大前研一のニュースのポイント

世界的な経営コンサルティング 大前研一氏が日本と世界のニュースを解説します。

西武HDは悪しき前例を作ってしまうだろう

2013年06月14日 | ニュースの視点
米投資ファンド、サーベラスは1日、西武ホールディングスに対する持ち株比率が35.48%になると発表した。株式公開買い付け(TOB)の目標は下回ったが、「3分の1超」で重要案件への拒否権を得ており、取締役を選ぶ株主総会などで攻防は続くとの見通しだ。 36%弱で止まってしまったのは、サーベラス陣営にとっては痛手だろう。もし44%まで持ち株比率を高められていれば、万一、委任状争奪戦(プロキシファイト) . . . 本文を読む

成長戦略の意味を理解していない人が、絵空事を述べているだけ

2013年06月07日 | ニュースの視点
政府は28日、2017年度末までの向こう5年間を緊急構造改革期間とする成長戦略の工程表をまとめた。国が運営するハローワークの求人情報を14年度からオンライン上で民間企業に開放することや、高度な技能を持つ外国人は3年で永住資格を取れるようにすることが盛り込まれており、金融緩和と財政出動に続く第3の矢で日本経済を息の長い回復軌道に乗せる考えだ。 金融対策、財政出動に続いて、成長戦略はいわゆるアベノミ . . . 本文を読む

東京で標準時間を2時間早めるのは、物理的に難しい

2013年05月31日 | ニュースの視点
東京都の猪瀬直樹知事は「日本の標準時間を2時間早める」という構想を発表した。22日の産業競争力会議で、無駄にしていた日照時間を有効活用でき、消費電力が抑制できること、明るい時間に仕事が終わり、アフターファイブ需要が生じるなどと利点を強調したとのことだ。 都知事として産業競争力会議で何かしらの提言をしようと試みた、という点では評価できるが、現実的には難しいと言わざるを得ない。 私は以前、北海道に . . . 本文を読む

シャープの再建に必要なこと/ソニーは事業分離提案を受け入れない

2013年05月24日 | ニュースの視点
シャープは13日、高橋興三代表取締役副社長執行役員が6月下旬に社長に昇格する人事を固めた。同社は2013年3月期まで2期連続の巨額の最終赤字を計上した。主力取引銀行から追加支援を受けることも決まっており、経営体制の刷新で再建を急ぐ考えだ。 率直に言って、お家騒動で揉めている現状を考えると、副社長が昇格する人事では再建することは難しいと思う。日産をV字回復させたカルロス・ゴーン氏のように、お家騒動 . . . 本文を読む

維新の会の賞味期限は必然、民主党の空中分解

2013年05月17日 | ニュースの視点
日本維新の会の石原共同代表は、7日「党の旬が過ぎ、賞味期限が近づきつつある」として共同代表を務める大阪橋下市長の参院選への出馬論を唱えた。橋下氏は(国会議員と自治体首長を)兼職できるなら挑戦もあり得るが、市長を辞職することはできない」と出馬に慎重な姿勢を示している。 私は石原氏の発言は非常に無責任だと思う。橋下氏は出馬するべきではない。もし参院選に出馬すれば、せっかく進めている大阪都構想が無駄に . . . 本文を読む

第9条の改正には、日本の冷静な判断能力が問われる

2013年05月10日 | ニュースの視点
日本経済新聞社とテレビ東京は共同で世論調査を実施し、夏の参院選の争点に浮上している憲法改正への有権者の意識を探った。現行憲法を「改正すべきだ」との回答は56%に上り、「現在のままでよい」の28%を上回った。現状維持が3割を下回ったのは2005年の調査以来8年ぶりとのことだ。 マスコミは否定的だったが、以前から私は憲法改正が参議院選挙の争点になると述べていた。現在の世論では、「第96条だけ変えるの . . . 本文を読む

日産はゴーン氏と袂を分かつか逆買収せよ/ヤクルトはTOBの危険性が大

2013年05月03日 | ニュースの視点
日産・ルノー連合のカルロス・ゴーンCEOは、先月13日、「夏までにルノーの工場で日産車を生産する計画を発表できるだろう」との見通しを示した。現在、両社の業績格差は広がっているが、フランス政府も日産がルノーを手助けするのは当然とコメントするなど圧力を強めており、負担を強いられる日産社内からはルノーへの出資比率を引き下げる議論も出始めたということだ。  これは非常におかしな話だと思う。ルノ . . . 本文を読む

先進国へお金が流れ始めたというのは、全くの勘違い

2013年04月26日 | ニュースの視点
新発10年物国債の利回りは15日、一時前営業日よりも0.03%高い0.65%まで上昇した。一方、東京証券取引所が18日発表した売買動向によると、黒田総裁率いる日銀が「量的・質的金融緩和」を発表した翌週の4月第2週に海外勢は日本株を1兆5865億円買い越し、週間で過去最高を更新したことがわかった。 このような事態を受けて、日経新聞は「世界の投資マネーが新興国から先進国へ回帰し始めた」などと報じてい . . . 本文を読む

現在のイギリスを形作った、サッチャー改革7つのポイント

2013年04月19日 | ニュースの視点
鉄の女と言われ、1979年から11年間イギリス首相を務めたマーガレット・サッチャー氏が8日、脳卒中のため死去した。強い指導力で国営企業の民営化や規制緩和を進め、小さな政府を目指し経済の自由化を実現する手腕は、他の先進国の経済改革に大きな影響を与えた。  日経新聞に連載されたサッチャー元首相の“私の履歴書”は、素晴らしいものだったと思う。実際、彼女の記憶力、信念は . . . 本文を読む

史上最高値と言っても、米国経済は浮かれる余裕はない/ASEANの好調は、数年前からわかっていたこと

2013年04月12日 | ニュースの視点
日経新聞は1日、「上向く米中景気」と題する記事を発表した。 これは米国株価指数のダウ工業株30種平均が5年5か月ぶりに最高値を付けたことを受けて、ウォルト・ディズニー、IBM、マクドナルドなど日本でも有名なグローバル企業が牽引したと紹介。 また個人消費も勢いをつけているとし、課題は雇用回復ペースの遅さと指摘している。 一方、中国経済については中国政府が昨年夏以降に行ったインフラ投資の規制緩和 . . . 本文を読む