トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

ラスコー展

2017-05-26 21:10:17 | 展示会鑑賞
 東北歴史博物館の特別展『世界遺産ラスコー展』を先日見てきた。BS日テレの「ぶらぶら美術・博物館」で、この特別展が放送されたことがあり、絶対見たいと思っていた。GW過ぎでも会場は結構混雑していたが、期待した以上に良かった。特別展をチラシ裏ではこう紹介している。―今から2万年ほど前、フランス南西部の洞窟に、躍動感溢れる動物たちの彩色画が描かれました。そこはラスコー洞窟、壁画を描いたのはクロマニョン人 . . . 本文を読む
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中東に売られる子供たち その②

2017-05-22 21:40:07 | 読書/小説
その①の続き“人市場”で売りに出された少年たちは、サウジやクウェートなどのペルシア湾岸諸国のラクダレースで働くことになる。豊かな湾岸諸国で開催されるラクダレースに、少年たちが騎手として参加しているのは知っていた。近隣諸国やインドの他に、パキスタンの少年たちもいるのも知っていた。しかし、その後の少年たちはどうなったのか?プラバカルは主人公にこう話す。 裕福な家長たちの午後の気 . . . 本文を読む
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中東に売られる子供たち その①

2017-05-21 21:40:13 | 読書/小説
 最近、夢中になって読んだ小説がある。『シャンタラム』(グレゴリー・ディヴィッド・ロバーツ著、新潮文庫)がそれで、これほどリアルにインド最大の商都ムンバイ(旧ボンベイ)の裏社会を描いた物語は、他に見当たらないかもしれない。 インドの小説自体、日本での邦訳が極めて少ないにせよ、私がこれまで見たムンバイを舞台にした小説の中でも異色作だった。しかも、名前から著者はインド人ではなく、オーストラリア人。文庫 . . . 本文を読む
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最近の若者は…

2017-05-16 21:40:20 | 歴史諸随想
 前回は古代ギリシアについて書いたが、優れた哲学者を輩出していた時代でもあった。大半の日本人は著書を読まないにせよ、ソクラテスやその弟子プラトンの名だけは知っている。さらにアリストテレスはプラトンの弟子に当たる。 彼らのような大哲学者ならば、さぞ若者たちから絶大な信頼と尊敬を受け、弟子たちは服従しきっていたと思いきや、必ずしもそうではなかったようだ。『アシモフの雑学コレクション』(新潮文庫)に載っ . . . 本文を読む
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ギリシア人の物語Ⅱ その④

2017-05-12 21:40:06 | 読書/欧米史
その①、その②、その③の続き シチリア遠征軍の壊滅は惨すぎる。デロス同盟軍からの参加兵も加えれば、5万人にもなった遠征軍の中で、生き残ったのは7千人でしかなかったという。捕虜となった7千人のうち半分はアテネ市民だったと考えられているが、残り半分の非アテネ人は奴隷として売られる。 後者のように奴隷として売り飛ばされた方がマシだったかもしれない。アテネ人は地下の石切り場で強制労働を強いられ、飢餓や病で . . . 本文を読む
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ギリシア人の物語Ⅱ その③

2017-05-11 21:10:08 | 読書/欧米史
その①、その②の続き 繁々と訪ねてくるアスパシアの男友達にソクラテスがいたので、ペリクレスはこの大哲学者の影響を受けたのでは?と想像したくなるが、彼はソクラテスに興味は持たなかったそうだ。ペリクレスが哲学に無関心ではなく、哲学者アナクサゴラスは親友の仲だった。しかし、市民集会の場で、「無知であることを知れ」等と言おうものなら、それだけでブーイングはもちろん、陶片追放にさえなりかねない。 ギリシア史 . . . 本文を読む
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ギリシア人の物語Ⅱ その②

2017-05-08 21:41:08 | 読書/欧米史
その①の続き 紀元前ゆえに古代ギリシア世界は、現代のイスラム圏と同じく完全な男優位社会だった。既婚未婚問わず、父や夫が中流~上流階級に属する女は、祝祭日に行われるのが恒例の神殿までの祭列に加わる以外、まず外出の機会そのものからしてなかった。あのオリンピックも女は観戦を許されず、家にこもっているのが良しとされ、家の女主人は夫の客に挨拶に出ることもなかった。いかもに女性作家らしく、著者はこう述べている . . . 本文を読む
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ギリシア人の物語Ⅱ その①

2017-05-07 13:10:03 | 読書/欧米史
『ギリシア人の物語Ⅱ/民主制の成熟と崩壊』(塩野七生著、新潮社)を先日読了した。前巻『ギリシア人の物語Ⅰ/民主制のはじまり』は既に見ていたが、古代ギリシア史には特に関心はなかったし、元から私は古代ペルシア贔屓。それでも塩野氏の作品なので、ペルシアが“悪役”だった第1巻でも面白く読めたが、記事にしたくなるほどの感銘はなかった。 しかし、今作は違った。一般に古代ギリシア=アテネ . . . 本文を読む
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連休中の雑感

2017-04-30 21:30:02 | 私的関連
 GWとなりました。予報では今年のGWは概ね晴天に恵まれるようで何よりです。たとえ行楽地に行かずとも、好天続きなのは気分がよいもの。連休を皆様方はいかが過ごされるのでしょうか?GWに仕事をされている方々も、つつがなく過ごせるように願います。  1週間ほど前、宮城県北部の桜巡りツアーに参加しました。仙台市内ではすっかり桜は散りましたが、県北部では満開状態となった名所が幾つかあるのです。そのひとつ、 . . . 本文を読む
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東北でよかった

2017-04-29 22:10:37 | 世相(日本)
 前復興相・今村雅弘による東日本大震災への発言は、今週の国内ニュースのトップ扱いとなった。この件では既に多くのサイトで取り上げられており、4月25日付の痛いニュースでの反応は、一宮城県人の私さえ共感するコメントも多かった。「まだ東北で、あっちの方だったから良かった。首都圏に近かったりすると莫大な額になった」という発言は、残酷ではあるものの、事実なのは否定できない。実は我が家でも、こちらの方だったか . . . 本文を読む
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音楽は宇宙からやって来る その③

2017-04-25 21:40:23 | 読書/ノンフィクション
その①、その②の続き インド伝統音楽の根幹をなすラーガを、山田和氏はこう解説している。ラーガの基礎をなすラサと呼ばれる感情理論では、それをヴァーサナー、つまり潜在記憶または潜在印象と呼ぶのだが、この概念はユング心理学の集合的無意識と同じ地平に立っている。自我を越えた潜在的な「我々」が、あなたと私を繋いでいる。あなただけではない、地上の一切の生をだ。それも時空を超え、あまねく。 芸術はこの潜在意識に . . . 本文を読む
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音楽は宇宙からやって来る その②

2017-04-24 21:40:12 | 読書/ノンフィクション
その①の続き「音楽は宇宙からやって来る」と答えた後、ダーガルは静かに目を閉じて再び開き、山田氏を直視する。それから上向きに広げた両の掌をやや下方で開き、ヨーガの際の深い呼吸をするように息をゆっくりと吸い込むと、今度はその手で何かを抱くように、胸の所へ寄せながら息を吐く。ハァーッという音が、部屋に広がった。「これが音楽だよ。宇宙からやって来る」。そう言って彼は微笑んだそうだ。つまり、ラーガやラーギニ . . . 本文を読む
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音楽は宇宙からやって来る その①

2017-04-23 22:10:05 | 読書/ノンフィクション
 前回の記事で、インド人と西欧人との思考や発想の違いに触れたが、音楽方面でも観念がずいぶん違っているようだ。2011年に読んだ『インド ミニアチュール幻想』((山田 和(かず)著、文春文庫)には、インド人音楽家による興味深い言葉が見え、今回の記事名もそこからの引用。 この人物はドゥルパド、つまりインドで最も古い形式を持つ声楽を継承する、当代きっての音楽家だそうだ。山田氏によるインタビューは1994 . . . 本文を読む
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奇蹟がくれた数式 15/英/マシュー・ブラウン監督

2017-04-19 21:10:14 | 映画
 原題:The Man Who Knew Infinity、インドの天才数学者ラマヌジャンの伝記映画である。この作品の仙台公開は昨年末だったが、上映した映画館のHPではこう紹介していた。 「第一次大戦直前の英国。数学者ハーディ教授のもとに1通の手紙が届く。その中に驚くべき“ 数学的発見” を見つけた教授は、手紙の送り主であるインドの青年を呼び寄せることにするのだが&hel . . . 本文を読む
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文科系のNGOやボランティアを被災地へ入れるな!その②

2017-04-15 22:10:16 | 世相(日本)
その①の続き ひと口に文科系といえ学科は実に様々ある。大学の一般教養科目は人文科学・社会科学・自然科学であり、ttuErika氏がいう文科系とは、主に人文科学系を指していると思える。デジタル大辞泉の解説では人文科学を、「政治・経済・社会・歴史・文芸・言語など、人類の文化全般に関する学問の総称。狭義には自然科学・社会科学に対して、歴史・哲学・言語などに関する学問をいう」とある。 一方、自然科学につい . . . 本文を読む
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