認知症のキヨさん(85歳)には、ヒヤヒヤさせられっぱなしだ。
自分のことはほとんど自分でできる。
ニベアクリームで歯を磨こうとしたり
シャンプーを顔に塗ろうとしたり
一見、ただのオッチョコチョイとも思えるような間違いはあるが
着替えも排泄もヘルパーの手を借りずに行うことができるし
食堂では人の世話まで焼くお節介オバアチャンだ。
記憶障害は、ある。
口を開けば「私、11年もお勤めをして来たじゃない?
よ~く働いてきたもんだわ」と、そればかり。
ご主人が亡くなったことも
息子が結婚して、そのお嫁さんが毎日世話をしにきてくれていることも
まったく記憶していない。
しかし、自分の身の回りのことはほとんどできているのである。
そんなキヨさんの何にヒヤヒヤしているのかというと
彼女の毒舌、なのだ。
そのエピソードを紹介しよう。
エレベーターで乗り合わせたTさんに向かって
「ねえ奥様、そのセーターどこでお買いになったの?
ヘンなセーターね」
同じくエレベーターで乗り合わせた肥満のKさんに向かって
「ねえ奥様、お元気そうだけど何を召し上がってらっしゃるるの?」
「私も元気だけど、奥様ほど太った経験ないのよね」
時間の認識がないので食堂への移動援助は行っているのだが
エレベーターで他の利用者と一緒になると
私たちはいつも「何を言い出すのか!?」とヒヤヒヤさせられる。
特に「ねえ奥様」という言葉が発せられたら赤信号。
だめ~、それ以上は喋らないで~!と、彼女の口を塞ぎたくなる。
移動中だけではない。
きのうも食堂でご飯を食べながら眠りこけているM三郎さんを見て
「あの人いつも寝てるわよね。
きっとノータリンなんだわ、あはははは」
M三郎さんは寝ていたから聞こえていないかもしれないが
周囲にいた他の利用者も、もちろん私も、思わず固まる。
同じく認知症のセツコさんが
「あなた、そんなことを言うもんじゃありませんよ」とたしなめても
「だって、ノータリンはノータリンでしょ? あはははは」。
反省するどころか、ますます愉快そうに笑うのでる。
無邪気で大らかな認知症、キヨさん。
彼女のお陰で、こっちは頭を下げてばかりだ。
自分のことはほとんど自分でできる。
ニベアクリームで歯を磨こうとしたり
シャンプーを顔に塗ろうとしたり
一見、ただのオッチョコチョイとも思えるような間違いはあるが
着替えも排泄もヘルパーの手を借りずに行うことができるし
食堂では人の世話まで焼くお節介オバアチャンだ。
記憶障害は、ある。
口を開けば「私、11年もお勤めをして来たじゃない?
よ~く働いてきたもんだわ」と、そればかり。
ご主人が亡くなったことも
息子が結婚して、そのお嫁さんが毎日世話をしにきてくれていることも
まったく記憶していない。
しかし、自分の身の回りのことはほとんどできているのである。
そんなキヨさんの何にヒヤヒヤしているのかというと
彼女の毒舌、なのだ。
そのエピソードを紹介しよう。
エレベーターで乗り合わせたTさんに向かって
「ねえ奥様、そのセーターどこでお買いになったの?
ヘンなセーターね」
同じくエレベーターで乗り合わせた肥満のKさんに向かって
「ねえ奥様、お元気そうだけど何を召し上がってらっしゃるるの?」
「私も元気だけど、奥様ほど太った経験ないのよね」
時間の認識がないので食堂への移動援助は行っているのだが
エレベーターで他の利用者と一緒になると
私たちはいつも「何を言い出すのか!?」とヒヤヒヤさせられる。
特に「ねえ奥様」という言葉が発せられたら赤信号。
だめ~、それ以上は喋らないで~!と、彼女の口を塞ぎたくなる。
移動中だけではない。
きのうも食堂でご飯を食べながら眠りこけているM三郎さんを見て
「あの人いつも寝てるわよね。
きっとノータリンなんだわ、あはははは」
M三郎さんは寝ていたから聞こえていないかもしれないが
周囲にいた他の利用者も、もちろん私も、思わず固まる。
同じく認知症のセツコさんが
「あなた、そんなことを言うもんじゃありませんよ」とたしなめても
「だって、ノータリンはノータリンでしょ? あはははは」。
反省するどころか、ますます愉快そうに笑うのでる。
無邪気で大らかな認知症、キヨさん。
彼女のお陰で、こっちは頭を下げてばかりだ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます