goo blog サービス終了のお知らせ 

 風の向くまま薫るまま

その日その時、感じたままに。

テレビ時代劇『大忠臣蔵』 【第21話】~【第24話】

2019-05-27 04:41:57 | 時代劇

 

 

 

 

 

【第21話】『女間者』脚本 柴英三郎 監督 村山三男

【第22話】『第一の脱落者』脚本 柴英三郎 監督 村山三男

【第23話】『大石伏見に遊ぶ』脚本 池田一朗 監督 西山正輝

【第24話】『見えざる魔手』脚本 池田一朗 監督 土居通芳

 

 

 

【第21話】と【第22話】では、江戸急進派の中でも急先鋒と云われた高田郡兵衛(田村高廣)が何故真っ先に脱名したのかを描きます。

高田郡兵衛の脱名について従来の忠臣蔵では、叔父である旗本・内田三郎右衛門(堀雄二)の娘・美弥(珠めぐみ)との縁談話が持ち上がり、旗本の身分が得られることに魅力を感じてしまったからだ、張りつめていた糸がぷつりと切れてしまったのだ。というような解釈だったと思いますが、本作ではもうひと捻りした物語に仕上げています。

 

郡兵衛は妹のおその(真屋順子)を吉良邸内に腰元として潜入させ、吉良の内部情報をスパイさせています。その過程でおそのの夫・島彌助(田村亮)が切腹するという悲劇に見舞われます。それでも郡兵衛は亡き殿の御無念をお晴らしするという大義のために、おさとに夫・彌助が切腹したときに使用した刀を渡し、彌助のためにも吉良の動きを掴むように命令します。

たとえ、吉良上野介(市川中車)に操を捧げてでも……。

 

折しも、上野介の実子で米沢上杉家15万石当主・上杉綱憲(天田敏明)が、父・上野介を米沢に連れて行こうと計画します。米沢に匿うことで、赤穂浪士から守ろうという策です。

 

米沢に行かれては仇討は難しくなる。おそのはついに上野介と情を通じ、米沢への旅程の情報を手に入れます。

 

大石内蔵助(三船敏郎)は吉良一行の宿泊予定の宿場に、赤穂浪士たちが参集するという情報を流し、吉良方に動けば襲われる、危ないという印象を与え、上野介の米沢行きを阻止することに成功するのです。

 

一方、いかに情報を得るためとはいえ、夫以外の男と情を通じたその身を恥じたおそのは、夫の墓前で、夫が切腹したときに使用した刀で己の喉を撞き自害してしまいます。おそのの遺体を抱きしめ、泣き崩れる郡兵衛。

事の次第を知った内蔵助が言います。我々が為そうとしていることはなにか。それはただ単に吉良の首を獲るという事ではない。曲がった御政道を糺すために御公儀と一戦交えようとしているのだと。道を糺すための戦いを成そうとするものが、道に外れたことをするべきではない。

 

郡兵衛は己の行動を大いに後悔するのでした。

 

そんな折、先に行われた赤穂浪士たちの江戸での会合の摘発に躍起になっている柳沢吉保(神山繫)でしたが、なかなか証拠がつかめず、幕閣内では柳沢の責任を追及する声が上がり始めていました。

己の権力維持の危機を感じ、柳沢は一層探索の手を強めていきます。

会合が行われたと思われる時間に、堀部弥兵衛(渡哲也)、茅野和助(島田順司)、勝田新左衛門(寺田農)らがどこにいたのかが追求され、郡兵衛は叔父の内田三郎右衛門の助けを得て、皆で飲んでいたと口裏を合わせます。

直参旗本である内田三郎右衛門の証言とあらば、探索方としても聞かないわけにはいかない。こうして堀部らは追及の手をのがれるのですが、これに納得しない柳沢吉保は直々に内田を呼びだし問い質します。

 

全てを承知の上で柳沢は、内田に取引を提示します。それは高田郡兵衛を内田家の養子に迎えれば、探索は打ち切るというものでした。

 

郡兵衛ほどの急先鋒が寝返ったとあれば、赤穂浪士たちに最早仇討の意思なしという証拠となるとして、幕閣内での責任追及を逃れられる。それになにより、赤穂浪士たちへ与える動揺はかなり大きい。その点を狙った柳沢の策でした。

 

内田は郡兵衛を諭します。これは同士たちを守るためだと。

 

妹夫妻を犠牲に供したことを後悔していた郡兵衛は、次は自分自身が、同士のために「犠牲」となることを決意するのです。

 

いかに裏切り者の謗りを受け、世間の笑いものになろうとも、同士のためにわが身を犠牲に供する。

 

こうして高田郡兵衛は、誰にもその真意を知らせることなく、脱名第一号の道を選んだのです。

 

郡兵衛のことをよく知る堀部らは、この郡兵衛の行動を大いに訝しみます。そんな中、大石だけが、郡兵衛の胸中を察していたのでした。

 

 

 

 

【第23話】および【第24話】では、大石が如何にして伏見の色街で遊ぶに至ったかが描かれます。通常の忠臣蔵では、いきなり伏見の色街で遊女たちと鬼ごっこに興じる内蔵助の姿が映し出され、はたしてこれは世を欺くためか、それとも本当に仇討を遂げる気がないのか?ということが取り沙汰されるという展開ですが、本作ではここにもまたひと捻り加えた物語となっております。

 

江戸から京・山科に帰った大石は、次々と降りかかる難題に心ここに非ずといった風情。これを心配した大石の妻りく(司葉子)は、叔父の小山源五右衛門(北竜二)に頼んで、伏見の色街で気晴らしをさせようと気を回すのです。

 

小山に連れられ、内蔵助は大石三平(竜崎勝)を伴って伏見へと繰り出すのですが、伏見にあっても内蔵助は苦虫をかみつぶしたような表情で黙って酒を飲むばかりで、一行に遊ぶ気配もない。

 

しかし夕霧太夫(池内淳子)の哀しい生い立ちを聴き及び、苦しい時、哀しいときこそ笑うのだという、色街に暮らす者達の在り様を知るに及び、内蔵助の表情が自然と綻んでいきます。

 

鋼のように強い武士の魂をもった内蔵助でしたが、固いだけではぽきりと折れてしまう恐れがある。しかしそこにばねのように柔らかい伸縮性が加われば、その強靭な武士の魂は無敵のものとなる。

 

柔らかさ=強さであることを、大石は色街に暮らす者たちから学んだのです。

 

 

公儀は浅野大学に対する最終的な措置の決定を先延ばしにして、なかなか下そうとしない。これは赤穂浪士たちの仇討の意志を挫けさせようとする、柳沢の策でした。

ならば我慢比べだ。決定が下されるまで、伏見に遊び続けることを決意する大石でした。

長く苦しく、険しい道を同士たちに強いねばならない。

 

しかし、やるしかないのだ。

 

 

 

赤穂城開城の際、連判状に名を連ねた者は130名近くいたといいます。それが実際の討ち入りに参加したのは47名。およそ80名もの人たちが待ちきれずに脱落していきました。

 

ある意味とても残酷な事を、大石は同士たちに強いた。それでもやらねばならぬ。

 

亡き殿の御無念を晴らすため、曲がった御政道を糺すため。

 

武士とは何者なのか。このような時代に武士は何をすべきなのか。

 

その答えを得るために。

 

 

長く苦しい戦いへと進む道を、決然と歩む大石でした。-〈つづく〉-

 

 

 

 

 

 

 

『大忠臣蔵』

出演

大石内蔵助 三船敏郎

大石りく 司葉子

堀部安兵衛 渡哲也

高田郡兵衛 田村高廣

島彌助 田村亮

おその 真屋順子

茅野和助 島田順司

勝田新左衛門 寺田農

矢頭右衛門七 田村正和

矢頭長助 加藤嘉

大石主税 長澄修

大石三平 竜崎勝

小山源五右衛門 北竜二

内田三郎右衛門 堀雄二

美弥 珠めぐみ

お蘭 上月晃

加倉井林蔵 高松英郎

与助 上野山功一

松原多仲 神田隆

丸木七之介 千波丈太郎

建部政宇 加藤武

夕霧 池内淳子

柳沢吉保 神山繫

大石無人 辰巳柳太郎

千坂兵部 丹波哲郎

 

吉良上野介 市川中車

昭和46年 NET 三船プロダクション


テレビ時代劇『大忠臣蔵』 【第17話】~【第20話】 1971

2019-05-14 22:08:13 | 時代劇

 

 

 

 

 

【第17話】公儀への一戦 脚本 柴英三郎 監督 土居通芳

【第18話】分裂 脚本 柴英三郎 監督 西山正輝

【第19話】静かなる対決 脚本 柴英三郎 監督 西山正輝

【第20話】哀しき士情 脚本 柴英三郎 監督 土居通芳

 

 

 

 

 

殿が無念の御切腹をなされてから半年余り。江戸の急進派は早く仇討をしたくてウズウズしている。それを抑える大石内蔵助(三船敏郎)の苦労が描かれます。

初めは手紙を書くことで一時的に抑えますが、それだけでは足らぬと、大石はついに江戸へ下向し、江戸の同志たちと会合を開くことになります。

この機を逃さず会合の現場を押さえようと画策する、上杉家家老・千坂兵部(丹波哲郎)。千坂のために働くことを決意したお蘭(上月晃)は、会合場所を見つけ出そうとしますが、大石の機転により、見事に出し抜かれてしまいます。

大石と千坂、互いの力量を認め合い、武士として共感し合っていた二人でしたが、それぞれの士道を貫くために戦わねばならない。そんな男と男の対決に魅せられていくお蘭でした。

 

会合の結果、来年(元禄15年)3月14日、亡き殿の御命日をもって討ち入り決行との一応の決定を得て、江戸の急進派たちを納得させざるを得なかった大石でしたが、果たして、

その決定通りに運ぶのか……?

 

今回は女性たちの活躍ぶりも描かれます。不破数右衛門(新克利)の妻・ぬい(伊藤榮子)は単細胞の夫を上手く転がす内助の功ぶりを発揮しつつ、花売り娘に化けて吉良の屋敷に潜入し内情を探ろうとする大胆さを発揮します。

また、江戸急進派三羽烏の一人、高田軍兵衛(田村高廣)は、妹・その(真屋順子)を出自を偽らせて吉良家に奉公させ、内部情報を得ようとします。そのの夫・島彌助(田村亮)は反対しますが、お家の大事のためと押し切られてしまう。

 

この、そのの存在が後々の物語の展開の重要な要素となっていくわけですね。

 

一方、片岡源五右衛門(江原真二郎)の妻・志津(原知佐子)は、一人息子が昌平坂学問所へ入学することを機に、息子の出世のため、夫・源五右衛門に仇討など辞めるよう懇願しますが、源五右衛門は当然受け入れない。息子可愛さのあまり、志津は吉良方にそそのかされて、大石と江戸の同志たちとの会合場所を探ろうとしてしまう。これに気付いた大石が逆にこれを利用し、お蘭らを出し抜くことに成功するわけです。

源五右衛門は志津を斬ろうとしますが、大石が片岡夫妻の優秀な一人息子を養子としてもらい受け、出家させることで、ことの決着をはかります。

僧侶に学問は不可欠なので、片岡夫妻の息子には相応しい居場所です。それに出家すれば家族との縁は切れることになるので、源五右衛門が仇討に参加しようとも息子に累が及ぶことはない。

 

これですべてが丸く収まる。大石という男の度量の大きさ、慈愛の深さを感じさせ、思わずホロリとしますね。

 

 

さらには再会した堀部安兵衛(渡哲也)と清水一学(天地茂)の、敵味方を越えた友情が描かれます。一学の妻・おせい(長谷川峯子)は、吉良家国本の家老・宮石新左衛門(村上冬樹)一人娘でした。宮石は藩からの要請で一学を藩に帰参させ、吉良上野介(市川中車)の警固にあたらせようとします。

しかし一学は頑としてこれを了承しない。吉良家と一学夫妻両者の板挟みとなった宮石は、己の命をもって解決を図ろうと、切腹しようとします。

これをとりなしたのが安兵衛でした。安兵衛は一学に帰参を勧めます。一学が帰参するということは、安兵衛と一学は敵味方になるということ、しかしそれ以外に宮石を助ける術はない。

 

互いの変わらぬ友情を誓い合いながらも、いざ討ち入りの現場で出会ったときは、死力を尽くして戦い合うことを約束する二人。

 

なんと潔くも、哀しき士情か……。

 

 

 

 

見事なストーリー展開です。観ていて全く飽きないし、飽きるどころか先の展開が益々楽しみになってくる。

 

サスペンスにアクションも毎回適度に散りばめられており、三船さんの豪快な殺陣をテレビで見られるという贅沢さね。

 

また、京都所司代役で佐藤慶さんがほんの少しだけ出演されていたり、織本順吉さんが「えっ!?」っていうようなチョイ役ででていたりと、役者の使い方も贅沢です。

 

あの顔にこの顔に、時代劇の常連悪役さんたちがあちこちにでていたりして、観ていて楽しいのなんの(笑)いやあホント、

 

時代劇って、楽しいですねえ。

 

さあ、この楽しい時間は、まだまだ続くよ。

 

では、次いってみようか。

 

 

 

 

 

『大忠臣蔵』

出演

大石内蔵助 三船敏郎

大石りく 司葉子

堀部安兵衛 渡哲也

堀部弥兵衛 有島一郎

片岡源五右衛門 江原真二郎

志津 原知佐子

不破数右衛門 新克利

ぬい 伊藤榮子

岡野金右衛門 中村嘉津雄

勝田新左衛門 寺田農

茅野和助 島田順司

高田軍兵衛 田村高廣

島彌助 田村亮

その 真屋順子

伴甚太夫 勝部演之

皆川庄六 地井武男

お蘭 上月晃

加倉井林蔵 高松英郎

山田新之助 堀田真三

与助 上野山功一

松原多仲 神田隆

長沢典膳 織本順吉

松平紀伊守 佐藤慶

宮石新左衛門 村上冬樹

清水一学 天地茂

おせい 長谷川峯子

柳沢吉保 神山繫

千坂兵部 丹波哲郎

 

吉良上野介 市川中車

昭和46年 NET 三船プロダクション


テレビ時代劇『大忠臣蔵』 【第13話】~【第16話】

2019-05-08 04:25:03 | 時代劇

 

 

 

 

 

 

 

【第13話】『下級武士』 脚本 池田一朗 監督 村山三男

【第14話】『搖泉院の持参金』 脚本 池田一朗 監督 丸輝夫

【第15話】『髷斬り魔』 脚本 池田一朗 監督 池田一朗

【第16話】『柳生の隠密』 脚本 池田一朗 監督 村山三男

 

 

 

 

1年間という長丁場をもたせるためには、できるだけ物語を膨らませなければなりません。しかもNHKではなく民放ですから、視聴率がとれなければ途中で打ち切りなんてことにもなりかねない。

いかに視聴者を飽きさせることなく物語を膨らませるか。脚本および演出の腕の見せ所ですね。

 

この4つの話で描かれているのは、大石内蔵助(三船敏郎)が赤穂から京・山科へ移るまでの細かい後始末の話です。別段飛ばしても構わないような細かい話。「場繋ぎ」と言ってしまえばそれまでなのですが、そこはそれで、視聴者を放さないように、毎回適度なサスペンスと適度なアクションが組み入れられていて、これはこれで面白い。

さすがですね。

 

 

 

【13話】では浪人となった赤穂の下級武士達の悲哀が描かれます。橋本八十八(井川比佐志)という下級武士が借金苦で家族共々自害して果ててしまう。憤った仲間たちが、橋本に金を貸し付けていた上士の萩原(福田豊士)の家に伝わる大砲を盗んで、腹いせに赤穂城を砲撃しようとします。

しかしいざ砲撃しようとしたとき、急に城への郷愁が湧いてきて撃てなくなってしまう。そこへ駆けつける大石。大石は彼ら下級武士達を諭し、これに下級武士達が従います。

彼ら下級武士達に大石がいかに慕われ、信頼されているかを描き、討ち入りに参加した義士たちのなかで一番多かったのは下級武士達であったことが、ナレーションで語られます。

 

【第14話】では、領民と大石内蔵助との信頼関係が描かれ、いかに大石が領民に慕われ、信頼されていたかが描かれます。悪庄屋の彦左衛門(内田朝雄)の策謀で一揆を起こしかけた領民たちを大石が止めるのですが、騒ぎに乗じて大石を殺さんとする刺客が襲い掛かります。大石は井戸に落ちかけた領民を助けようとしていたため身動きが取れず、腕を斬られますが、それでも領民を放そうとしない。

なんとか刺客を撃退したあと、悪庄屋の悪事が暴かれるという筋立て。大石の領民に対する慈愛が示され、大石という人物の人となりが描かれています。

 

【第15話】では、女性の髷ばかりを斬る「髷斬り魔」が登場します。この髷斬り魔、自らを赤穂藩士と名乗りながら、夜陰に乗じて女性の髷を斬り、付き添いの男は斬り殺すという凶行を繰り返す。これは赤穂藩士の評判を落とすために吉良方が仕掛けたもので、この髷斬り魔を江戸在府の赤穂侍、前原伊助(若林豪)が退治するという話。

前原伊助の直情径行ぶりと、相棒の赤埴源蔵(フランキー堺)の飄々ぶりとが対比されて描かれます。

 

【第16話】では、大石を斬るために大石に近づく柳生の隠密(山形勲)が、大石の人間性に魅せられ、斬るのをやめて、柳生から追われるのを覚悟で出奔するさまが描かれます。またやはり隠密であるお蘭(上月晃)もまた、大石やその周りの者たちの武士道に心が揺れる様が描かれて行きます。

隠密をも揺さぶる大石という男の人間性が描かれていくわけですね。

 

その他には、大石の長年の親友である祐海和尚(島田正吾)の進言により、内匠頭の御舎弟・浅野大学(河原崎健三)を立てての浅野家再興を幕府に願い出る様が描かれます。大石としては本当はそんなことをしたくないわけです。なぜなら御家再興を願い出た以上、その裏で仇討を計画することなど出来ないからです。

そんなまねをするのは武士ではない。というわけですね。

しかし筋を通すべきところは通さなければならない。これによって、幕府より沙汰が下るまで大石らは動きが取れなくなってしまう。

 

今後の物語の展開の大きな伏線ともなっていくわけです。

 

ただの「場繋ぎ」ではない、物語全体の中ではちゃんと重要な意味を持っている。

 

 

舐めちゃいけませんよ(笑)

 

 

 

 

 

 

 

 

『大忠臣蔵』

出演 

大石内蔵助 三船敏郎

大石りく 司葉子

搖泉院 佐久間良子

大石主税 長澄修

堀部安兵衛 渡哲也

前原伊助 若林豪

赤埴源蔵 フランキー堺

神崎与五郎 中丸忠雄

大高源吾 御木本伸介

早見藤左衛門 和崎俊哉

杉野十平次 宗方勝巳

橋本八十八 井川比佐志

萩原兵助 福田豊士

萩原弥兵衛 田島義文

お蘭 上月晃

兎助 露口茂

鬼丸祐之進 山本清

加倉井林蔵 高松英郎

建部政宇 加藤武

祐海 島田正吾

滝立仙 山形勲

滝うめ 津島恵子

柳沢吉保 神山繫

千坂兵部 丹波哲郎

 

吉良上野介 市川中車

昭和46年 三船プロダクション NET   


テレビ時代劇『大忠臣蔵』 【第9話】~【第12話】 昭和46年(1971)

2019-04-22 14:55:27 | 時代劇

 

 

 

 

 

【第9話】「大評定」 脚本 池田一朗 監督 古川卓己

【第10話】「葬られた嘆願書」 脚本 池田一朗 監督 村山三男

【第11話】「神文血判」 脚本 池田一朗 監督 村山三男

【第12話】「赤穂城の落日」 脚本 池田一朗 監督 土居通芳

 

 

 

 

柳沢吉保(神山繫)の放った間者、お蘭(上月晃)と兎助(露口茂)は、上杉家の家臣・大須賀治部右衛門(睦悟朗)と手を組み、旅芸人一座を装って赤穂領に入ります。赤穂の動静を探り、あわよくば仇討の目を潰すために。

御側御用人・柳沢吉保としては、赤穂の田舎侍どもに仇討などをされたのでは、自身の権力の座が揺らぐことともなりかねない。それよりはむしろ、赤穂藩士たちが城に立てこもって一戦交えてくれた方がありがたいのです。

 

そうして赤穂を天領にしてしまえば……。柳沢の黒い思惑でした。

 

赤穂藩城代家老・大石内蔵助(三船敏郎)は赤穂城内の大広間に藩士たちを集め、大評定を行います。藩士たちは城に立てこもり籠城戦を行うことを主張、これに家老の大野九郎兵衛(伊藤雄之助)は反対しますが、大石は籠城戦を行うと決定します。しかしこれを後に撤回、藩主・浅野内匠頭(尾上菊之助)の後を追い、殉死切腹に変更されます。

大石の意図を図り難ねる藩士たち。大石はさらに、幕閣に対しこの度の片手落ちの裁定を批判し、鎌倉御成敗式目以来の喧嘩両成敗の法に則り、吉良上野介(市川中車)にも閥を与えるようしたためた嘆願書を書き、使者に持たせて幕府・大目付に提出させようとします。

この情報を得た上杉家家老・千坂兵部(丹波哲郎)は、柳沢吉保と面会し、この嘆願書を受け入れるように促します。普通なら幕府が取り上げるような内容ではないし、大石もそれを承知の上で、ただしっかりと筋を通すという名目のために提出されたもの。これが拒否されれば、愈々仇討以外ないという名分ともなる。

 

だから、これを受け入れてしまえば、逆に仇討の名分はなくなる。

 

 

嘆願書は一度赤穂藩の江戸家老らの手に渡ります。己の保身ばかりを考える江戸家老たちは、これは大変と、内匠頭の弟・浅野大学(河原崎健三)にこれを報告、やはり保身に走った大学がこの嘆願書を握りつぶしてしまう。

こうして、嘆願書が幕閣に届けられることはありませんでした。

 

 

籠城戦から殉死切腹への変更。御城代の考えが理解できぬと、江戸から片岡源五右衛門(江原真二郎)、堀部安兵衛(渡哲也)、奥田孫太夫(河野秋武)の三人が赤穂に駆け付け、大石に仇討をするよう直談判します。これに大石

「上野介の首一つとるだけで、亡き殿の御無念は晴れようか?殿はきっと、この腐れ切った御政道や世の中へ抗議するために刃傷に及んだに違いない」

とし、闇雲に吉良を襲うのは「匹夫の勇」だと退けます。

 

 

赤穂城明け渡しの期日が迫り、城受取りの使者である脇坂淡路守(中村錦之助)率いる軍勢が赤穂に迫ってきました。そんな折、大石は殉死切腹に同意した六十余名の藩士たちを大広間に召集します。

 

その場にてついに明かされた、大石の本心。

殿の御無念を晴らすため、曲がった御政道への抗議のため、

 

吉良の首を取る!

 

驚きと喜びの声が上がる中、大石は集まった藩士たちに神文血判を押させます。その場にやってきた大野九郎兵衛がこれを咎めますが、大石の気迫に押されてしまい、引き下がってしまう。

大野には大野なりの忠義の想いがありました。しかし、あくまで籠城戦を主張する藩士たちの中から沸き起こった「大石暗殺計画」に大野の長男が関わっており、疑われることを怖れた大野は息子と一緒に赤穂から逃亡してしまいます。

 

 

赤穂城受取りの軍勢が到着。大石は脇坂淡路守を先導し城の中へ。

この時、脇坂淡路守を短銃で狙う者が!ここで脇坂が銃撃されれば、いくさとなるのは必至。それを狙ったものでした。

 

石垣の上から脇坂を狙う柳沢の間者。銃弾が放たれようとした刹那!片岡源五右衛門がこれを発見、間一髪これを斬り殺します。

空に向けて虚しく放たれる銃声。これに軍勢は色めき立ちますが、淡路守が「静まれーい!」とこれを一喝し、大石に案内を促します。何事もなかったように進む軍勢。

 

城受け渡しも無事に終わり、すべての手続きが済んだことで、赤穂浅野家は完全に消滅しました。大石たちは浪々の身となりました。

 

物語は次の段階へと進みます。<つづく>

 

 

 

 

脇坂淡路守の大軍勢を空撮で捉えたシーンが凄いですね。上空から延々と続く軍勢を撮るわけですから、かなり広いロケ地が必要だし、エキストラも集めなきゃならない。当時は当然ながらCGなどありませんから、全部本物で撮らなきゃならない。これを見ただけでもかなりの製作費をかけていることが分かります。

贅沢ですねえ。三船プロが倒産した理由も分かる気がします……。

 

 

ドラマの中で何度も繰り返される「士道」という言葉。曲がった御政道を糺すため、世の中の乱れた風潮に一石を投じるため、武士のなすべきこととはなにか。

抑、武士とはなんぞや?

 

それを問いかけ続ける。そんなドラマになっているような気がします。

 

とにかく、先へ進みましょう。

 

 

 

 

 

『大忠臣蔵』

出演

大石内蔵助 三船敏郎

大石りく 司葉子

堀部安兵衛 渡哲也

片岡源五右衛門 江原真二郎

磯貝十郎左衛門 長谷川明夫

吉田沢右衛門 柴田洸彦

吉田忠左衛門 中村伸郎

神崎与五郎 中丸忠雄

岡島八十右衛門 河原崎長一郎

岡野金右衛門 中村嘉津雄

竹林唯七 砂塚秀夫

萱野和助 島田順司

矢頭右衛門七 田村正和

矢頭長助 加藤嘉

大石主税 長澄修

大石三平 竜崎勝

大須賀治部右衛門 睦悟朗

お蘭 上月晃

兎助 露口茂

斉藤清左衛門 今井健二

浅野大学 河原崎健三

徳川綱吉 高橋昌也

柳沢吉保 神山繫

柳生俊方 中谷昇

千坂兵部 丹波哲郎

 

大野九郎兵衛 伊藤雄之助

 

脇坂淡路守 中村錦之助

昭和46年 NET 


『ててご橋』と『影踏み遊び』 ~子連れ狼の「歌」~ 

2019-04-20 04:58:26 | 時代劇

 

 

 

 

 

作詞、小池一夫。作曲、渡辺岳夫。歌、バーブ佐竹『ててご橋』

 

 

萬屋錦之介主演によるテレビ版『子連れ狼』の、第1シリーズと第2シリーズの主題歌はこの曲でした。

 

『子連れ狼』の歌といえば、橋幸夫さんの♪シトシトピッチャンシトピッチャン♪が有名ですが、あの曲は第3シリーズのみ、主題歌として使われています。私としては全シリーズ統一してほしかったですけどね。上に貼った曲の方が、どう考えても♪シトピッチャン♪より良い曲ですから。

 

 

♪シトピッチャン♪は今一つ『子連れ狼』の世界観が表現しきれていない。なにか違う。子供の頃に♪シトピッチャン♪を初めて聴いたときは、よくわからないけど強い違和感を感じたものです。

 

 

『ててご橋』は厳しさと切なさとがあって、冥府魔道を行くが故の深くて強い親子愛が見事に歌い込まれてる。いや、もちろん子供の頃はそんなことわかりませんでしたが、今聴いてみて改めて思います。

 

この『ててご橋』こそ、主題歌に相応しい。 

 

 

 

 

『影踏み遊び』

 

寂しい歌ですね。

大五郎の年齢設定は3歳ということで、親に甘えたい盛りです。母が恋しかろうに。でも大五郎は、自分にはそうしたことが許されない境遇にある事を悟ってる。そうして父とともに、冥府魔道を歩もうとする健気さね。この大五郎の姿が、視聴者の涙を誘うわけです。

 

『子連れ狼』は大五郎がいなければ成立しない物語です。拝一刀一人だけでは成り立たない。

実質、主人公は大五郎の方だったのかも、

 

知れませんねえ。

 

 

 

 

厳しくも切なく、深くて強い絆で結ばれた親子愛。『子連れ狼』とは、そんなドラマだったように思います。

 

 

改めて、小池一夫氏のご冥福をお祈りいたします。

 

 

 

 

 

……結局、休んでない!


凄い殺陣 萬屋錦之介編 水鴎流波切の太刀

2019-04-17 09:17:14 | 時代劇

 

 

 

 

 

テレビドラマ版『子連れ狼』より、元公儀介錯人・拝一刀(萬屋錦之介)はいかにして冥府魔道の刺客道へ入ったか。

 

萬屋錦之介さんの怒りの演技の凄まじさね。時代劇口調というのはともすると批判の対象ともなりやすいですが、とんでもない話でね。萬屋さんの時代劇的演技はその一言一言が見事に計算されていて、長年にわたって磨き上げられた質の高い芸術性を感じさせて、とても心地よく力強い。これが分からん奴は正直話になりませんね。

 

殺陣も流れるような華麗さがあってなおかつ力強い。動きに一切の無駄がなく、力の入れどころと抜きどころが見事に計算されているので、惚れ惚れするような美しさがあります。

 

拝一刀の得意技「水鴎流波切の太刀」。対戦相手は青木義郎さん。これも豪華ですねえ。

そして拝一刀の宿敵、裏柳生総帥・柳生烈堂を演じるのは高橋幸治さん。これは第一シリーズで、第二シリーズでは西村晃さん、第三シリーズでは佐藤慶さんが演じています。

 

テレビ時代劇の歴史に残る名作『子連れ狼』。萬屋錦之介さんの素晴らしい殺陣とともに、永遠に語り継がれるべき作品ですねえ。


テレビ時代劇『大忠臣蔵』 昭和46年(1971)【第5話】~【第8話】

2019-04-15 13:22:59 | 時代劇

 

 

 

 

 

【第5話】元禄の一番長い日 脚本 高岩肇 土居通芳 監督 土居通芳

【第6話】悲報赤穂へ 脚本 宮川一郎 監督 西山正輝

【第7話】大いなる決断 脚本 宮川一郎 監督 西山正輝

【第8話】暗躍する隠密群 脚本池田一朗 監督古川卓己

 

 

 

江戸からの手紙で、吉良上野介(市川中車)が塩を欲しがったことを知った大石内蔵助(三船敏郎)はこれを訝しみます。なぜ塩などと?そういえば吉良家の領地は三河国吉良荘、塩を作っていたはず。

そうか!吉良の狙いに気付いた内蔵助は不破数右衛門を呼び、塩倉に忍び入った者たちに吉良と関わりのあるものはいなかったかを尋ねます。すると吉良家用人・松原多仲(神田隆)と関わりのある者がいたことが判明します。

しかもその松原が、赤穂領内に入る峠道で数人の男たちとなにやら話をしていたという目撃情報を得、大石は大野九郎兵衛(伊藤雄之助)を問い質し、吉良の狙いが赤穂の製塩法の秘密を得ることである事を確信します。

大石は江戸へ向けて事の仔細を書いた手紙を送り、その手紙は3月13日、勅使饗応の日の前日に届けられました。家臣たちは殿の御為に背に腹は代えられぬと、製塩法を吉良に教えようとしますが、浅野内匠頭(尾上菊之助)

はこれを拒否、家臣や領民たちの血と汗と涙の結晶である製塩法を自身の保身のために売り渡すことなどできぬ!内蔵助の志は大変有り難いが、自分があと1日辛抱すれば済むことだ。

内匠頭の武将としての信念が、自らを追い込んでしまうことになるのです……。

 

そんな折、内匠頭は上野介に呼び出されます。いつになく殊勝な態度の上野介はこれまでの非礼を内匠頭に謝罪します。ほっとした表情でこれを受け入れる内匠頭。上野介は明日の饗応の際の衣服は長裃であると内匠頭に伝え、内匠頭は礼を述べて退席します。

その後ろ姿を、憎々し気な笑い顔で見送る上野介。

はたして当日、江戸城へ登城した内匠頭は、皆が烏帽子大紋を身に付けているを見て、またもや上野介に謀られたことを知り愕然とします。今から着替えに戻っていては間に合わない。途方に暮れていたところ、家臣の片岡源五右衛門(江原真二郎)がこんなこともあろうかと烏帽子大紋を用意してきたことを知り、感謝しながら急ぎ着替え、参内します。

江戸城松の廊下。内匠頭は上野介に騙されたことを咎めますが、上野介は知らぬ存ぜぬの一点張り。それどころか逆に内匠頭の言いがかりを謝れと詰め寄ります。ついには内匠頭の先祖、浅野長政の悪口まで言い出してしまう。

日本人は古来先祖を大切にしてきました。ましてや武家にとっては、先祖代々伝えられてきた家名を守り継承していくことが大事、お家こそ大事でした。その大事な先祖を汚された。ここにきてとうとう、内匠頭の武将としての血が沸点に達してしまい、ついに内匠頭は小刀を抜き、上野介に斬りかかります。

背中に一太刀、額に一太刀、もう一太刀浴びせようとしたところ、側にいた武家伝奏・梶川与惣兵衛(稲葉義男)が止めに入り、止めを刺すことができない。

「いま一太刀、武士の情けにござる!」「なりませぬ、殿中でござるぞ!」

 

「浅野内匠頭様、吉良上野介様に殿中松の廊下にて刃傷!」の音声が城内を駆け巡り、以前より内匠頭と親しかった脇坂淡路守(中村錦之助)は急ぎ内匠頭の元へはせ参じようとします。吉良上野介は数人に抱えられながらよろよろと逃げてくる。淡路守はすれ違いざまよろけてきた吉良を「無礼者!」と突き飛ばし、さらには己の衣服の家紋に、不浄の血が付いたと、上野介の顔を扇子で張り飛ばします。上野介はご容赦、ご容赦というばかり。

内匠頭は呆然とした表情で、目付・多門伝八郎(中村竹弥)に連れられて行きます。淡路守はこれを黙って見送る他、ありませんでした。

 

内匠頭はその日の夕刻、奥州一関藩の江戸屋敷にて切腹。赤穂浅野家は断絶が決定。

 

悲報は早駕籠にて、赤穂へ届けられます。

この早駕籠の道中にハプニングが発生します。早駕籠が吉良の領地を通る際、吉良領の領民たちが「おらっちの殿様を傷つけた奴らだ!」としてこの早駕籠の一行を取り囲みリンチにかけようとしたのです。

そこへ止めに入った吉良藩士、清水一学(天地茂)。領民はこれを不服とし、吉良家家老・宮石新左衛門(村上冬樹)に訴え出ます。家老に叱責された清水は、士道とはかくあるべしと己の主張を曲げず脱藩します。

 

悲報は赤穂へ届けられ、藩士、領民の間に動揺が走ります。大石は藩士や領民たちへ分配する金を工面するため、岡島八十右衛門(河原崎長一郎)ら係の者たちを金策に走らせます。

 

吉良は死んだのか生きているのか。これがはっきりしない限り次の行動が決められない。大石は江戸の堀部安兵衛(渡哲也)らに吉良の生死を探らせます。これを見張る柳沢吉保(神山繫)の放った間者、お蘭(上月晃)と兎助(露口茂)。柳沢としては、赤穂城引き渡しが完了するまで騒ぎは起こしたくない。赤穂の者達が騒ぎを起こせば自身の失態ともなりかねない。

権力維持のため、なんとしてもこれは避けたい。

 

吉良上野介の息子は上杉家の養子となり、米沢藩15万石の藩主、上杉憲実(天田敏明)となっていました。上杉家家老・千坂兵部(丹波哲郎)は、上杉家に火の粉がかからないよう赤穂の動静を探らせるため、側近の大須賀治部右衛門(睦五朗)を介して手練れの者を10人ほど雇い、赤穂に向かわせます。

 

その頃、堀部安兵衛と同じ長屋に、浪人となった清水一学が入ってきます。安兵衛も一学も武骨な古いタイプの侍。お互いの士道に共感した二人は生涯の友を得たと喜び合います。

安兵衛は御典医・栗崎道有(宮口精二)から吉良が生きているとの情報を得、赤穂に手紙を送りますが、この手紙を持った飛脚がお蘭らに斬り殺されてしまい、情報は赤穂に届かない。

しかし、内蔵助の叔父である大石無人(辰巳柳太郎)とその一子大石三平(竜崎勝)が、吉良は生きているとの情報を伝えに早馬を飛ばして赤穂に入り、大石は吉良の存命を確認します。

その際、将軍が吉良を見まい、神妙であるとお褒めの言葉を賜ったと聞き及び、大石の中に激しい怒りがこみ上げます。喧嘩両成敗は鎌倉以来の武家の御定法。これを幕府自らが破るなど、絶対に納得出来ん!殿があまりにお可哀そうだ!

 

大石は自身を見張っていた上杉の間者2名を一瞬の早業で斬り殺し、藩内に潜入した上杉方の間者どもを、不破や大石三平、岡野金右衛門(中村嘉津雄

)らが斬り倒します。

情勢は早くも不穏な展開を見せ始めていました。

 

 

安兵衛と知己を得た一学でしたが、安兵衛が赤穂藩士であることを知り、いかに浪人とはいえ敵味方の関係であることは辛いと、事の仔細を置手紙に書き残し、夜逃げをしてしまいます。

 

この安兵衛と一学には、後々波乱の運命が待ち受けているのですが……。<つづく>

 

 

 

 

続々と当時のスター級の俳優さん達が登場してきますね。ワクワクものです。

大石内蔵助が上杉の間者を一瞬の早業で斬り殺すシーン。この頃の三船さんの剣技にはまだまだ衰えは見られません。素晴らしい技をみせてくれています。

 

安兵衛と一学。この二人が後々どうなるのかは、忠臣蔵ファンならみなさんご存知のところ。この二人を無二の親友と設定したところがなかなか憎いですねえ。ドラマをさらに盛り上げてくれることでしょう。

 

さあ、この後の展開がどうなるか、目が離せません。

 

 

 

 

 

『大忠臣蔵』

出演

大石内蔵助 三船敏郎

浅野内匠頭 尾上菊之助

堀部安兵衛 渡哲也

堀部弥兵衛 有島一郎

大野九郎兵衛 伊藤雄之助

大石りく 司葉子

搖泉院 佐久間良子

片岡源五右衛門 江原真二郎

岡島八十右衛門 河原崎長一郎

岡野金右衛門 中村嘉津雄

不破数右衛門 新克利

松原多仲 神田隆

大須賀治部右衛門 睦五朗

梶川与惣兵衛 稲葉義男

多門伝八郎 中村竹弥

栗崎道有 宮口精二

宮石新左衛門 村上冬樹

お蘭 上月晃

兎助 露口茂

上杉の間者 石橋雅史

上杉の間者 内田勝正

徳川綱吉 高橋昌也

上杉憲実 天田敏明

清水一学 天地茂

大石無人 辰巳柳太郎

大石三平 竜崎勝

脇坂淡路守 中村錦之助

千坂兵部 丹波哲郎

 

吉良上野介 市川中車

昭和46年 三船プロ NET


凄い殺陣 近衛十四郎 VS 勝新太郎

2019-04-13 05:50:15 | 時代劇

 

 

 

 

 

 

 

 

映画『座頭市血煙り街道』より、近衛十四郎さんと勝新太郎さんの鬼気迫る決闘シーン。

 

このシーンは簡単な打ち合わせをしただけで細かい殺陣はつけずに撮ったシーンなんです。つまりアドリヴですね。互いに相手がどう来るか分からない。だからこその凄まじい緊迫感に満ちた、迫力ある殺陣に仕上がってます。

殺陣のインプロヴィゼーション。こんなことができるのは、殺陣のスペシャリストであるお2人であるからこそのこと。

贅沢な、本当に贅沢な、第一級の殺陣シーンです。この映像は歴史遺産として残すべきですよ。いや、マジで。

 

 

近衛さんの使っている刀は、普通の刀よりも柄の部分が長い。これは近衛さん特注のもので、近衛さん以外には使いこなせなかったそうです。スペシャリストはスペシャルなものを使う。

 

 

ちなみに近衛さんは、松方弘樹・目黒祐樹兄弟の父親です。なんとなく似てるでしょ。


凄い殺陣 若山富三郎編

2019-04-12 05:19:03 | 時代劇

 

 

 

 

 

 

若山富三郎主演による映画版『子連れ狼』シリーズの凄まじい殺陣の数々。アクロバティックで派手だけれども、剣裁きは非常に綺麗。柔らかくて強い。

 

そう、この「柔らかさ」が今の殺陣にはないんです。ずっと力が入りっぱなしで固いんです、今の殺陣は。

 

『るろうに剣心』の佐藤健くんもアクロバティックな殺陣で楽しませてはくれたけれど、これを見ればわかるとおり、もう根本からして違うでしょ?

 

こんな殺陣の出来る人、もう2度と出てこないでしょうね。

 

言いたかないけど、昔はよかった。


テレビ時代劇『大忠臣蔵』昭和46年(1971)【第1話】~【第4話】

2019-04-10 12:09:05 | 時代劇

 

 

 

 

 

このドラマ、凄いです!単に出演者が豪華とか、金が掛かってるとかいうことだけではなく、ストーリー構成が非常によくできていてわかりやすく、面白い。

 

ある意味、今までみた忠臣蔵の中で、一番の傑作かもしれません。

 

 

では

【第1話】風雲はらむ赤穂城 脚本 高岩肇 監督 土居通芳

【第2話】渦巻く黒い霧 脚本 高岩肇 土居通芳 監督 土居通芳

【第3話】美しき士魂 脚本 宮川一郎 監督 村山三男

【第4話】耐えがたき日々 脚本 宮川一郎 監督 村山三男

の、ストーリーをダイジェストで。

 

 

 

元禄13年、播州赤穂では藩主・浅野内匠頭長矩(尾上菊之助、現・尾上菊五郎)と阿久利の方(佐久間良子)との婚礼の儀が厳かにおこなわれていた。御浜奉行・不破数右衛門(新克利)の指揮の下、祝いの歌を歌い踊る領民たち。城代家老・大石内蔵助(三船敏郎)がこれに太鼓を叩いて花を添える。

赤穂藩全体が祝いの宴で華やいでいるころ、一方の江戸ではー。

時は徳川家第5代将軍・綱吉の治世。将軍の御側御用人である柳沢吉保(神山繫)の下に権力は集中、賄賂や不正が横行していた。この柳沢の取り巻きの一人が、高家筆頭・吉良上野介(市川中車)で、吉良の領地では塩を作りこれを販売していたが、赤穂の塩に押されまったく売り上げが伸びない。そこで上野介は、赤穂の製塩法【釜入れの秘伝】を奪おうと画策します。

まずは吉良家用人・松原多仲(神田隆)を赤穂藩に派遣、塩作りの最高責任者である赤穂藩家老・大野九郎兵衛(伊藤雄之助)に面会し、製塩法を教えるように頼み込みます。これには御側御用人の柳沢様の後押しもあると、暗に権力を笠に着た脅しをかけますが、赤穂の藩士や領民たちの血と汗と涙の結晶である製塩法を教えることなどできるわけがないと、大野はこれをつっぱねます。大野は当然のことをしたまでと、このことを大石その他誰にも告げませんでした。これが後々大きな禍根となるのです。

ならばと今度は、金で雇った無頼旗本たちを塩倉に潜入させ、秘密を探ろうとしますが、不破数右衛門がこれを発見し、斬り殺してしまいます。

侵入した者達が直参旗本であったことが問題となりますが、大石がこれに不信を抱き、不破を表向き責任を取らせるかたちで御役を解き、真相を探らせます。

この時点で、大野が大石に、事の顛末を語っていれば良かったのですが、この二つの事象を結び付けて考えることが出来なかったため、やはり大野は何も告げず、故に状況はますます混迷していくこととなるのです。

一方江戸では、製塩法を入手できなかったことに腹を立てた吉良が、自身が勅使饗応役の指南役の立場にあることを利用し、浅野内匠頭を饗応役に任命してこれに辛い仕打ちを与えることで、製塩法を奪取しようと画策、柳沢もこれに乗り、黒い陰謀が着々と進められていくことになるのです。

 

勅使饗応役に任命された浅野内匠頭は、吉良上野介に指南を賜ろうとしますが、吉良はこれを冷たくあしらい、なかなか教えようとはしない。そうして進物を届けにきた赤穂藩士に「こんなものはいらん。儂は塩が欲しい」と、暗に製塩法を教えろと謎を掛けるのですが、大野のところで話が止まっていたため藩士たちはこの意味を図ることができず、むしろ「吉良様は云われていたほど強欲ではないのう」と喜び、馬鹿正直に塩を20俵、吉良に送ってしまう。

これに上野介は当然激怒します。コケにされたと思い込み、内匠頭に対する圧力を益々強めていきます。

 

度重なる上野介の「いじめ」。饗応役の宿泊所の調度品や料理について嘘を教えられますが、吉良は信用できないとする赤穂藩士・片岡源五右衛門(江原真二郎)や赤埴源蔵(フランキー堺)らの機転によって2種類用意することで事なきを得ていきます。

 

しかし、宿泊所の畳をすべて新品に取り換えることを知らされておらず、これを勅使が到着する前日の夜に知り、藩士たちは動揺しますが、堀部安兵衛(渡哲也)が旧知の畳職人たちに頼み込み、江戸在府の藩士たち総掛かりで宿泊所の畳300畳を、一晩のうちにすべて新品と取り換えることに、ぎりぎり間に合ったのです。

 

いったいなぜ、吉良はここまでひどい仕打ちをするのか、わけがわからないため内匠頭の心痛は増すばかりで、吉良への怒りと憎しみが募っていきます。しかし短慮はならぬ。あと数日、あと数日の辛抱だ……。

 

その頃赤穂には、殿が無事大役を全うすることをひたすら願う、大石の姿がありました。<つづく>

 

 

 

 

 

ストーリーがよく出来ていますね。吉良方の野望とそれに翻弄される赤穂との描写が実にスリリング。基本的に吉良・幕閣が悪で赤穂が善という図式も分かりやすいし、実に面白く先の展開が楽しみで飽きさせない作りなっていると思います。

いや、見事なストーリーに感服しました。これは最後まで見なけりゃ収まりませんね(笑)

 

三船敏郎演じる大石内蔵助は、良く描かれる「昼行燈」といった風情ではなく、むしろ厳しくも慈愛に溢れた切れ者として描かれています。確かに三船さんに昼行燈は似合わないかもしれませんね。

市川中車演じる吉良上野介がまた良いですね。強欲で尊大で意地の悪い人物を、実に見事に憎々しく演じております。

 

その他、神山繫演じる柳沢吉保の「食えない」感じ。渡哲也演じる堀部安兵衛の一途さ。

 

伊藤雄之助はその独特の「長い顔」を生かし、大野九郎兵衛という善玉か悪玉かよくわからない人物を、実に面白く見せています。いや、出演者の方々皆素晴らしい!

 

 

これは面白い作品に巡り合えました。ていうか、いままで見たことがなかったなんて、我一生の不覚であります(笑)いや、そんな風に思えるほどに、

 

これは面白いです。

 

何が何でも、最後まで見なけりゃなりませんね、これは、それまでは、

 

 

絶対、死ねないわ!

 

 

 

 

 

『大忠臣蔵』

出演

大石内蔵助 三船敏郎

浅野内匠頭 尾上菊之助(現・尾上菊五郎)

大石りく 司葉子

阿久利 佐久間良子

堀部安兵衛 渡哲也

堀部弥兵衛 有島一郎

不破数右衛門 新克利

磯貝十郎左衛門 長谷川明男

矢頭右衛門七 田村正和

矢頭長助 加藤嘉

片岡源五右衛門 江原真二郎

赤埴源蔵 フランキー堺

大石主税 長澄修

松原多仲 神田隆

浜子頭・和助 堺佐千夫

畳屋・米吉 柳谷寛

二郎吉 坂上二郎

金三 萩本欽一

与助 関敬六

お松 玉川スミ

徳川綱吉 高橋昌也

柳沢吉保 神山繫

大野九郎兵衛 伊藤雄之助

 

吉良上野介 市川中車

昭和46年 三船プロ NET(現・テレビ朝日)