翌日のライヴを控えてレッスンを続けるアキ(能年玲奈)とGMT5のメンバー。
そのライヴを観に、東京へと向かうため北鉄に乗るユイ(橋本愛)。
体調を崩し、家で寝ている夏ばっぱ(宮本信子)。ばっぱを世話するかつ枝(木野花)、六郎(でんでん)元夫妻。
2011.3.11は淡々と過ぎて行き、突然、夏ばっぱの携帯、娘の春子(小泉今日子)に買ってもらった携帯から鳴り響く警報。飛び起きるばっぱ…。
北三陸のシーンはここまで、場面は東京へと移り、奈落でレッスンに励んでいたアキたちを見舞う地震、ステージセットの一部が崩壊するほどの激震の中、身を挺してアキを守ろうとする安部ちゃん(片桐はいり)の姿が写し出されます。
春子や荒巻(古田新太)は、それぞれのオフィスでおろおろするばかり。無頼鮨にいた鈴鹿ひろ美(薬師丸ひろ子)は種市(福士蒼汰)に導かれ、屋外へ避難していく。
北鉄に乗っていたユイを襲う激震、大吉(杉本哲太)の判断で汽車はトンネルの中で緊急停車します。事態が呑み込めず、副駅長の吉田(荒川良々)と無線で連絡を取り合う大吉。そこへ吉田からの一報。
「大津波警報発令!避難します!」
この時点で、なにが起こっているのか分かっていた人はほとんどいなかった。私もそうでした。岩手県の内陸部に住んでいる私の周囲では、地震後停電となったものの、どうせ数時間か遅くとも明日には復旧するだろうとタカを括っていました。
実際に電力が復旧したのは4日後のこと。その間ラジオだけが唯一の情報源でした。
そのラジオを通じて、状況は把握していたつもりでしたが、本当に呑み込めたのは、電力復旧後、テレビで津波の映像を見てからです。
アキもまた同じでした。それまでは呑気に明日のライヴの心配をしてばかりで、事態がまったくわかっていなかった。それがテレビで津波の映像を見るに及んで、未曽有の災害が起こっていることをようやく理解していく。
トンネルの中で停車したままの汽車内では大吉が、「北鉄はディーゼルだから停電しないし、暖房も切れません」と乗客を安心させます。子供の乗客が「腹へった」と訴えかけると、やはり乗車していた鈴木のばっぱ(大方斐紗子)がゆべしを出してきます。「ゆべしもありますよ」と、場をなごませる大吉。
外の状況を把握しようと、意を決して電車から降りる大吉。己を鼓舞するかのように「ゴーストバスターズ」を歌いながら、トンネルの出口へと向かって行く。
トンネルの出口で、大吉がみた光景は…。その後ろから、ユイがゆっくりと近づいてくる。
大吉「ダメだ!ユイちゃん、見るな!見ちゃダメだ!」
ユイ「……もう遅い」
二人が見た光景は、我々視聴者に直接見せられることはありませんでした。しかし、二人の表情、特にユイの表情に、彼女の目になにが写ったか、すべてを物語っています。
「あの日」を経験した日本人なら、みんなわかることです。
一気に書き上げるつもりでしたが、少し長くなるかもしれない。
分割して、ゆっくり書いて行くことにします。ということで、
今日はここまで。
〈続く〉