酒匂川左岸地域は昭和59年から湛水事業が行われ酒匂堰や周辺の用水にゴム堰が設置された。ゴム堰はゴム引布製のチューブに空気や水を注入することで起伏させる堰で、増水時や冬の間は倒伏していることが多いが、田植えの時期には起立して堰の近くの取水口から周辺の田んぼに送水している。 巡礼街道の美濃里橋の下を流れる酒匂堤。地図ではこの美濃里橋周辺から下流を小八幡川、上流が酒匂堰との表記になっている。目指すゴム堰は美濃里橋の上流600mほどの場所に設置されている。 酒匂堰沿いの道路をしばらく進むとゴム堰が見えてくる。水が注入され起立していた。 ゴム堰はラバーダムやバルーンダムなど色々な呼び方があるが、住友電気工業製のゴム堰はファブリダムという。このゴム堰は住友電気工業製。名称は「矢作堰ファブリダム」といい昭和63年の3月に設置された。高さ1.7m×河床幅8m。一見耐久性が無さそうに見えるファブリダムだが30年以上交換無しで使用できるようだ。 ファブリダムの横にはゴム引布に注水や排水を行う操作室が設置されている。 操作室の中を覗くとポンプ類や配管が見える。 操作室の中には操作要領を説明したボードも置かれていた。ゴム引布を起立させるのに意外と色々な手順があるようだ。 ゴム引布を起立することにより水位が上がり取水口から水を取り込む。このファブリダムでは酒匂堰両岸に取水口が設置されていた。 取水した水は操作室の脇から小さい用水路を流れる。流れを辿ってみることにした。 小さい用水路は途中、住宅街を縫うように流れ、道路の下をくぐり、分岐して住宅街の中にある田んぼに引き込まれていた。 さらに用水路を辿ると、賑やかなダイナシティの近くの道路下に流れは消えた。水の行方を辿りながら散策するのもなかなか楽しい。
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