昨年度から城に集中できない状況となっておりましてブログの更新も途絶えております。
今年度含めて3年間はこんな状況となりそうです。
さて、そうは言っても書かざるをえないのは公益財団法人日本城郭協会が選ぶ100名城に続く100名城が選定されたそうで、その中になんと古宮城が見事
選ばれました!(「選ばれました」部分を押すと協会の発表頁に飛びます。)
ちなみに、まだ市指定ではなく、全く何も指定を受けていない状況です。
※古宮城の見所の一つ両袖桝形虎口。
古宮城は城郭研究家や一部マニアには知られていましたが、一般には全く無名の城でしたけに、よくぞまぁ、ここまで来たものだ、と、ボランティア整備活動に携わっていた者としては感慨深いものが。
折角ですので、私の知りうる範囲で整備活動の状況を一度整理しておこうと思います。
この整備活動は、現在作手山城案内人として古宮城をガイドしている原田純一さんが中心となって、完全にボランティアとして行われているものです。
私が新城市に来た7年前にはシダや笹が生い茂り、城の細かな状況がわかりませんでした。草刈りたいなぁ、と、思うものの、古宮城は複数の個人所有部分と地元の神社が所有する土地のため、整備すると言っても簡単にはできません。
※2012年当時の写真
丁度その頃、このあたりの城を案内しているときに偶然原田さんと知り合いになりまして、原田さんも同様の想いであることがわかりました。
地元では亀山城は有名でしたが古宮城はほとんど知られておりませんでしたが、ちょうど歴女ブームや城ブームが到来し、外部からも見に来る人が増えたことから徐々に地元での認知度が上がり始めていました。
※つくで古城祭りでのガイドツアー
2012年に新城青年会議所に在籍されていた加藤さんから青年会議所事業として「地域の宝物みがき」という企画で古宮城を整備したいというお話が舞い込んだことで地元調整を原田さんがされ、整備活動と城攻めイベントを同時に開催することができました。
非常に城が見やすくなりイベントは盛り上がったものの、木の根に足を取られて転んでしまう方が出たことから、まだまだ整備を継続できたらな、と思っておりました。
原田さんも単年度で終わってしまうのを残念がっておられたので、今後は市民活動的にやれるところまで継続してみよう、と、いうことになり、原田さんが地元の方への声掛けや地権者調整をされ、私が外部から人を呼んでくる等の広報活動を、と、いう形で2013年以降も継続することとなりました。
私的には、古宮城を一度訪れて終わり、ではなく、全国の古宮城好きが集まってワイワイやる理由として年に一度の整備活動が使えると良いな、というのが目論見でした。
愛知県立大学の松宮先生の協力もあり整備活動は続けられ、2014年度には愛知県立大学山村ゼミ(当時)の協力もあり、県大生4名の方々が戦国期の作手地区の調査を行いつつ整備活動にも協力してくれるなどのうれしい出来事もありました。
こうして古宮城は徐々に草が刈られて地表観察がしやすくなり、また、歩きやすくなってきました。
すると、当時はまだ笑点の司会ではなかった春風亭昇太さんが城番組のロケで訪れるなど、徐々にマスコミでも取り上げられる機会が増えてきました。
2016年2月にはNHKの「趣味どき!」で姫路城や大坂城、名古屋城といった誰もが知る名城と並び古宮城が奈良大学の千田教授によって紹介されることで、全国的にも認知度が上がりました。
そのため2016年の整備活動では遠く新潟などからも古宮城が好きな方が、完全に手弁当で駆けつけるなど、当初目標としていた「古宮城が好きな人が集まる理由としての整備活動」が実現されてきました。
そんなこんなで、様々な人に支えられて現在、古宮城は大変見やすい状況となっており、続100名城として訪れる人にとっても良好な状況ではないかと思いますし、整備活動に参加する人がより増えるといいな、と、思っております。
しかし、一つだけ懸念が。
続100名城の選定について地権者の方はご存知なんでしょうか?、と、私が原田さんにお聞きしたところ、
「…、多分知らないと思う。」
とのこと。原田さんもこうした動きを御存じなかったそうです。
何を心配しているのかといえば、ドラマや映画などで話題となった城で個人所有地だった場合に、知らない人が大勢押しかけてきたことで地権者が立入禁止にしてしまい、折角の名城が見られなくなってしまった例が多数あるからです。
古宮城の整備活動も時間をかけて地権者の方のご理解を得て行われてきたことだけに、この点が心配なのです。
長篠城のように公的機関の所有物であれば素直に喜べるのですが、今回選ばれた続100名城の場合、古宮城と似たような懸念を抱えているところが多いのではないかと、城リストを眺めて感じました。
私としては、土地の価値も昔に比べてあがっており、公共が所有して管理することが難しい城が増えている中、個人の所有地を好意で見せていただく代わりに年に一度感謝の意を込めて整備する、という形で遺構が管理されていく形でないと対応できないものが増えていくのではないかと思っております。
今回の続100名城に選ばれたことで、こうした手法がどうなっていくのか、今後の動きを見守っていきたいところです。
さて、こんな古宮城の整備活動ですが、例年どおり、今年も10月に開催予定です。詳細な日程は、また、後日発表いたします。多くの方の御参加をお待ちしております。