郎女迷々日録 幕末東西

薩摩、長州、幕府、新撰組などなど。仏英を主に幕末の欧州にも話は及びます。たまには観劇、映画、読書、旅行の感想も。

極東の攘夷と漢文

2005年12月17日 | 読書感想
村田雄二郎 C・ラマール編 『漢字圏の近代 ことばと国家』 東京大学出版会

今日届いた本です。先日TBいただいたところで紹介されていまして、ちょっと興味を持ちました。
これもまだざっととばし読みです。とりあえず、私が多少知っているのは韓国の部分だけですので、そこだけはきっちり読みました。
簡略なガイドブックで、全体に要領よくまとめられてはいるのですが、詳しくなってくるとイデオロギー色が濃くなるような感じですね。
韓国に関しては、ごく短い文章です。これで細かく解説するのは無理だろうな、とは思ったのですが、よく知られたことばかり、でした。
ただ一つ、教えられたことがあります。
解放後すぐに、軍制をしいた米軍が漢字廃止令を出したということです。教科書はハングル専用、横書きで、ということだったそうなのですが、これは知らなかったことで、笑いました。
アメリカのすることって、昔からこうなんですね。

日本の敗戦で解放され、朝鮮半島でなにがはじまったかといいますと、さびれていた村の漢文私塾に、入門する子供が激増し、素読の声が響き渡ったんですね。これは、尹学準氏が『韓国両班騒動記』で書かれていまして、氏は、現実にその状況を体験なさったんです。
これは、なにで読んだか忘れましたが、台湾でも同じことが起こったそうです。
日本の朝鮮半島、台湾支配は、近代化の押しつけでした。朝鮮の解放闘争というのは、主に両班に担われていまして、ずっと攘夷運動の趣が強かったんですね。
漢文私塾というのは、郷班、村に住む貧乏な貴族階級が、私塾を開いていたのですが、これに、解放運動をした層が重なるというわけです。
つまり庶民層は次第に近代化を歓迎するようになっていて、攘夷感情を暖め続けたのは土着の知識層であり、漢文教育は解放闘争のシンボルとなっていたんです。

米軍の漢字廃止令から5年後、教科書は漢字ハングル混用にもどったというのは、当然のなりゆきでしょう。

どうもいけません。ほんっとにいいです、ギャルドの軍艦マーチ。
くり返し聞き続けてしまって、本が読めません。

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