トーキング・マイノリティ

読書、歴史、映画の話を主に書き綴る電子随想

音楽は宇宙からやって来る その③

2017-04-25 21:40:23 | 読書/ノンフィクション
その①、その②の続き インド伝統音楽の根幹をなすラーガを、山田和氏はこう解説している。ラーガの基礎をなすラサと呼ばれる感情理論では、それをヴァーサナー、つまり潜在記憶または潜在印象と呼ぶのだが、この概念はユング心理学の集合的無意識と同じ地平に立っている。自我を越えた潜在的な「我々」が、あなたと私を繋いでいる。あなただけではない、地上の一切の生をだ。それも時空を超え、あまねく。 芸術はこの潜在意識に . . . 本文を読む
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音楽は宇宙からやって来る その②

2017-04-24 21:40:12 | 読書/ノンフィクション
その①の続き「音楽は宇宙からやって来る」と答えた後、ダーガルは静かに目を閉じて再び開き、山田氏を直視する。それから上向きに広げた両の掌をやや下方で開き、ヨーガの際の深い呼吸をするように息をゆっくりと吸い込むと、今度はその手で何かを抱くように、胸の所へ寄せながら息を吐く。ハァーッという音が、部屋に広がった。「これが音楽だよ。宇宙からやって来る」。そう言って彼は微笑んだそうだ。つまり、ラーガやラーギニ . . . 本文を読む
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音楽は宇宙からやって来る その①

2017-04-23 22:10:05 | 読書/ノンフィクション
 前回の記事で、インド人と西欧人との思考や発想の違いに触れたが、音楽方面でも観念がずいぶん違っているようだ。2011年に読んだ『インド ミニアチュール幻想』((山田 和(かず)著、文春文庫)には、インド人音楽家による興味深い言葉が見え、今回の記事名もそこからの引用。 この人物はドゥルパド、つまりインドで最も古い形式を持つ声楽を継承する、当代きっての音楽家だそうだ。山田氏によるインタビューは1994 . . . 本文を読む
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奇蹟がくれた数式 15/英/マシュー・ブラウン監督

2017-04-19 21:10:14 | 映画
 原題:The Man Who Knew Infinity、インドの天才数学者ラマヌジャンの伝記映画である。この作品の仙台公開は昨年末だったが、上映した映画館のHPではこう紹介していた。 「第一次大戦直前の英国。数学者ハーディ教授のもとに1通の手紙が届く。その中に驚くべき“ 数学的発見” を見つけた教授は、手紙の送り主であるインドの青年を呼び寄せることにするのだが&hel . . . 本文を読む
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文科系のNGOやボランティアを被災地へ入れるな!その②

2017-04-15 22:10:16 | 世相(日本)
その①の続き ひと口に文科系といえ学科は実に様々ある。大学の一般教養科目は人文科学・社会科学・自然科学であり、ttuErika氏がいう文科系とは、主に人文科学系を指していると思える。デジタル大辞泉の解説では人文科学を、「政治・経済・社会・歴史・文芸・言語など、人類の文化全般に関する学問の総称。狭義には自然科学・社会科学に対して、歴史・哲学・言語などに関する学問をいう」とある。 一方、自然科学につい . . . 本文を読む
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文科系のNGOやボランティアを被災地へ入れるな!その①

2017-04-14 22:10:18 | 世相(日本)
 今日で熊本地震の前震発生から1年目を迎えます。大地震の犠牲者並びに被災者の皆様方には、心よりお悔やみ申し上げます。被災者ではなかったにせよ、東日本大震災を体験した一宮城県民である私にとっても他人事でありませんでした。震災の爪痕は未だに消えませんが、1日も早い被災地の復旧を願っております。  熊本地震について多くのブロガーが記事にしているが、根っからの文科系の私には、どきっとさせられた言葉がある . . . 本文を読む
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新聞を読む日 その②

2017-04-10 21:10:13 | マスコミ、ネット
お題「新聞を読んでいますか?」に参加中!
その①の続き 河北新報には、長年オカルト紛いの怪しげな研究会に関わり、80過ぎても世界の恒久平和といった戯言を吐く老人の投稿ばかりではなく、真っ当な意見を載せる時もある。今年3月23日付の「声の交差点」に、「報道番組 事実の一部だけ」という題名の投稿があり、その全文を紹介したい。 「テレビのニュースを見ていて、その番組で報道されていることが真実の全てだと思ってしまうことはないでしょうか。私たちが . . . 本文を読む
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新聞を読む日 その①

2017-04-09 21:10:31 | マスコミ、ネット
 4月6日は四(し)六(ろ)の語呂合せで「城」の日であると同じく、四(よ)六(む)「読む」の語呂合せで新聞を読む日でもあることを、先日メル友から教えて貰った。4日6日の記念日を紹介したサイトもあり、これには日本新聞協会販売委員会が2003年に制定したことが載っている。 4月は転勤や入学等で住いを移す人が多いことから、「これを機会に新聞を読み始めませんか」というキャンペーンが行われるとも書かれている . . . 本文を読む
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家族の肖像 74/伊=仏/ルキノ・ヴィスコンティ監督

2017-04-06 21:10:30 | 映画
 英語題「Conversation Piece」、18世紀イギリスで流行した「家族の団欒を描いた絵画」を指す。上映した「仙台フォーラム」のHPでは、作品をこう紹介していた。―「家族の肖像」と呼ばれる団らん画のコレクションに囲まれて、ローマの豪邸に一人暮らす老教授。失われゆくものたちに埋もれ孤独に生きてきた彼の生活は、ある家族の闖入によってかき乱されてゆく。車椅子を操り、気迫と執念で撮り上げたヴィス . . . 本文を読む
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ルノワール展

2017-04-01 20:40:08 | 展示会鑑賞
 宮城県美術館の特別展「ルノワール展」を、先日見てきた。ルノワール級の巨匠の展覧会となれば、大抵は東北では開催されず東京の次は札幌というケースが多かった。しかし、今回は地元で特別展が見られて嬉しい。美術館サイトやチラシでは特別展をこう解説している。 「明るい陽光のなかで、あどけない表情を浮かべる少女。あるいは、柔らかい光のなかで、静かに読書する女性。これらのイメージには、ひとかけらの悩みもなく、 . . . 本文を読む
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キリシタンはなぜ迫害されたか? その④

2017-03-27 22:40:16 | 歴史諸随想
その①、その②、その③の続き 他県は不明だが映画「沈黙」は、仙台で2ヶ月以上ものロングラン上映となっている。上映しているのはフォーラム仙台というミニシアターだが、外国映画で最も多く公開されるのは韓国映画という劇場でもある。 それほどヒットしているとは思えぬ作品にも関わらず、これほど長く上映されているのも不可解だ。私のメル友の男性は映画「沈黙」について、こんな感想を漏らしていたが、少なからぬノンクリ . . . 本文を読む
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キリシタンはなぜ迫害されたか? その③

2017-03-26 21:40:07 | 歴史諸随想
その①、その②の続き 諸行無常という仏教用語がある。仏教の根本思想をなす言葉だが、少なからぬクリスチャンなら偶像崇拝者の戯言と一蹴するであろう。しかし、徳川政権が誕生した17世紀に入るとキリシタンや日本在住ポルトガル人の環境は一変、まさに諸行無常としか言いようがない。諸行無常はクリスチャンには不適切な言葉なので、キリシタンが迫害を受けたのは神の摂理が相応しい。 文面からクリスチャンらしき人物による . . . 本文を読む
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キリシタンはなぜ迫害されたか? その②

2017-03-23 21:40:10 | 歴史諸随想
その①の続き 山根氏は現代のトランプ米政権と江戸幕府の非寛容性を重ね合わせて述べているが、宗教や思想の自由がようやく認められるようになったのは近世なのだ。現代でも第三世界は宗教や思想の自由だけでなく、人権さえ保障されない国が大半。 まして17世紀前半という『沈黙』の時代、異端審問や魔女狩りで知られる欧州諸国が、宗教や思想の自由を認めず世界で最も非寛容な世界だった。一方、オスマン帝国などの . . . 本文を読む
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キリシタンはなぜ迫害されたか? その①

2017-03-22 21:40:46 | 歴史諸随想
 映画や原作となった小説も未見だが、2月23日付の河北新報15面に「映画「沈黙」に思う」というコラムが載った。寄稿者はノートルダム清心女子大の山根道公教授(1960年岡山県生まれの文学博士とある)。以下はコラム前半からの引用。 「不寛容に向かう時代の潮流を象徴するトランプ米大統領の就任演説が朝のニュースで流れた日に、遠藤周作原作、マーティン・スコセッシ監督の映画「沈黙 サイレンス」の封切りが重な . . . 本文を読む
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ケマル・アタテュルク:トルコ国民の父 その②

2017-03-18 21:40:21 | 読書/中東史
その①の続き 祖国解放運動の第一歩となったサムスン上陸時(1919年)にもケマルは体調不良、ハウザ(現サムスン県)に立ち寄り腎臓病の治療を受けている。解放運動指導者としての地位を確立したエルズルム会議、シヴァス会議時にあっても、腎臓病に苦しんでいた。さらに1925年と27年、冠状動脈血栓を起こしている。36年11月は肺炎となり、37年に入って肝硬変と診断された。しかし、彼は大統領としてハタイ併合な . . . 本文を読む
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