「吉田調書」報道記事問題について、弁護士がどのような内容を申し入れたか
内容をお示ししておらず、失礼しました。
申入書を掲載します。
間違っていたかどうかという評価にとどまらない内容です。
(形式は,分かち書きにレイアウトしました。)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「吉田調書」報道記事問題についての申入書
2014年9月26日
朝日新聞社木村伊量社長
「報道と人権委員会」御中
弁護士 中 山 武 敏
同 梓 澤 和 幸
同 宇都宮 健 児
同 海 渡 雄 一
同 黒 岩 哲 彦
同 児 玉 勇 二
同 阪 口 徳 雄
同 澤 藤 統一郎
同 新 里 宏 二
記
私たちは平和と人権・報道・原発問題などにかかわっている弁護士です。
9月11日、貴社木村伊量社長は、
東京電力福島第一原発対応の責任者であった吉田昌郎所長が
政府事故調査・検証委員会に答えた「吉田調書」についての貴紙5月20付朝刊「命令違反で撤退」の記事を
取り消されました。
取消の理由は、
「吉田調書を読み解く過程で評価を誤り、『命令違反で撤退』という表現を使ったため」と説明のうえ、
「これに伴ない、報道部門の最高責任者である杉浦信之編集担当の職を解き、関係者を厳正に処分します。」と表明されています。
(9月12日付貴紙朝刊)
貴紙9月18日付朝刊では「『吉田調書』をめぐる報道について、
朝日新聞社の第三者機関『報道と人権委員会』(PRC)は17日、委員会を開き、検証を始めました。」と報じています。
貴紙5月20日付紙面の
「東電社員らの9割にあたる約650人が吉田所長の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発に撤退した」
と報じた記事の主な根拠として、
「①吉田所長の調書②複数ルートから入手した東電内部資料の時系列表③東電本店の記者会見内容-の3点だった。
吉田所長は①で、所員に福島第一の近辺に退避して次の指示を待てと言ったつもりが、福島第二に行ってしまったと証言。
②の時系列表には、①の吉田所長の「命令を裏付ける内容が記載されていた。
また、東電は③で一時的に福島第一の安全な場所などに社員が移動を始めたと発表したが、
同じ頃に所員の9割は福島第二に移動していた。」ことを前記9月12日付記事に掲載されています。
「命令違反で撤退」したかどうかは解釈・評価の問題です。
吉田所長が所員に福島第一の近辺に退避して次の指示を待てと言ったのに、
約650人の社員が10キロメートル南の福島第二原発に撤退したとの記事は外形的事実において大枠で一致しています。
同記事全部を取り消すと全ての事実があたかも存在しなかったものとなると思料します。
貴紙報道は政府が隠していた吉田調書を広く社会に明らかにしました。その意義は大きなものです。
この記事は吉田所長の「死を覚悟した、東日本全体は壊滅だ」ということばに象徴される
事故現場の絶望的な状況、混乱状況を伝えています。
記事が伝える状況に間違いはありません。
「命令違反で撤退」とはこの状況を背景に
上記①、②、③を根拠事実として「所長の命令違反」との評価が記事によって表現されたものです。
このことをみれば 記事全体を取り消さなければならない誤報はなかったと思料します。
かかる事実関係の中で異例の社長会見が行われました。
その中で記事の取り消し、謝罪がなされるなどいま朝日新聞の報道姿勢が根本的に問われている事態だと考えます。
「吉田調書」報道関係者の「厳正な処分」を貴社木村伊量社長が公言されています。
しかしながら、不当な処分はなされてはならず、もしかかることが強行されるならばそれは、
現場で知る権利への奉仕、真実の公開のため渾身の努力を積み重ねている記者を萎縮させる結果をもたらすことは明らかです。
そのことはさらに、いかなる圧力にも屈することなく事実を公正に報道するという報道の使命を
朝日新聞社が自ら放棄することにつながり、民主主義を重大な危機にさらす結果を招きかねません。
「報道と人権委員会」が検証を始められたと伝えられていますが、上記の趣旨を勘案の上、
あくまで報道の自由の堅持を貫き、事実に基づいた検証がなされることを求めるものであります。
以上
内容をお示ししておらず、失礼しました。
申入書を掲載します。
間違っていたかどうかという評価にとどまらない内容です。
(形式は,分かち書きにレイアウトしました。)
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「吉田調書」報道記事問題についての申入書
2014年9月26日
朝日新聞社木村伊量社長
「報道と人権委員会」御中
弁護士 中 山 武 敏
同 梓 澤 和 幸
同 宇都宮 健 児
同 海 渡 雄 一
同 黒 岩 哲 彦
同 児 玉 勇 二
同 阪 口 徳 雄
同 澤 藤 統一郎
同 新 里 宏 二
記
私たちは平和と人権・報道・原発問題などにかかわっている弁護士です。
9月11日、貴社木村伊量社長は、
東京電力福島第一原発対応の責任者であった吉田昌郎所長が
政府事故調査・検証委員会に答えた「吉田調書」についての貴紙5月20付朝刊「命令違反で撤退」の記事を
取り消されました。
取消の理由は、
「吉田調書を読み解く過程で評価を誤り、『命令違反で撤退』という表現を使ったため」と説明のうえ、
「これに伴ない、報道部門の最高責任者である杉浦信之編集担当の職を解き、関係者を厳正に処分します。」と表明されています。
(9月12日付貴紙朝刊)
貴紙9月18日付朝刊では「『吉田調書』をめぐる報道について、
朝日新聞社の第三者機関『報道と人権委員会』(PRC)は17日、委員会を開き、検証を始めました。」と報じています。
貴紙5月20日付紙面の
「東電社員らの9割にあたる約650人が吉田所長の待機命令に違反し、10キロ南の福島第二原発に撤退した」
と報じた記事の主な根拠として、
「①吉田所長の調書②複数ルートから入手した東電内部資料の時系列表③東電本店の記者会見内容-の3点だった。
吉田所長は①で、所員に福島第一の近辺に退避して次の指示を待てと言ったつもりが、福島第二に行ってしまったと証言。
②の時系列表には、①の吉田所長の「命令を裏付ける内容が記載されていた。
また、東電は③で一時的に福島第一の安全な場所などに社員が移動を始めたと発表したが、
同じ頃に所員の9割は福島第二に移動していた。」ことを前記9月12日付記事に掲載されています。
「命令違反で撤退」したかどうかは解釈・評価の問題です。
吉田所長が所員に福島第一の近辺に退避して次の指示を待てと言ったのに、
約650人の社員が10キロメートル南の福島第二原発に撤退したとの記事は外形的事実において大枠で一致しています。
同記事全部を取り消すと全ての事実があたかも存在しなかったものとなると思料します。
貴紙報道は政府が隠していた吉田調書を広く社会に明らかにしました。その意義は大きなものです。
この記事は吉田所長の「死を覚悟した、東日本全体は壊滅だ」ということばに象徴される
事故現場の絶望的な状況、混乱状況を伝えています。
記事が伝える状況に間違いはありません。
「命令違反で撤退」とはこの状況を背景に
上記①、②、③を根拠事実として「所長の命令違反」との評価が記事によって表現されたものです。
このことをみれば 記事全体を取り消さなければならない誤報はなかったと思料します。
かかる事実関係の中で異例の社長会見が行われました。
その中で記事の取り消し、謝罪がなされるなどいま朝日新聞の報道姿勢が根本的に問われている事態だと考えます。
「吉田調書」報道関係者の「厳正な処分」を貴社木村伊量社長が公言されています。
しかしながら、不当な処分はなされてはならず、もしかかることが強行されるならばそれは、
現場で知る権利への奉仕、真実の公開のため渾身の努力を積み重ねている記者を萎縮させる結果をもたらすことは明らかです。
そのことはさらに、いかなる圧力にも屈することなく事実を公正に報道するという報道の使命を
朝日新聞社が自ら放棄することにつながり、民主主義を重大な危機にさらす結果を招きかねません。
「報道と人権委員会」が検証を始められたと伝えられていますが、上記の趣旨を勘案の上、
あくまで報道の自由の堅持を貫き、事実に基づいた検証がなされることを求めるものであります。
以上
>この記事は吉田所長の「死を覚悟した、東日本全体は壊滅だ」ということばに象徴される
事故現場の絶望的な状況、混乱状況を伝えています。
あのー。
朝日は、そのことばが含まれてる記事を取り消したりしてませんよ!?
朝日が今回取り消したのは、あくまで初報なんですが、なんでそれが別記事を取り消したことになるの?
なんで取り消してもいない記事を根拠に、誤報が正しいことになるの???
>同記事全部を取り消すと全ての事実があたかも存在しなかったものとなると思料します。
ええーー!!!
なんで誤報の一つを取り消すことが全ての記事を取り消すことになるの?
この人達の頭は大丈夫ですかね?
こんな一つでも認めたら全部認めたと同じなんて考え方をしてる人が司法に関わってるのはとても不安だ。
1)所長の命令があった。
2)でも命令伝達が行き渡らなかった。
3)結果、所員は命令とは違う行動をした。
4)結果として所員の判断の方が正しかった事を所長も証言。
2)と4)をスルーしておいて
>記事が伝える状況に間違いはありません。
とか、どんだけ恣意的な思量なんですか(失笑)。
元記事読みましたか?
よくこんな都合良く事実関係と記事をつまみ食いした「事実」とほど遠い申し入れ書に同意しましたね。
一つ認めたら全部認めたと同じだから認めるなって、ホンと呆れる。
無理筋にも程がある。
>吉田所長が所員に福島第一の近辺に退避して次の指示を待てと言ったのに、
>約650人の社員が10キロメートル南の福島第二原発に撤退したとの記事は外形的事実において大枠で一致しています。
一致してませんよ?
外形的事実は、「吉田所長が所員に福島第一の近辺に退避して次の指示を待てと言ったら、約650人の社員が10キロメートル南の福島第二原発に移動した」ことでしょ。
これを「伝達ミスで退避」したのではなく「命令違反で撤退」したと解釈・評価するには、その根拠を示さなければならないはず。
>上記①、②、③を根拠事実として「所長の命令違反」との評価が記事によって表現されたものです。
朝日新聞は「命令違反で撤退」とした根拠を①吉田所長の証言の 曲 解 以外何一つ示せてませんね。
②の東電内部資料、③の東電会見にしても、東電は最初から「退避」「撤退」の定義をしっかり定めて「退避であり、撤退ではない」と一貫して主張していましたよ。
>「吉田調書」報道関係者の「厳正な処分」を貴社木村伊量社長が公言されています。
いや、当然でしょ。
日弁連では、預かり金の横領や守秘義務違反、個人情報売却などの不祥事弁護士を「厳正に処分」することは、「基本的人権を擁護し社会正義を実現することを使命とし、この使命にもとづいて誠実に職務を行う弁護士を萎縮させる結果になる」と主張しているんですか?
>貴紙報道は政府が隠していた吉田調書を広く社会に明らかにしました。その意義は大きなものです。
一番あきれたのはこの文章。正義を主張するためなら冤罪も人権侵害もすべてOKと言ってるんですけど、その自覚があるんですかね。
実際、弁護士の先生方が言論の自由・基本的人権を重視なさるのなら、中山武敏センセイを諌めてこんな申入書は撤回させるべきだと思いますね。