大前研一のニュースのポイント

世界的な経営コンサルティング 大前研一氏が日本と世界のニュースを解説します。

日産再建。真の経営者としての実力を問われているゴーン氏

2007年04月17日 | ニュースの視点
27日、日産自動車は国内販売体制を大幅に見直すと発表した。

地域ごとに店舗網を再編する。

また、販売関連間接部門の人員を半減し、販社の営業利益率を高める狙いとのこと。

ゴーン氏は製造部門の業務効率化(コストカッター)としては有名で、日産でも実績をあげた。

今度はそれを本社と販社の間接部門に適用していくということだろうが、私は次の2点について不安を感じる。

1つは、ゴーン氏は、すでに5つの販売チャネルを2つに統合しているという点だ。

この統合のプロセスの中で効率化が図られていないのは、お粗末だと言わざるを得ない。

もう1つは、間接部門のコストを半減するというのは、簡単ではないということだ。

これを実現するには、事前にきめ細かい業務プロセスの分析が必要だが、この準備ができているのか、私は疑問に思う。

また、日産が世界戦略車と位置づけ、販売を拡大しようとしている「リヴィナ」シリーズについても若干の不安を感じる。

この車を日産のグローバル戦略上の巻き返しの布石になるという人もいるが、率直に言えば、私はこのままの戦略では無理だと思う。

この車を大々的に売っていくためには、販売力の強さがキーポイントになるわけだが、残念なことに日産はアジアでは強い販売網をほとんど持っていない。

これからコツコツと現地の販売力をつけていくか、あるいは現地ですでに強い販売網を持っている会社と提携するなどの施策が必要だろう。

または、アジアだけにこだわらず、日産が伝統的に強い欧米でテストマーケティング・販売をするという策も考えられる。

今、ゴーン氏は、コストカッターとしてだけではなく、経営者としての真の実力が問われている。

V字回復のときのような見事な成果が出せるのか、お手並み拝見だ。

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。