大前研一のニュースのポイント

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国家公務員制度法改革基本法の成立に満足することなく、公務員改革を進めよ

2008年06月24日 | ニュースの視点
国家公務員制度法改革基本法が成立した。これを受け政府は、国家公務員制度改革推進本部を今月中に設置するとのことだが、中央省庁の官僚には反発もくすぶっており、細部の制度設計で骨抜きが進む懸念もある。

この法律によって、中央省庁の人事管理が内閣で一元化できるようになる。

今後、各省庁は独自の人事管理を継続するべく、この法案の骨抜き施策を考えてくるだろうが、今回はこの法案成立を「第一歩を踏み出した」という意味で評価できると思う。

ただし、渡辺喜美行政改革担当相には、引き続き、国家公務員に関係する諸問題の解決に取り組んでもらいたいと強く願っている。

例えば、今回の法案によって中央省庁の人事管理が一元化されても、現状のように大学を卒業した人がそのまま公務員になっていては公務員の質が改善しないと思う。

社会経験、会社経験がなく、民間企業で働く一般の人々とは感性がズレた人になってしまうからだ。

民間企業で働く一般の人々とは感性がズレた感覚を持っていることを象徴するような事例が大阪であった。

大阪府の橋下知事と職員がやりあう一幕があったというが、この職員の発言からも容易に推し量ることができる。

345億円の人件費削減が盛り込まれていることについて不満を訴え、「橋下さんは人として尊敬できない」と述べたというのだ。これに対し橋下知事は「私のやり方があなたの意に沿わなければ、職を変えて下さって結構です」と反論したとのこと。

民間企業なら社長に向かって「あなたは尊敬できない」と言ったら、どうなるか?少し想像力を働かせれば分かることだ。

橋下知事は「私のやり方があなたの意に沿わなければ、職を変えて下さって結構です」と切り返したというが、これは見事だ。今までの知事でここまではっきりと言い切った人はいなかったと思う。

堀場製作所創業者の堀場雅夫氏の著書タイトルにもあるが、「イヤならやめろ!」である。こちらの方が、世間一般から見れば当たり前であり、それほど橋下知事が嫌だというならば、それは選挙民として反対するべきことである。

そもそも、大学を卒業してそのまま公務員になるという「キャリアパス」そのものに原因がある。だから、公務員になるには、少なくとも社会人経験を10年以上必要とし、20代・30代・40代の世代ごとに採用人数を決めるといった対策が必要ではないだろうか。

また、日本人以外の雇用も検討するべきだ。例えば、ニュージーランドのように公務員であっても重要な職員については、世界から優秀な人材を募集してみるのも1つの案だと思う。

3 コメント

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仰る通りです。 (ks)
2008-06-24 12:55:55
某企業で派遣勤務したときですが、全国の自治体へ電話を入れ、業務に必要な質問をしたのですが、ある証書の発行者にも関わらず、『自分で調べろ』と一言で名前も名乗らずガチャ切りされたこと多数。


つくづく役人とは何なんだと…


個人的には税の支払いを分割払いのお願いをしたところ…『個人の借金支払いを優先するくらいなら、先に税金を払え!』と20代か30代の女性職員に言われました。。。こちらも名前を名乗らず。


一般企業ならクレームの嵐だろうに。
一般企業でもおかしな方はいますが、役人は特にひどいです。

家庭ではどのように振る舞っているのか興味津々です。

大前さんの提言が実現するのか期待よりも失望するのでは?と感じます。


政治家に期待できるのか?良心的官僚は存在するのか?

一人一人は良い人間でも数の論理が優先されるんでしょうね。
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Unknown (高3)
2008-06-24 15:31:50

公務員の給料あげて人数減らす



そんぐらいしか想像できないよ
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御題目、正にその通り、つまるところ勝てば官軍てか〓 (南極東人)
2008-06-27 19:57:21
強欲な人間の一人です。日々、幻想に明け暮れる煩悩の固まりかと自分で思っています。さて、幻想を知らない不幸?な世界にいる人達にとって今の体制はこの上ないサポーターで、このアンバランスを永遠に自分達の物にしたいと、最近の物騒さに真逆に守りに入っているのかなと想像したりしています。はしょりますが、目の前に好きなだけ紙束を積むよと言われたら私はどうするだろうかと考えます。最後の答えはそれです。紙で本当に自分の欲望が買えるのかって…破滅しかないんじゃないかと…現状では、未来はわからないけど、未来ってみんな商品にしてしまいそうで恐いです。それが人にとって幸せなのか、どうか
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