11日、中国人民銀行(中央銀行)は3月末の外貨準備高が前年同期比16.1%増の1兆9537億ドルになったと発表した。
今年1―3月の増加額は77億ドルにとどまり、外貨準備高の頭打ち傾向が鮮明になってきている。
中国経済の好調を象徴する外貨準備高が頭打ち傾向にあるとのことだが、2009年現在で約200兆円もの外貨を保有しているので、少々減ったところで全く心配する必要はないだろう。
それよりも私が驚いたのは、外貨準備高が頭打ち傾向などと言われながらも、中国の3月の銀行融資の増加額が前年同月の約7倍にあたる1兆8900億元(約28兆円)に達し、単月ベースで過去最高を更新したという点だ。
こんなことは日本や米国では考えられない。
日本や米国では政府によって救済された銀行であっても結局は自分だけが潤ってしまえば「取りあえずは良し」という考え方なので、そこから個人や企業に資金が流れることは滅多にないというのが現状だ。
ところが中国の場合には、銀行がガンガン融資を始めている。これには大きく2つの要因があると思う。
まず第1に、政府から不良資産の審査は厳しくしないから安心して良いという趣旨のことを伝えられているのだろう。
第2に、万一銀行が再びひっくり返るような事態になれば、今度は政府が面倒を見てくれるだろうという算段をしているのだと思う。
実際どのような腹積もりなのか正確なところは分からないが、日本の銀行が一人ぬくぬくとしているのに比べると、中国の状況は素晴らしいと言える。
改めて、中国という国は、われわれ日本や米国とは「違う」国なのだということを痛感している。
さらに、これまで私たちが認識してきた中国と日本に対する認識も改める必要が出てきたと感じるニュースがあった。
中国の家庭で消費よりも貯蓄を優先する傾向が強くなってきており、2008年の家計貯蓄率は28.8%と過去最高を更新しているというのだ。
80年代日本のバブル絶頂期でも、その貯蓄率は20%弱だった。いかに現在の中国の貯蓄率が高いか分かるだろう。
日本は「貯蓄大国」という認識がある人も多いと思うが、最早その時代は終わったと考えるべきだ。
確かに未だに日本の貯蓄総額は大きい。
しかし、今月の可処分所得のうち何%を貯蓄に回すのかという点で見ると、現在はわずか3%に過ぎない。貯蓄大国などと呼べたモノではないだろう。
さらに言えば、もし今の日本の低い貯蓄率が継続すれば、中国どころか米国にさえ抜かれてしまう可能性がある。
米国といえば「クレジット社会」の代表であり、貯蓄とは程遠いイメージがあるかも知れないが、それが転換の兆しを見せている。
この世界的な金融危機を経て、わずか数ヶ月の間に30兆円もの資金が貯蓄に回っている。
実は、私は数十年前から日本が貯蓄性向の高い国というのは統計上の誤りだという意見を述べていた。
例えば、生命保険を例にすると、米国では掛け捨ての生命保険がメインだから、生命保険は「消費」に分類される一方、日本の生命保険は「貯蓄」に分類されていた。
このような統計上の数字を補整すると、80年代でさえも、日本の貯蓄性向は米国と比べて低かったと私は思う。
米国人は決して貯蓄性向が低いわけではなかった。それが今まさに証明されつつある。
「日本ではなく中国が貯蓄大国だ」ということ、そして「米国はクレジット社会から貯蓄社会へ大きく転換した」ということ、これを私たちは認識するべきだろう。貯蓄大国・日本というのは幻想だ。
そして中国において、日本でも米国でも考えられないような銀行の積極的な融資態度を生み出しているのは、「最後には政治家が責任を取る」という潔さがあるからだろう。
日本では、国民と政治家の間に官僚組織があるために、これが実現できていない。
今の日本と中国の違いを客観的に見つめ直し、学ぶべきところは素直に学んでいく姿勢が必要だと思う。
今年1―3月の増加額は77億ドルにとどまり、外貨準備高の頭打ち傾向が鮮明になってきている。
中国経済の好調を象徴する外貨準備高が頭打ち傾向にあるとのことだが、2009年現在で約200兆円もの外貨を保有しているので、少々減ったところで全く心配する必要はないだろう。
それよりも私が驚いたのは、外貨準備高が頭打ち傾向などと言われながらも、中国の3月の銀行融資の増加額が前年同月の約7倍にあたる1兆8900億元(約28兆円)に達し、単月ベースで過去最高を更新したという点だ。
こんなことは日本や米国では考えられない。
日本や米国では政府によって救済された銀行であっても結局は自分だけが潤ってしまえば「取りあえずは良し」という考え方なので、そこから個人や企業に資金が流れることは滅多にないというのが現状だ。
ところが中国の場合には、銀行がガンガン融資を始めている。これには大きく2つの要因があると思う。
まず第1に、政府から不良資産の審査は厳しくしないから安心して良いという趣旨のことを伝えられているのだろう。
第2に、万一銀行が再びひっくり返るような事態になれば、今度は政府が面倒を見てくれるだろうという算段をしているのだと思う。
実際どのような腹積もりなのか正確なところは分からないが、日本の銀行が一人ぬくぬくとしているのに比べると、中国の状況は素晴らしいと言える。
改めて、中国という国は、われわれ日本や米国とは「違う」国なのだということを痛感している。
さらに、これまで私たちが認識してきた中国と日本に対する認識も改める必要が出てきたと感じるニュースがあった。
中国の家庭で消費よりも貯蓄を優先する傾向が強くなってきており、2008年の家計貯蓄率は28.8%と過去最高を更新しているというのだ。
80年代日本のバブル絶頂期でも、その貯蓄率は20%弱だった。いかに現在の中国の貯蓄率が高いか分かるだろう。
日本は「貯蓄大国」という認識がある人も多いと思うが、最早その時代は終わったと考えるべきだ。
確かに未だに日本の貯蓄総額は大きい。
しかし、今月の可処分所得のうち何%を貯蓄に回すのかという点で見ると、現在はわずか3%に過ぎない。貯蓄大国などと呼べたモノではないだろう。
さらに言えば、もし今の日本の低い貯蓄率が継続すれば、中国どころか米国にさえ抜かれてしまう可能性がある。
米国といえば「クレジット社会」の代表であり、貯蓄とは程遠いイメージがあるかも知れないが、それが転換の兆しを見せている。
この世界的な金融危機を経て、わずか数ヶ月の間に30兆円もの資金が貯蓄に回っている。
実は、私は数十年前から日本が貯蓄性向の高い国というのは統計上の誤りだという意見を述べていた。
例えば、生命保険を例にすると、米国では掛け捨ての生命保険がメインだから、生命保険は「消費」に分類される一方、日本の生命保険は「貯蓄」に分類されていた。
このような統計上の数字を補整すると、80年代でさえも、日本の貯蓄性向は米国と比べて低かったと私は思う。
米国人は決して貯蓄性向が低いわけではなかった。それが今まさに証明されつつある。
「日本ではなく中国が貯蓄大国だ」ということ、そして「米国はクレジット社会から貯蓄社会へ大きく転換した」ということ、これを私たちは認識するべきだろう。貯蓄大国・日本というのは幻想だ。
そして中国において、日本でも米国でも考えられないような銀行の積極的な融資態度を生み出しているのは、「最後には政治家が責任を取る」という潔さがあるからだろう。
日本では、国民と政治家の間に官僚組織があるために、これが実現できていない。
今の日本と中国の違いを客観的に見つめ直し、学ぶべきところは素直に学んでいく姿勢が必要だと思う。
いつも本コラムを楽しく読ませていただいております。
中国はよく共産党の一党制について、批判をされますが、今回はまさにその一党制がよい意味で働いたのではないでしょうか?しかし、それを今の日本に求めるのは到底無理があると思います。どのように学ぶことが出来るのか思いつきません。もっと根本的に改革が必要だと思ってなりません。
無知の国民が馬鹿なメディアを生み、馬鹿なメディアが視聴率しか取れない政治家を育て、また意味のなさない政策。。。この悪循環をどこかで改善しない限り、未来が見えない。
私は若い世代の教育に期待しています。
貯蓄を投資に回せと盛んに煽っていた方が貯蓄が低いと掌を返したような内容に苦笑しました。
共産主義が良いとの意見、参考になりました。
ばかばかしくて、コメントしようが有りません・・
一党独裁万歳!
自由主義経済を打倒せよ!
ですね。分かります。ご苦労様です。
貯蓄率が高いから日本はダメではなかったのですか?
大前先生のおっしゃるように貯蓄率が下がってきましたよ。
次は貯蓄率が高い中国様最高ですか?
そうですね中国様はチベットを侵略し、将来は日本を統治される国ですものね。
なぜ,中国が30年を立てても,まだ発展中ですが,日本が30年がすぎて,世界二になるの.
よく考えてください.
中国の政治家が国民に対して謝罪でもすると??
本当ですか??
貯蓄が高いのは消費が異様に少ない、つまり生活保障も何もないので今後内需には期待できないということでもあります。輸出で駄目なら内需しかない中国の状態でこれは駄目でしょう・・・
国民の所得水準を上げずに国内需要の拡大を
せざるを得なかったためとも考えられます。
しかし、審査のいい加減な融資というものは
ある意味サブプライムローンと大して変わらないでは
ありませんか?
それを持ち上げていいんでしょうか?