杉浦 ひとみの瞳

弁護士杉浦ひとみの視点から、出会った人やできごとについて、感じたままに。

・弁護士会のご紹介 ~ 日弁連新会長宇都宮健児氏の挨拶

2010-04-01 11:24:06 | 報道・情報
今年になって、弁護士会の会長選挙が新聞などマスコミをにぎわすという状況です。
(先回のサンデープロジェクトにも新会長宇都宮健児さんが出演)

私も弁護士でない頃には、弁護士も弁護士会もまったくその実態を知らずにきました(市民として弁護士に関わったことはありませんでした)。
でも、司法の一翼として、まさに私たちの人権が侵害されたり、あるいは国の政策に対しても必要な問題を提言したり、運動して働きかけたりしている、することができる立場にあるということが分かってきました。

多くのかたに、どのように弁護士・弁護士会が役立つのか、もっと使えるのか、育てられるのかを知っていただきたく、今回注目を浴びています宇都宮健児新会長の挨拶をご紹介します。



下記は、日弁連(日本弁護士連合会)のホームページに掲載された挨拶文です。
http://www.nichibenren.or.jp/ja/jfba_info/kaityou_aisatsu/kaityou_aisatsu2010.html
 就任のご挨拶
2010年度・2011年度の日弁連会長に就任するに当たり、ご挨拶申し上げます。
新しい日弁連執行部は、「市民の目線で第二次司法改革」を基本方針に掲げます。改革の原点を見定めるには、「弁護士は今、市民の身近にあって何をすることを求められているのか」を常に問い直すことが求められます。

一つは、貧困と格差が拡大する社会における、弁護士の「社会生活上の医師」としての活動です。貧困問題対策本部を立ち上げて、生活保護や労働相談などの活動を全国的に推進します。このような活動を、幅広く継続的なものにするためには、弁護士の主体的取り組みとともに、民事法律扶助の拡充がぜひとも必要です。

もう一つは、えん罪をなくすための刑事弁護人としての活動です。被疑者国選制度を担うとともに、全面的国選付添人制度の実現を目指します。取調べの全過程の可視化、検察官手持ち証拠の全面開示、起訴前保釈の実現などの課題にも、全力を挙げて取り組みます。市民の司法参加を目指すものとしてスタートした裁判員制度については、裁判員裁判への取り組みを通じて、被告人の防御権、弁護権が守られているかという観点から検証し、必要な改革を図るべきである、と考えます。

拝金主義のはびこる世の中にあって、弱者の味方として情熱的に仕事に取り組む弁護士こそ、市民が求めてやまない弁護士像であると思います。社会的・経済的弱者に光が当たる改革の担い手となる「人」をどう確保するかは、司法改革の根幹をなす問題です。

ところがこの不況下に、給料なしで法律事務所に所属する「ノキ弁」、就職できなかった「即独弁護士」など、経済的に不安定な状況に置かれている新人弁護士が増えています。法科大学院で学ぶための奨学金で多額の債務を抱える者も少なくありません。これに加えて修習資金の貸与制が導入されれば、さらに重い負担がのしかかります。修習資金の給費制の廃止は法曹資格を単なるビジネスのための個人的資格にしてしまい、改革の根幹を掘り崩す危険性を孕んでいます。合格率の低迷や新人弁護士の厳しい状況が知られるにつれて法曹志望者が減りつつありますが、給費制の廃止は、この傾向に拍車をかけることになりかねません。早急に対策本部を立ち上げて、給費制の維持を求める運動に取り組みます。

また、これまで新人弁護士は、就職して先輩弁護士とともに仕事に取り組みながら、現場の仕事を覚えていきました。医師と同じように、弁護士も、実務研修が必要です。司法試験合格者増に見合う就職先がないということが、依頼者である市民の権利・利益が十分に守られないという結果に結びつくことのないように、早急に事態の改善を図らなければなりません。法曹養成制度の改革には一定の時間がかかるとすれば、増員ペースの減速(法曹人口の減少ではありません)に着手すべきであると考えます。

他方、これまで弁護士の過疎・偏在の解消には一定の成果を挙げてきました。しかるに、裁判官ゼロ(判事・判事補非常駐)支部が48カ所(2009年12月現在)、検察官ゼロ(検事非常駐)支部が112カ所(2008年6月現在)あり、地家裁・検察庁支部の機能は縮小傾向にあります。司法予算は相変わらず増大せず、現在でも国家予算の0.4%以下の状況です。「裁判官・検察官ゼロマップ」を作り、市民とともに裁判官・検察官の大幅増員や地家裁・検察庁支部機能の充実、司法予算の拡大を求める運動に取り組みたいと思います。

さらに、2008年の自由権規約委員会の総括所見をはじめとする国際人権諸機関からの相次ぐ勧告に応え、その勧告内容の実現に努めると共に、政府から独立した国内人権機関の設立、個人通報制度の導入などを通じて国際水準に沿った人権保障システムの刷新を目指して努力します。

市民の皆様のご理解とご協力をお願い致します。


2010年(平成22年)4月1日
日本弁護士連合会会長 宇都宮 健児(うつのみや けんじ)


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