入笠牧場その日その時

入笠牧場の花.星.動物

     ’19年「春」 (9)

2019年03月09日 | キャンプ場および宿泊施設の案内など

   蕗の薹の写真がここに載るまでには、もう二、三日かかりそう

   はるの寒さたとへば蕗の苦みかな ― 夏目成美 ―

 昨日、家の外の西側にある一段低い日当たりの良い斜面で蕗の薹を見付けた。早速、夜の酒に添えるため、蕗の味噌和えを作った。会心の作とまではいかなかったが、香り、苦み、悪くはなかった。日本酒によく合った。少量だったのも良かった。
 この句の解釈では「湯がいて食べやすくしても、まだ苦みが残る云々」とあった。だからいいのではないのか。それにしても、蕗の薹を湯がくとは初耳だが、本当に評者はそうして食べるのだろうか。聞いてみたいものだ。というのも、蕗の薹は香りと苦みが生命で、作者はそれらが「まだ残る」うちに味わい喜んだ、と受け取った。地上に顔を出したばかりの小さな季節のさきがけだが、あの独特の香りと苦みで、まだ寒さの残る早春の息吹を感じさせてくれたのではなかったのか。
 もう何十年も昔、封筒に2個の蕗の薹を一緒に入れて、味噌汁には少し水に晒すようにと添え書きして送ってくれた人がいた。早春の今のころになると、うろ覚えをY氏に正されたこの成美の句とともに、そのことを思い出す。

 冬の終わりに合わせ、一つの風物詩も消える。天竜川のザザムシ漁である。カルシュウムの不足を補うために、ということを意識していたかどうかは別に、この辺りの伊那谷の住人は「虫を食べる民」と言われイナゴ、蜂の子、蚕のサナギ、そしてザザムシを食べた。どれも見た目には決して良くないが、味は悪くない。しかし今や、どれも先細りだ。それにこの辺りに、もう養蚕農家などないだろう。
 一昨日、このザザムシ漁を紹介していたNHKの番組よれば、極寒の天竜川に入り流れの浅瀬を選び「虫踏み」をする好事家など、今では10人かそこらだという。それも、老人ばかりとあっては廃れる一方だそうだ。イナゴや、スガレ追い(蜂追い)の話も、昔のようにはあまり聞かない。
 3年ばかり前に止めてしまったが、冬の間はよく天竜川の堤防を走ったり、自転車に乗ったりした。そうすると、ザザムシ漁をしている人を見掛けた。いつも同じ人だったが「孫が喜ぶから」と、言い訳でもするように言っていた。ザザムシ漁は確か通常の釣り券ではなく、それ専用の鑑札が必要で、漁業組合の取り締まりも厳しいと聞いている。

 2017年、栃木県那須町で起きたの高校生らの雪崩事故について、「送検へ」という記事をすでに送検されたかのように呟いた箇所がありました。実際の業務上過失致死傷容疑での書類送検は、昨日の8日でした。
コメント
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