入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「春」 (6)

2019年03月06日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 那須塩原の高校生雪崩遭難事故もそうだが、後で振り返れば、「ああすればよかった」とか、「ああすべきではなかった」とか、いろいろな反省点や問題点が出てくる。この事故も、残念ながら過失と事故の関連性は少なくない。送検された3人の教師にしても今、同じ思いをしているだろう。
 事故発生の日、悪天を理由に予定していた茶臼岳登山を中止している。それは穏当な判断だったと思われる。しかし前夜から出ていた大雪警報や、実際の降雪、30センチを超える積雪に対しては適切な対応ができたと言えるだろうか。表層雪崩の発生確率が高い場所へラッセル訓練のため生徒を投入した。不幸にもその最中に雪崩が発生、多くの生徒や教師がそれに巻き込まれるような結果を招いてしまった。この当日の計画変更だが、折角の合宿訓練だけに、少しでもその機会を無駄にしまいという主催者側の善意と熱意が裏目に出たのだと解しても、雪崩の予測、それに対する注意を怠ったという指摘から免れることは難しいだろう。
 しかし、山の事故はこういうことがある、多い。何でもないと思っていたことが後から考えれば、ゾッとするようなことだったと分かる、そんな体験を結構している。経験、技術、知識も重要ではあるが、危機に際しいつでもそれらをもって正しい判断を下せるとはならない。誤る場合もある。それだけ登山は不確実性が高い。あの人も、あの人も、あの人も、多くの実績を残した登山家にしてそうだった。人間の身体が風船のように飛ばされてしまう強風、いつ雪崩に襲われても仕方ない雪の斜面が唯一の登路、それまでは正しかった判断、守ってくれていた運、そういうものに突然見放されて死んだ・・・。
 こう言ってはなんだが、5千人近い職員を抱え、大型コンピューターや気象衛星まで駆使する気象庁でも、天気予測が外れることはある。最新鋭の機器を備え、気象専門家にしてそうである。気象は登山の安全とかなり密接に関係しているが、天候はいつでも予報通りとはならない。夏山情報など、あまり参考になると思えない。だから、長年の経験とか勘も頼りにして山を登るわけだが、しかしその不確実さが登山の魅力でもあり、醍醐味でもあるのだ。
 送検された教師たちも、高校生にそういう山のことを教え、伝えたかったのだろうに。

冬の営業案内」をご覧ください(下線部を左クリックしてください)。予約は早めに頂ければさいわいです。





 
 
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