トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

日本人とクジラ展

2016-12-09 21:10:16 | 展示会鑑賞
 東北歴史博物館の特別展『日本人とクジラ』を先日見てきた。宮城県には捕鯨基地の鮎川港(石巻市)があり、特別展を博物館のHPではこう紹介している。 「四方を海に囲まれた日本列島に住むわたしたちは、古くから海とのかかわりを持ち、多くの恵みを海から授かってきました。「クジラ」もそうした授かり物のひとつで、その歴史は長く、古くは縄文時代まで遡ることができます。なかでも、宮城県は近代捕鯨の中心的基地をかか . . . 本文を読む
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サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 その④

2016-12-04 21:10:09 | 読書/ノンフィクション
その①、その②、その③の続き その②には mottonさんから次のコメントがあり、日本と比べてみるのも一興だろう。「ヤルタ協定とサンフランシスコ平和条約みたいなものですね。(というか、ドイツと組んだ同盟国の分割という意味でそっくり。)分割された側のトルコや日本は条約にのみ従っており(協定は無効だから帝国領土を復活せよなんて言わない)、秘密協定は歴史的意味しかありません…」  中東問 . . . 本文を読む
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サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 その③

2016-12-03 21:10:14 | 読書/ノンフィクション
その①、その②の続き セーヴル条約とはトルコ抹殺宣言に等しく、条約で制定された領土分割は事実上、オスマン帝国崩壊の最後の一撃となった。同時に条約はトルコ人の間に強い民族主義感情を湧き立たせることになり、ムスタファ・ケマル率いるアンカラ政府軍がトルコ独立戦争を引き起こす。 この独立戦争が、いかに激しく苦しいものだったのかは、日本でも翻訳されたトルコのベストセラー小説『トルコ狂乱』に描かれている。帝都 . . . 本文を読む
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サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 その②

2016-11-30 22:10:07 | 読書/ノンフィクション
その①の続き サイクス=ピコ協定に対する批判は主に2種類がある。ひとつは、「サイクス=ピコ協定は外部の大国による恣意的な線引きであって、現地の民族・宗教・宗派の分布に合っていない」というもの。21世紀でも宗教や宗派、民族、部族などで争い合うイラクやシリアを見れば、この批判は妥当なものに思えるのは無理もない。 では現地の民族・宗教・宗派に合致するように国境線を引き直せば、問題は解決するだろうか?そも . . . 本文を読む
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サイクス=ピコ協定 百年の呪縛 その①

2016-11-29 21:10:08 | 読書/ノンフィクション
『サイクス=ピコ協定 百年の呪縛』(池内恵著、新潮選書)を読了した。著書名どおり、サイクス・ピコ協定が結ばれてから(1916年5月16日)、今年はちょうど百年目になる。過去記事で何度か書いているが私が中東に関心を持ったのは、映画『アラビアのロレンス』を見たのがきっかけ。初めてこの映画を見たのは1980年11月だった。この時もリバイバルだったが、世界史や中東に関心のある人の間ではわりとこの協定が知ら . . . 本文を読む
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フレディ・マーキュリー生誕70年

2016-11-24 21:10:17 | 音楽、TV、観劇
 今年は不世出のロックボーカリスト、フレディ・マーキュリー(1946-1991年)の生誕70周年であり、没後25年目の年でもある。彼の生前からのファンだった方はもちろん、私のように死後ハマった人も感無量だろう。 私の場合、リアルイムで聴けた世代にも拘らず、あのヒゲと胸毛でモロに毛嫌いしてしまい、死後になってやっとフレディやクイーンが好きになったことが今さらながら悔やまれる。フレディの命日にちなみ、 . . . 本文を読む
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ボジョレー・ヌーボー狂想曲

2016-11-22 21:10:13 | 世相(日本)
 11月の風物詩として、すっかり日本に定着したボジョレー・ヌーボー。解禁日にはメディアが大々的に取り上げ、この日を待ちわびた人々がボジョレー・ヌーボーを飲む映像が流される。このワインを飲みながら旬なイベントを楽しむ様子は、メディアのトップニュースのひとつでもあり、霜月は欠かせないネタとなっている。 だが、ボジョレー・ヌーボーは高級酒どころか現地では安い地酒扱いなのは、ワイン通には程遠い私でも知って . . . 本文を読む
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カエルの楽園 その③

2016-11-18 22:10:08 | 読書/小説
その①、その②の続き 日頃から『三戒の教え』への遵守を説くデイブレイクだが、彼自身はナパージュのカエルは信じず、意見の異なるカエルとは徹底して争い、かつ反対派と争うための力は放棄しない似非平和主義者なのだ。『三戒の教え』に疑問を呈した若者には、こう凄んでいる。「お前みたいな若いカエルが天下のデイブレイク様に意見をして、ただですむと思っているのか。お前など葬り去るのは簡単なんだぞ」『三戒の教え』の破 . . . 本文を読む
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カエルの楽園 その②

2016-11-16 21:10:09 | 読書/小説
その①の続き ナパージュで爪はじきにされているハンドレットは、国論を支配する“進歩的カエル”たちをこう蔑む。「“語り屋”とか、“物知り屋”とか、“評論屋”とか、“代言屋”とかいう連中だ。みんな、自分たちがどのカエルよりも賢くて、頭がいいと思っている鼻持ちならないカエルたちだ。しか . . . 本文を読む
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カエルの楽園 その①

2016-11-15 21:40:26 | 読書/小説
『カエルの楽園』(百田尚樹 著、新潮社)を先日読了した。『海賊とよばれた男』に続き、私が読んだ百田氏の小説はこれで2冊目だが、どれほど苦難に遭っても不屈の精神を貫いた実業家を描いた胸のすくストーリーだった前者に対し、本作は実に胸糞の悪くなる内容だった。最後が悲惨なのは前評判から知っていたが、本当に救いがないとしか言いようのない寓話だった。  アマゾンでも『カエルの楽園』には数多いレビューがあり、 . . . 本文を読む
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PK 14/印/ラージクマール・ヒラーニ監督

2016-11-11 21:40:32 | 映画
 暫くぶりでインド映画を見てきた。日本でもヒットした『きっと、うまくいく』監督・主演による最新作こそこの映画。チラシでは作品のストーリーをこう紹介している。 「留学先で悲しい失恋を経験し、今は母国インドでテレビレポーターをするジャグーは、ある日地下鉄で黄色いヘルメットを被り、大きなラジカセを持ち、あらゆる宗教の飾りをつけてチラシを配る奇妙な男を見かける。チラシには「神さまが行方不明」の文字。 ネ . . . 本文を読む
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新聞に見る子供の声

2016-11-07 22:10:11 | マスコミ、ネット
 他の地方紙は不明だが、河北新報の読者欄『声の交差点』には数年ほど前から小学生の投稿が増えている。最近の「声の交差点」投稿者には老人や小中学生の未成年が目立ち、しかも前者では特定の人物が何度も投稿することもある。10年ほど前には女子高生の投稿の連投があり、拙ブログにも「心なしか、最近の『声の交差点』には新聞擁護の女子高生の投稿が目立つような気がする」と書いたことがあった。 年代は異なっても、『声の . . . 本文を読む
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雪舟と宮本武蔵と水墨画展

2016-11-04 21:40:08 | 展示会鑑賞
 先月末、仙台市博物館の特別展『雪舟と宮本武蔵と水墨画』を見てきた。サブタイトルには「岡山県立美術館 珠玉の名品」とあり、特別展をチラシではこのように紹介している。 「水墨画は中国で生まれ、日本においても室町時代以降、盛んに描かれるようになりました。特に雪舟の活躍によって日本の水墨画は大きく発展しました。 岡山県立美術館は、岡山出身である雪舟とその弟子たちの作品をはじめ、岡山ゆかりの宮本武蔵、浦 . . . 本文を読む
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宗教の復讐 その④

2016-10-31 22:10:10 | 読書/ノンフィクション
その①、その②、その③の続き 狂信的な宗教組織が過激化するのにさして時間は要しない。元から政教一体が大原則のユダヤ教、宗教組織員が社会や政治問題に介入してくるのは当然なのだ。宗教に回帰したユダヤ人にとって、唯一神から与えられた神聖なる“約束の地”を1平方㎝でも汚らわしいゴイにわたすのは、耐え難い屈辱だけでなく冒涜行為なのだ。彼らの中にはテロリズムに走る者も出てくる。 198 . . . 本文を読む
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宗教の復讐 その③

2016-10-30 21:10:21 | 読書/ノンフィクション
その①、その②の続き シモン・フルヴィッツの著作『ユダヤ人であること』が出版された同年、同じくユダヤ系アメリカ人マイヤー・シラーもまた『帰路』という著書を発表している。近代の行き詰まりの起源は啓蒙時代にあると言い、それをこう断定した。「人間が神中心の世界から固いもやい綱を断ち切り、世俗イデオロギーの潮流によって、冷酷にも居心地の悪い懐疑の海に引きづられていった時代……以 . . . 本文を読む
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