モッチリ遅いコメの距離感

オーディオルーム、シアター、注文住宅などに関してのblog。

最適な音像サイズ

2022-10-29 07:22:57 | オーディオ
youtubeのAcoustic FieldsのチャンネルのHear The Whole Pictureの動画を見ての雑感

音像の幅の広さに関しては音響学的に研究が進んでいる分野ではあるが、シアターの場合スクリーンの大きさで最適な音像の大きさは決まるので、スクリーンの大きさに適した音像の大きさにすることが必要と考えられる。

マルチチャンネルで上方向のチャンネルもあるので他のチャンネルで音像は多少は拡大されるが不十分だろう。
上下方向に音像の大きいアレイスピーカー的な縦にミッドレンジがいくつか並ぶようなスピーカーの方がシアター用途に適しているかもしれない。
ただでさえ映画の音響は派手なので、音像が大きい派手な音は相性がいい。スピーカーの素性のよさも重視すべきであるが、そのあたりも考慮して選択するべきなのだろう。

ではステレオ再生ではどうするべきか。結論から言えばどのような音源をどんな場所で聴いている状況を再現するかという目的によって音像の縦の大きさは決まるだろう。
大きな音像を作るシステムと小さな音像を作るシステムを分けても良いかもしれない。
ただ大は小を兼ねるというか、どちらを選ぶべきかというなら大きい音像を作れるシステムの方が優先すべきとは思われる。
小さい音像によってコンサートの遠い席から聞こえる音を再現してもそれで得をするのか?という話にはなるし、小編成の音楽を再現するために小さな音像にするにしても、音像が大きくなれば近くで聴いている感じが出るので不自然にはならない。小編成と言っても電子機器を用いたライブのような音場を再現するなら大きな音場で良いとなる。
小編成やソロの電気を使わない生楽器で比較的小さな楽器(ピアノのような大きな楽器は音像が大きくても良い)や生声の音場を再現したいのであれば小さい音像が良いが、音像が大きくてもそれほど不自然はないというように考えられる。

周波数特性が良いながらも全面的に好まれる訳ではない同軸のモニター志向のスピーカーは、この辺りの要素に目を向けると素性はよいけれどもこぢんまりしてしまっているというマイナス部分も見えてくる。
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最後はやはり唯一解がないという結論にはなるのだが。。。

2022-10-01 08:15:35 | オーディオ
今月の日本音響学会の無料公開分はオンラインでの学会活動についてが主でありオーディオに関して関連性はほとんどなかったが「響きをみがく」音響設計家 豊田泰久の仕事 石合 力 著の書評が興味深いものであった。

以下引用
“残響時間はアルコールの度数のようなもので単なる目安にしかならない”“シミュレーションで得られた波形を見てここが悪いということはわかるが,理想的な波形というものはない”。
音響設計家としての豊田の言葉からは,ホールの音響には正解というものがあるわけではなく,最終的にはそこで音楽を奏でる演奏家が作り上げていくものだということが伝わってくる。

“誰が指揮をしてもいい音響をもつホールというのはありえない” が,“クリアな音と豊かな音の両立を高いレベル
で目指す” 理想のホールは,優れた演奏家との共同作業によって完成するのであろう。

引用終わり。

結局のところコンサートホールについて知見は有用ではあるが研究の果てにベストとなる唯一解があるわけではなさそうだということだ。
良い音にしていくには演奏家がホールの音響効果を正確に把握して、その特徴を活かした相性の良い演奏をしなければベストにはならないということになる。

これはリスニングルームでも同じことだろう。こうなってしまうと音が悪いというのはあるが、おそらく理想的な響きという唯一解は存在しない。
ただオーディオの場合はコンサートホールのように演奏側がリスニングルームの特徴に合わせて演奏を変えることができない。
オーディオ機材を変えるか部屋の音響を変えるということで対応するしかない。
残念ながら一般的にはどちらもあまりフレキシブルとは言えない。となるとオーディオ機器自体を自作や改造など調整が可能なものとするか、部屋の音響を調整できるものとしなければベストなリスニング環境とすることはできないのではないか。

自作でハイエンド機器に並ぶことは現実的ではないと考えるなら、やはりリスニングルームは調節性をより重要視すべきということになる。
そして扱う側が自分のオーディオシステムはこういう癖があるから部屋の音響をその癖を活かせるようこのように調整している、と測定データや聴覚上の印象を交えて説明できるようなものが1つの理想のリスニングルームということにはなるのではないか。

逆に言えば実際そういったことを1つも説明できない、部屋の音響に関してはオーディオシステムの音の特徴を一切考慮していないというものが至高の音と広く認めて貰えるとも思えない。
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