さじかげんだと思うわけッ!

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52.Cyprus

2007-10-12 22:23:00 | 『万国巡覧記』

キプロス共和国
(Republic of Cyprus)


1.面 積  9,251平方キロメートル(四国の約半分)
2.人 口  約80万人(キプロス政府公式ホームページ)
3.首 都  ニコシア
4.民 族  ギリシャ系(約80.7%)、トルコ系(約11.0%)その他
5.言 語  現代ギリシャ語、トルコ語
6.宗 教  ギリシャ正教、回教
7.主要産業 観光業
8.GDP 65.6億キプロス・ポンド(2003年キプロス中央銀行)
9.一人当たりGDP 9,142キプロス・ポンド(2003年キプロス中央銀行)
10.通貨・為替レート キプロス・ポンド=2.09米ドル(2004年:キプロス財務省)、キプロス・ポンド(C£)
11.3文字コード CYP
(外務省HP)


なんか久しぶりの、西アジアの国家ですね。いや、西アジアっていったら怒られますか。
極東ヨーロッパとでも言いましょうか。
あれ。でもロシアもヨーロッパなら、極東ヨーロッパはロシアでしょうか。
じゃあ、地理的には中央ヨーロッパですか。
トルコの真下にあるのに中央ヨーロッパですか。
なんか違う気もしますが…まぁとにかくEUに加盟してるっていうんですから、ヨーロッパってことで。

キプロスは、地図でその位置を確かめてもらえればわかりますが、ヨーロッパとアジアの中間地点にあり、見た目の通り、交通の要所でした。
それこそ、西アジア一帯がオリエントと呼ばれていた遠い昔の時代から、海運貿易の重要拠点として栄えました。
と同時に、宗教の上ではキリスト教とイスラム教の境界ともなっています。
大きな変化は、19世紀後半。それまでオスマン帝国が支配してきた土地を、イギリスへと統治権を委託されます。
これは、ロシア帝国の不凍港の獲得のための南下政策により、トルコとの間に戦争が起きたことによります。これが、露土戦争(1877)です。
いやぁ、ドラゴンクエストのプロローグに出てくるような、かっちょいい響きですね。
まあ歴とした近代戦のようだったので、非常に凄惨なものだったようですけど。
結果は、ロシア側の勝利。このときに結ばれた講和条約をサン・ステファノ条約(1878)といいます。結果的に、ロシアは念願の不凍港を手に入れることになります。
この戦争は、トルコ以西の民族割拠地域の紛争状態を招き、その解決のために、プロイセンの鉄血宰相・ビスマルクの呼びかけにより、かの名高いベルリン会議(1878)が開かれます。
この会議の目的はいろいろありましたが、一番の目標は出てきたロシアを打つことにありました。
イギリスの猛烈な意見と諸国のプレッシャーにより、ロシア帝国の野望は潰え、西アジアへの南下政策を転換し、今度は東アジアへと目を向けることになります。
この会議で、イギリスとオスマン帝国は条約を結び、キプロス島の租借することになったというわけです。
だいぶ、遠回りをしましたが、そういう経過を辿ったわけですね。
ところが、1914年、第一次世界大戦の勃発を機に、トルコと敵対したイギリスは強制的にキプロス島を併呑。
1960年の独立まで、イギリスの支配下に置かれることになります。
独立とはいっても、その力の原動力になったのは他国への併合を望む一派だったわけで、その後、すぐにギリシャ併合派とトルコ併合派との間で争いが起きます(1974)。
争いは、1983年、トルコ系住民が多くを占める北部が、北キプロス・トルコ共和国として独立するまでになります。
ちなみに、この独立はトルコ以外の国々を認められていません。
しかし、これで紛争が解決するはずもなく、キプロス問題としてトルコのEU加盟の妨げになるなど、今でも続いているわけです。
うーん、根深いですね。でも、EU加盟問題が、問題解決の一因となればよいですね。

さて、ギリシア神話上において、キプロス島は非常に重要な土地です。
何が重要かといえば、美の女神であるアフロディテが最初に降り立った土地が、キプロス島なのです。
そんなキプロスには、古代ギリシャにまつわる遺跡が多く、特に西部の都市パフォス一帯は、世界文化遺産に登録されています。
神話は、別に子ども向けに作られたものではありませんし、人々の信仰心を煽るために作られたような向きもあるため、エロ・グロ・ナンセンスを地で行く生々しい表現が数多あります。
アフロディテの誕生秘話も、その一つですね。

原初神カオスの娘、大地神ガイアは多くの子供を産みました。
そのうちの一人、天空神ウラノスに才能を見出し、自らその妻となりました。
ウラノスは、夜の女神ニュクスを戸張代わりに伴い、毎日のようにガイアとまぐわり、花や木、山や川、鳥や獣のほかに、天には多くの星々をもうけました。
しかし、二人の間に生まれたのは、自然物ばかりではありませんでした。
しかし、やはり近親相姦というのはやはりよくなかったのでしょうか、巨大な身体を持つ無数のティーターンや頭が五十、腕が百本もあるヘカトンケイル、一つ目のキュクロプスなどの、異形の者も多かったのです。
ウラノスは、自分が生ませた異形のものたちを、ギリシア世界のあの世であるタルタロスに突き落とし、その存在をなかったものにしたのです。
その仕業に怒ったのが、誰あろう母であるガイアでした。
ガイアは一番末の息子、クロノスを密かにタルタロスから引き上げ、斧を渡してこう告げました。
「いいかい、クロノス。ウラノスは今日もまた、夜を伴ってわたしの元にやってくるでしょう。そのときです。冥界に落とされた復讐を遂げなさい」
クロノスは、斧を握って静かにうなずきました。
しばらくして、夜の戸張が墜ちると同時に、天空からイチモツをたぎらせながら、ウラノスが降りてきました。
「ヌハハハハハ~」
いざ、まぐわろうとした、その瞬間でした。
「でぃやーはぁ!」
クロノスが、ガイアの陰部から飛び出し、父ウラノスのイチモツを切り落としてしまったのです。
「ぐあぁぁぁっ!」
とのたうち回るウラノス。
クロノスの最大の復讐は、性交に狂った父のペニスを切断し、二度とその愚行をしないようにさせることでした。
こうして、クロノスは復讐を完了し、クロノスは父ウラノスに代わって、神々の王の座に着いたのでした。
一方、切断されたウラノスのペニスは、拍子に海へと落ちてしまいました。
そのとき、ペニスから滴った精液とか、落ちたときにできた水泡が、アフロディテになったと言われています。
で、そのアフロディテが最初に降り立った陸地が、キプロス島ということですね。

いやぁ、たまらんですね。
生きながらにして、性器を切り取られるなんて。こんな痛々しいことはありませんよねー。


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