろうと、Qでなかろうと)いづれにせよ、Pである)ならばPである。
といふ「意味」になる。
然るに、
(11)
①((Pであるならば、Qであろうと、Qでなかろうと)いづれにせよ、Pである)ならばPである。
といふことは、言ふまでもなく、「当然」である。
従って、
(05)~(11)により、
(12)
① ((P→Q)→ P)→P 
といふ「パースの法則」が、「恒に真(トートロジー)」であることは、「当然」であるものの、そのことは、
① ((P→Q)→ P)→P
といふ「パースの法則」そのものよりも、
② P∨((~P∨Q)&~P)
といふ「パースの法則の、対偶」を見た場合の方が、「分り易い」。
(13)
② P∨((~P∨Q)&~P)
に於いて、
② 真∨((~P∨Q)&~P)
であるならば、そのまま、「真」である。
(14)
② P∨((~P∨Q)&~P)
に於いて、
② P∨((~偽∨Q)&~偽)
であるならば、
② P∨((真)&真)
であり、
② P∨((真)&真)
は、「真」である。
従って、
(05)(13)(14)により、
(15)
① ((P→Q)→ P)→P 
② P∨((~P∨Q)&~P)
に於いて、
①=② であって、尚且つ、
② は、「恒に真(トートロジー)」であるため、
① も、「恒に真(トートロジー)」である。