入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「春」 (5)

2019年03月05日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など


 昨日のことについてもう少し。
 8名の尊い生命を奪ったのは、直接的には雪崩である。しかし、自然の現象を処罰することはできない。そこで問題は、講習会を運営する側・教師に対して、事故の発生を予見できなかったのかどうかを含め、事前の準備、事故発生後の対応などについて厳しく問われるわけだ。事故調査委員会も立ち上げられたし、裁判になれば現場検証や、証拠、証言、供述調書などに基いて様々な角度から審理されるはずで、立件されれば99.7パーセントの有罪率とかを誇る検察のことだけに、3人の教師の「業務上過失致死傷害罪」の判決が下る可能性は極めて高い。
 しかし、それよりも、この事故及び判決の結果が、今後にどのような影響を及ぼすかを考えてみたい。その前に、文部省(当時)は1964年、高校生の冬山登山を控えるよう通達を出しているようだが、それが実情は各県の判断に委ねられていて、栃木県は高校生の冬山登山を認めている。因みに、山岳県である長野県は以前は認めていなかったはずだが、現在は登山計画書の作成だけでなくその審査を受け、安全対策の徹底を図れば、訓練を主たる目的とした登山活動は認めているようである。

 前にも呟いたが、山岳部の顧問の教師だけは基本、生徒と一緒に行動しなければならない。陸上の顧問の教師が生徒と同じことをするわけではないし、他の競技にしてもそうだ。それでいて、体罰くらいがせいぜいの例外で、教師がまず過失致死罪を問われるようなことはない。しかし、山岳部の顧問の場合は、事故が起これば最悪生徒の死の問題に直結し、そうなれば法律的な問題だけでなく、厳しい追及を社会からも受ける。教師生命を絶たれてしまう可能性もあるくらい、それほど大変な役割を負う立場である。余程の教師でなければ、こんな役は受けたくないだろう。
 ところが、女子高生を率いてヒマラヤの登山を敢行した教師もいたし、大分昔の話だが教師の職を投げうって世界第二位の高峰に挑んだ教師も、山岳部の顧問だった。天体観測のため、生徒を連れて牧場の小屋へ来てくれたY先生は天文部と山岳部の顧問で、それだけでなく有力な社会人山岳会の会員でもあった。
 那須塩原の事故を言うわけではないが、ではこういう教師が顧問だったら、高校生の山岳遭難事故は回避できるだろうか。ウムー、である。(つづく)

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