トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

トルコのもう一つの顔 その⑥

2017-11-17 21:10:19 | 読書/ノンフィクション
その①、その②、その③、その④、その⑤の続き 一般にトルコの知識人は、国の同化政策やトルコ語強制を非人道的とは思っていないようだ。小島氏がサムスン郊外に住むO夫人の夕食会に招かれた時のエピソードも興味深い。クルド人の話題が出た際、一家は「トルコは社会主義国ではないから少数民族に言語自治を与えることができない」と主張、小島氏と意見が合わなかったという。「ここはトルコよ。国民全部がトルコ語をしゃべるの . . . 本文を読む
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トルコのもう一つの顔 その⑤

2017-11-16 21:10:07 | 読書/ノンフィクション
その①、その②、その③、その④の続き 1986年6月から10月までの5ヵ月間、小島剛一氏はトルコ政府の許可を得てトルコの言語の研究調査を始めた。氏の研究がトルコ政府にとって有益なものであると判断したようだ。但し、「研究調査の手助け」として随行員を付けている。実際は監視役であるのはいうまでもなく、最初は随行員P氏が同行する。歴史学者で専攻はオスマン・トルコ帝国史、フランス語とアラブ語が出来るというP . . . 本文を読む
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トルコのもう一つの顔 その④

2017-11-14 21:40:14 | 読書/ノンフィクション
その①、その②、その③の続き 兵役制のあるトルコだが、軍隊でもアレウィー教徒は虐めを受けているという。小島氏が既に兵役を終えたアレウィー教徒の村の誰彼に訊ねても、軍隊は酷い処だと言う。理由なく上官に殴られ、抵抗は不可能。トゥンジェリ県出身者と判れば、同輩にもいびられる。 食前のイスラム式のアラブ語の挨拶が淀みなく言えないと、食事もさせてもらえない。もちろんトルコ語が満足に話せなくても殴られる。兵役 . . . 本文を読む
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トルコのもう一つの顔 その③

2017-11-13 22:03:24 | 読書/ノンフィクション
その①、その②の続き イスラムにも様々な教派があり、イスラム研究者の間でもアレウィー教徒はよく知られていないようだ。「アリに従う者」の意から、シーア派の一派なのは明らかだが、イスラムとの共通点は一神教であること、割礼をし、豚肉を食べないことくらいという。回教やキリスト教では死者の魂は「最後の審判」を待つことになっているが、アレウィー教徒の教義では魂は輪廻転生する。 さらにアレウィー教徒の村にはモス . . . 本文を読む
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トルコのもう一つの顔 その②

2017-11-10 21:40:04 | 読書/ノンフィクション
その①の続き「トルコ国民は全てトルコ人であり、トルコの言語はトルコ語以外にはない。トルコ語以外の言葉はトルコ国内に存在しない」、というのがトルコ共和国建国以来の歴代トルコ政府の公式見解である。よく欧米諸国では、トルコの人権抑圧例としてクルド語の使用禁止が挙げられるが、現代(※執筆時の1990(平成2)年)に至るまで、クルド語に限らず、大多数の少数民族言語はトルコ国内で読み書き話すことを禁じられてい . . . 本文を読む
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トルコのもう一つの顔 その①

2017-11-09 21:10:19 | 読書/ノンフィクション
 遅ればせながら、『トルコのもう一つの顔』(小島剛一著、中公新書1009)を先日読了した。この本の初版は1991年2月だが、私が読んだのは2012年3月の11版のもの。総じて中東に関心の薄い日本の出版界や読者が主流にも関わらず、異例のロングセラーとなっている新書なのだ。アマゾンでも高評価レビューが多く、四半世紀も前に執筆されていながら全く古さを感じさせない良書だった。 タイトルこそ『トルコのもう一 . . . 本文を読む
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山下清 展

2017-11-05 21:10:12 | 展示会鑑賞
 山下清 展を先日見てきた。開催場所はTFUギャラリー Mini Mori、山下の代表的な貼絵を中心とする作品約130点を展示していた。山下といえば貼絵画家のイメージが強いが、会場では油彩や水彩画、ペン画、陶磁器の絵付けまであったのは意外だった。会場は「少年期からから放浪へ」「放浪期から画家へ」「円熟期から晩年へ」の3章で構成されており、ギャラリーの公式HPもある。 また会場には山下の手紙やコメン . . . 本文を読む
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『心に青雲』氏の逝去に思う

2017-11-04 20:38:20 | マスコミ、ネット
 視点や発想のユニークさで知られた人気ブログ『心に青雲』が、閉鎖されていたことを知った。そればかりか、ブログ主が今年8月12日に亡くなったこともその時分った。『心に青雲』常連コメンターの1人だった女性ブロガー「神戸だいすき」氏が8月21日付の記事で訃報を載せており、さらに同日には追悼文記事もある。そして後者では『青雲』氏の生い立ちも描かれていた。『青雲』氏の本名は都築 詠一(つづき えいいち)、享 . . . 本文を読む
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TFC55 全国ツアー2017

2017-10-31 21:40:26 | 音楽、TV、観劇
 10月27日、東京エレクトロンホール宮城(宮城県民会館)で行われたTFC55のコンサートに行ってきた。TFC55とは東儀秀樹×古澤巌×cobaら3人組のユニットでメンバーは全員1959年生まれ、ユニット結成時は55歳だったことにちなんでいるそうだ。今年の全国ツアーの公式サイトもあり、ツアースケジュールに目を通すと、東北でのツアーは仙台が最初なのだ。 3年前の11月に行われ . . . 本文を読む
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人生タクシー 15/イラン

2017-10-26 22:10:39 | 映画
 DVDでだが、先日久しぶりにイラン映画を見た。監督ジャファル・パナヒ、代表作に『白い風船』『チャドルと生きる』『オフサイド・ガールズ』等がある。仙台で公開されたミニシアターでは、作品を次のように解説していた。―反体制的な活動を理由に、政府から“20年間の映画監督禁止令”を受けているイランの名匠ジャファル・パナヒ監督、待望の最新作。監督自らタクシー運転手に扮し、厳しい情報統 . . . 本文を読む
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衆議院選と知事選に想うこと

2017-10-23 21:40:04 | 世相(日本)
 昨日の宮城県では、第48回衆議院総選挙と県知事選が同時に行われた。宮城県選挙管理委員会の公式HPもあるが、これは「宮城県明るい選挙推進協議会」との共同サイトでもあるのだ。冗談みたいな“明るい選挙推進協議会”という名称には呆れるが、選管のネーミングは毎度ながらセンスがない。 選挙結果は事前の予想通り与党が3百を超える議席数を獲得、大勝した。尤も週刊現代だったと思うが、選挙前 . . . 本文を読む
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オーダーメイド・ベビー

2017-10-19 21:10:12 | 音楽、TV、観劇
 10月12日に放送されたNHK BS1『世界のドキュメンタリー』の「オーダーメイド・ベビー」は考えさせられた。生殖医療がここまで進んできたことに驚いた一般視聴者も多かっただろう。以下は番組サイトにある説明。 ―目の色から身長まで、親が望む特徴を備えた“理想の赤ちゃん”をカスタマイズ?生殖医療が飛躍的な進歩を遂げた結果、SFながらの現実が目前に。技術と倫理の境界を追う。 . . . 本文を読む
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家電の耐用年数…

2017-10-15 20:40:07 | 私的関連
 昨日、新しい冷蔵庫が自宅に届いた。我が家の冷蔵庫は平成8(1996)年1月の初売りで購入した家電だが、1週間ほど前から突然水漏れをするようになった。それまでは故障はもちろんトラブルも全くなかったのに、使い始めて21年9箇月目にしてお釈迦となったようだ。 1週間ちかく前の朝、冷蔵庫を開けたら床に水が溜まっていたため、始めはタッパーから水が漏れたでは?と思った。しかし、その日から毎日冷蔵庫内の床に水 . . . 本文を読む
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服従 その④

2017-10-09 21:10:29 | 読書/小説
その①、その②、その③の続き 一般に日本ではお堅い職業の典型と思われている大学教授だが、『服従』の主人公フランソワはそんなイメージとは対照的な教職者なのだ。シーズン毎に恋人がいて、教え子とも関係を持つ独身貴族。彼が独身なのは、両親の不幸な結婚生活と破綻が影響しているが、これは作者ウエルベック自身の生い立ちが反映されているのかもしれない。 いかに優雅な独身貴族を満喫していても、年を取れば健康上の問題 . . . 本文を読む
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服従 その③

2017-10-08 21:40:14 | 読書/小説
その①、その②の続き 佐藤優氏の友人であるイスラエル人は、イスラム国の現状も説明しており、話を要約するとこうだ。スンニ派に属するイスラム国にとって重要なのは、シーア派との党派闘争だ。当面、イスラム国がイラクとシリアで実効支配する地域からシーア派を放逐することが戦略的課題となる。 さらにイスラム国は、スンニ派内での覇権獲得に腐心している。パレスチナ自治政府のガザ地区で、同じスンニ派に属する過激派ハマ . . . 本文を読む
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