荻野洋一 映画等覚書ブログ

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ポルトガル 2-3 ドイツ

2008-06-20 15:15:00 | サッカー
 UEFA EURO 2008、大会13日目。準々決勝の初日。

 ドイツの先制点は、ポルトガルのお株を奪うような流れる展開から生まれた。ポドルスキーからバラック、バラックからまたポドルスキー、そのままポドルスキーがドリブル突破で左サイドをえぐり、グラウンダーの折り返し。2列目から走り込んできたシュヴァインシュタイガーがスライディングシュートを決めた。
 ドイツの首脳陣は、不調にあえぐFW陣と心中するのをやめて新たな戦略を用いたが、これが奏功した。これまでのボックス型4-4-2をあっさり撤回し、いわゆるACミラン型「クリスマスツリー」の変型(中盤は逆三角ではなく正三角形ではあったが)、つまりドイツ国内では「タネンバウム・ズィステム」と呼ばれる4-3-2-1フォーメーション。
 1トップのクローゼの後方左に今大会好調のポドルスキー、後方右に前試合レッド退場の汚名返上に燃えるシュヴァインシュタイガー。
 これで、マイボール時の後方からの追い越しの動き、バラックを頂点とする正三角形を基点にディアゴナルにボールを動かしていくことに成功していた。そして、これはポルトガルが本来なすべきことだった。

 その後のセットプレーからの追加点は一見、高さに勝るドイツお家芸の反復に見えるが、囮の動きをまじえつつ、フリーの受け手を作り出すなど、駆け引きの面でも、ポルトガルDF陣より頭脳的だった。
 ポルトガルは、ボジングワからの絶妙なクロスにジョアン・モウティーニョの惜しいシュートがあったり(足で撃つかヘッドで撃つか、一瞬迷ってしまったようだ)したが、どれも単発的だった。ポルトガルの選手たちはみな、抜けきる前にクロスやラストパスを上げてしまい、なおかつそれがフワリとした浮き球だったりすることが多く、ちょっときつかった。

 4年前には、決勝でギリシャに敗れて涙に暮れたクリスティアーノ・ロナウドだったが、今回は涙なくピッチを去っていった。その淡々としたバストショットにはむしろ、完敗を甘受している心情が表れていたように思える。
 もちろんそれは、前夜ロシア戦後のイブラヒモヴィッチが敵将ヒディンクとの抱擁の際に浮かべた冷笑のごとき、仲間の不甲斐なさに対する、育ちの悪い嘲笑的態度に比べれば、はるかに清雅なものであるが。


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