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モッチリ遅いコメの距離感

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室内音響かいつまみ⑩

2020-09-29 12:33:59 | オーディオ
今までもピックアップした人の論文なのである程度内容は前のとかぶっているかもしれないが

今村秀隆氏の博士論文
音楽の明瞭さの評価要因と音場の物理量の対応(要旨)

https://core.ac.uk/download/pdf/270226713.pdf


ところどころ抜粋

市販音源の聴取においては、音色および音像の明瞭さのどちらも直接音に対して約−23 dBほどの初期反射音レベルが最適とされた。
一方、調整された初期反射音レベルには個人によるばらつきが見られ、高い初期反射音レベルを明瞭とする被験者と、低い初期反射音レベルを明瞭とする被験者に分かれた。
それぞれによって調整された初期反射音レベルには、約10 dB〜20 dBの差が見られた。更に、高い初期反射音レベルを明瞭だと判断する被験者は、初期反射音の到来方向の偏りにも着目して評価を行った。
(中略)
市販音源の聴取における複数の明瞭さの評価要因について、調査した。
音場の室容積が60 m^3〜224 m^3という条件下で、
音楽の明瞭さは「音色の明瞭さ」、「音像の明瞭さ」、「音像の広さ」の3つに区別されることが明らかになった。
全ての明瞭さが、室容積が大きいほど、そして初期反射音の到来方向の偏りが低いほど明瞭と判断された。
音像の明瞭さはこの傾向に加え、初期反射音が直接音と同じ方向から到来する場合により明瞭とされた。音像の広さはIACC(両耳間相関度)が低いほど広いと判断された。(所々中略)
(中略)
結論で提案された最適値については明瞭さに対する価値親の多様性によって適用範囲が限られると考えられること、室内の反射音の明瞭さと実験素材である楽音の明瞭さの影響が交絡している可能性などが指摘された。

自分なりの考察
音色の明瞭さはカラレーションやレベルの高い初期反射音の量などで変化するものと解釈してもいいものか?
音像は直接音と同じ場所から反射音を入れると明瞭とのことだ。位相干渉との兼ね合いが難しいが、基本RFZにしつつ、スピーカー近くの壁に1カ所レベルを調整しつつ反射入れた方がいいのかもしれない。
音像の広さはASWと解釈すればいいのだろう。

クリアーな音はシンプルに言うと
反射音は到来方向に偏りなく-23dBで入れる(音色、音像の明瞭さ)。
スピーカー近くの壁からも初期反射を入れていく(音像の明瞭さ)。
横方向からも入れる(音像の広さ)。

ということらしい。簡潔な答えではある。