大前研一のニュースのポイント

世界的な経営コンサルティング 大前研一氏が日本と世界のニュースを解説します。

この10年間の歴代内閣は一体何だったのか? と問いたくなる

2008年12月16日 | ニュースの視点
自民党内で郵政民営化策の見直し論が浮上してきた。

郵便事業会社と郵便局会社の統合など4分社体制の修正や郵便貯金の預入限度額(1000万円)の引き上げなどが主な論点となっている。

また、与党は消費者行政を一元化する「消費者庁」の設置関連法案の審議入りを来年の通常国会に先送りする方針も固めているとのこと。

これは一体何が起こっているのか?

歴代内閣の重要政策の主な要点と現状を整理してみると次のようになる。

まず、小泉内閣の目玉政策の1つであった「郵政民営化」が危うい状況だ。市況の悪化を理由に「上場延期」を掲げ、上場を前提とする民営化が先送りされようとしているのだ。

同様に小泉内閣の目玉政策であった「骨太方針」も、公共事業費の3%削減などのシーリングについて景気悪化を理由に歳出削減路線を3年程度凍結させる見込みだ。

また、小泉内閣から安倍内閣へと引き継がれた「道路財源の一般財源化」も、自民党案では、現行の地方道路整備臨時交付金(約7千億円)に別途3千億円程度上積みし、地方に移管するものの、用途の約8割は道路関連という始末だ。

そして、福田前首相が取り組んだ、消費者行政の一元化を図る「消費者庁」の設置に至っては、国会審議入りさえ来年に先送りということになった。

国民からの圧倒的な支持を受けた小泉内閣の目玉政策でさえも、これだけあっさりと骨抜きにされてしまうと、日本の首相というのはどれだけ軽い存在なのかと皮肉の1つでも言いたくなるのは私だけではないだろう。

結局日本の場合には、自分が気に入らない政策を実行したいという首相が出てきたら、まずはそれを認め、いざ実行する段になったら役人と協力して法案を延期・先送りしてしまえばいいということになってしまう。

実際にはさらに露骨なケースとして、政策として決定しているにも関わらず、それを無視して「有名無実」化している例もある。

道路公団の民営化はその代表例だ。

一応、形の上では道路公団の民営化は実現したが、未だに国の影響力が働いているのは明らかだ。

例えば、「最近は景気が悪い」ことを理由に高速道路の値段を値下げするように「国が」主導して料金の変更が行われていることからも窺い知れる。

結局、民営化しても機能しないならば、当初私が提案していたように、「国道0号線の設置」「高速道路無料」にして全て税金で運営するという方法で良かったと言いたくなる。

有料道路建設費も含めて、国・地方を併せて年間8兆円超も道路関係に予算を割いていることを考えれば、税金だけで道路の運営は必ずできるだろう。

こうして見ると、小泉内閣を筆頭にして安倍内閣・福田内閣と引き継がれてきたこの10年間は何だったのか? 実質的には全く意味がなかったと言えるだろう。

一度決定した政策をなし崩し的に延期していくのは論外だが、私としては小泉元首相がこのような事態を静観しているのも少し残念だ。

あれだけ自らが主導して推し進めた政策なのだから、何か文句の1つでも言ってもらいたいところだ。

4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
今の (アリスト)
2008-12-17 17:15:26
内閣には希望が持てない。森~小泉~安部~福田~麻生、どいつもこいつもだめな奴等の集まりだ。首相がだめなら議員はみんかダメ。
返信する
選べません (たいち)
2008-12-17 21:43:42
現実をみる限り、自民も民主も選ぶことができません。
二大政党が、ともに進行方向を不明確なまま、方向性が明確だった小泉政権の遺産を食いつぶすのは、忍びない気持ちです。

政党に頼らずとも政治の場で意見が言える環境があれば、おのずと『第三の政権』の話が浮上しても良い気がします。

政権の世界に入りにくいのが、今の政治の悪い部分の気がします。
返信する
郵政民営化=原発100基建設 (桃太郎)
2008-12-18 06:32:22
大前さんの話って表向きしか語られないれど、オルタナティブ通信というブログでは郵政民営化は外資系の郵貯乗っ取りであり、その資金で中国に原発100基建設らしいですね。詳しい人に聞くと本当の話らしいです。
返信する
アーロンルッソ (桃太郎)
2008-12-18 06:35:59
アーロンルッソのインタビュー映像や彼が製作したドキュメンタリー番組なんか見ると、大前さんの語る話は表向きの話ばっかりで、彼等とのギャップを感じます。
大前さんの語りの内容を診ていると大前さんも世論操作の為の操り人形に思えます。
あえて無駄な道路にお金を注ぐのも国を疲弊させるための作戦なのでは?
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。