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モッチリ遅いコメの距離感

オーディオルーム、シアター、注文住宅などに関してのblog。

拡散リブの大きさを検討

2020-09-28 13:30:00 | オーディオ
ここ数ヶ月でいくつかの有用な論文や解説をピックアップしたが、自分自身も情報としてまとめられておらず、
当面は忘れている事項を思い出しつつ情報を統合していこうと思っている。

リブによる不完全な拡散は、拡散性が上がりそうな工夫などは考えれば拡散性は上がるだろうが、複雑な形状や大きい拡散体はコストがその分かかる。
必要最小限の大きさを今までのペーパーを利用して検討してみる。

そもそも今まで拡散を必要と考えたのは、コムフィルタ効果を軽減するためと、、LEVを知覚しやすくするためという複数の目的で考えていた。
コムフィルタ効果は主に150〜800Hz程度の中低域の問題である。(聴覚に近似した1/3オクターブバンドで考えると中高域は大したディップにならない)
そしてLEVは500〜2000Hzと中高域が重要な役割を果たしてくる。
出典:https://jpn.pioneer/ja/manufacturing/crdl/rd/pdf/14-2-2.pdf

そのため、初期反射面に設置するコムフィルタ効果の軽減のために入れるリブはやや大きめである必要があるが、
LEVを得やすくするため、フラッターエコー防止のためのリブは小さめでかまわない。むしろ10cmくらいのリブは2000Hzの拡散率が逆に落ちるようなのでなおさらのこと少し小さめでいいはずである。

以前取り扱った論文中で
出典:http://www.env-acoust.t.u-tokyo.ac.jp/public/x/x004.pdf
コムフィルタ効果対策のリブとしては

150〜800Hz程度という帯域的に10cmの深さが一番適性が高い。


150〜800Hz程度の周波数帯域的には10cm幅が一番拡散性が高い

ということで一次反射面のコムフィルタ効果軽減のためには10cm×10cm程度のリブが一番適正が高いことになる。
それよりも高い周波数の一部で極端に拡散率が落ちるのだが、それはリブの深さ、幅、間隔が10cmで統一されているからであり、若干ずらしたり不規則にすることで緩和が期待できる。
10cm×10cmは材の用意が大変だと思っていたが、4×4材をコアに羽目板やウォールパネルで表面を取り繕うとちょうど良い感じのサイズになりそうなので、コスト的にそこまで大きなものにはならないかもしれない。

では一次反射面以降の残響を早く出現させ、より細かな残響とするためのリブはどんなサイズが良いか。
上で挙げたグラフの中で500〜2000Hzの帯域に一番効くサイズとなる。
500〜2000Hzでバランスが一番安定して拡散するのサイズ
:高さ6cm幅15cmのリブ、次点で高さ6cm幅10cmリブ
1000〜2000Hzに大きく偏っているが拡散率の総合的に一番大きいサイズ
:高さ4cm幅10cmのリブ
コスパ的に1600〜2000Hzとかなり偏っているがコストが低い割に拡散率が高い
:高さ4cm×幅5cmのリブ
次点で高さ2cm幅10cm、高さ2cm幅5cm、高さ6cm幅5cmもコストの割に拡散率は悪くない。

どれを使うというと、複数使うのが一番偏りなくて良いのではないだろうかと考えている。
幅も20cm周期に対しての幅であり、一番効率が良いのが周期に対するリブ幅が50%のようだが、率を守ればもう少し細くてもいいのかもしれない。細くする理由は視覚的効果と幅の広い材の入手性に難がある場合の対応という理由である。(根拠はないが)

また拡散体は背面に空気層があると効率が良いと言われている。
リブの場合は直交する柱で少し浮かせる感じになるのか?
リブを浮かせるためのスペーサー自体がリブであればいいのではないか?
やや周期性はあるが2cmと2cmの直交2層リブの場合
高さ0cm、高さ2cm、高さ4cm、高さ4cm(背面空気層2cm)、のパターンができあがり、簡易的な二次元拡散体になり得る上に、表層の拡散体が背面空気層により拡散性が向上する。
調べてみてもあまりこれに関する研究はないが良さそうな気もしている。

例(わかりづらいがebayより転載)


なので暫定案ではあるが、リブの使用のたたき台として
初期反射面を意識した部分
:周期20cm高さ10cm幅10cm
正面壁(ツィーターの指向性の問題から高域があまり入らない)
:周期10cm高さ6cm幅5cm
側壁と後壁と下半分の横リブ
:周期10cm高さ10cmと4cmのコンビ 幅5cm
側壁と後壁の上半分の直交2層リブ
:第一層 周期15cm高さ6cm 幅5cm
 第二層 周期20cm高さ4cm 幅10cm
天井のリブの直交2層リブ
:第一層 周期15cm高さ3cm 幅5cm
 第二層 周期20cm高さ2cm 幅10cm
こんな感じかなあと思案。
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リスニングルームの音響設計 さらに再考

2020-09-28 12:50:22 | オーディオ
新たに取り入れた知見を元にまたリスニングルームを考えてみる。

反射は少なくともinitial time delay gap(ITDG):15ms以内に関しては初期反射音を受け入れるべきではないのかもしれないという風に考え始めている。
第一波面の法則がしっかりと成立する15~40msの間にある程度細かくした反射音を複数入れようと思っている。15msまで稼げば当然ついてくるとは思うが直接音より15dB減衰はする必要がある。

一般的なリスニングルームであると二次元で表せる。高さ方向の関与のない反射音では特に側方で遅延が小さくなりがちでスピーカーからの軸に近いこともあり反射音は強烈である。
自分の考えている仮想の部屋では遅延は4msくらいしかない。現実に今ある部屋ではさらに短い。ここまで強くて早く到来する初期反射音を今までは積極的に取れ入れるよりは、抑制した方は益は多いように思えてくる。

そもそも側方や前方の高さの移動を伴わない最短の反射音を活かす必要性を以前感じたのは床の反射があまりに強いためその相殺のために使うしかなかったのであって、床を設計段階から手を入れられれば、自分としてもそこまで大きな反射音が必要であるという理由がなくなってくる。

それに吸音さえしなければ現実はおそらく理屈通りの反射をすることはないので、15ms以内は理屈から外れた一次反射音がそれなりに入ってくることが考えられる。コムフィルタ効果の起こりやすい低域ならなおさらシンプルな鏡面反射はしてくれない。だからRedirectionとDiffuseくらいなら逃がしたつもりでも多少は入ってくる。
その多少感が超早期の反射音の量としてはちょうどいいのではないだろうか。

先の調べ物などを見ても初期反射音を活かして設計するにしてもその質は十分に考慮しなければならず、初期反射音合計で直接音よりも15dB小さくし、均等な感覚で到来し、音の強さは規則的に漸減するように設計する必要がありそうだ。どうするかというと、高さの移動を伴わない低所の一次反射エリアの反射音は逸らしてしまい、高いところから反射してくる音はリスニングエリアに返ってくるように調整し、高さ分の往復でITDGを15ms近くまで稼ごうという算段である。
反射音の高さ分で音像がリフトアップされるが、そもそも普通に反射されると、当たり前だが音像がスピーカーのツィーターからミッドレンジに定位されるのだが、小高いステージから聞こえるはずのリアルさを考えると定位のリフトアップという副産物は歓迎すべきものであるはずだ。

簡単なイメージではあるが実際に図にして書き起こしてみる。
2次元の間取り図。


以前に一次反射をリブで受けるアイディアで考えたものがベースにはなっている。

ただ今回は一次反射に関してはRedirectionによりRFZになっている。


コンセプトとしては側方の一次反射面と正面の一次反射面に到来する音波にクサビを入れて受け流しているイメージ。
リスニングポジション近くの後壁はほとんどの時間帯においてあまり良い効果がないのでRedirectionではなくより強力なAbsorptionで対応している。定在波となる低域の吸音をどこかでしっかりやっておきたいという目的も兼ねている。
1mを超える厚い吸音層で透過性の高い低域の吸音を行いつつ、LEVの原料になる500〜2000Hzは戻して再利用したいので吸音スペースの表に吸音材保護の意味も兼ねて格子を若干まばらに立てる。中高域の一部は吸音されずに拡散されて返ってくるように若干シルヴァン的な拡散体として利用している。

三次元的に少し工夫を凝らしており、三次元的なモデルはこうなる。


耳の高さツィーターの高さ周辺とその下方には横リブが入っている。これにより三次元方向(高さ方向)には拡散されるが、二次元的にはほとんど拡散されない。
つまり二次元的な間取り図で一次反射のREZになっている状態は維持されたまま、高さ方向に拡散している。
耳の高さ周辺だけでなくその下方も同じ処理をしたのは、二次元では同じ軌道だが壁の下方に反射し、床でさらに反射してリスニングポジションに到達する二次反射音が存在し、一次反射と大差のない遅延の少ない反射音なのでそれも除外したかったのが理由である。

またRedirection用のクサビにも横のリブを入れている。このリブは三次元方向に拡散効果はあるが二次元方向のRedirectionにはほとんど影響を与えない。
方向をそらしつつ、高さ方向には分割しているので理屈どおりに行かずに多少リスニングポジションに入ってくるとしても、リスニングポジションに入ってくる音のレベルを小さくしておこうという二重の意味でのReflection freeを狙っている。


高さ180cmより上は縦にリブを入れている。これにより部屋の上の方では間取り図のRFZのシミュレーションは機能しなくなっている。
だが三次元方向には拡散していないので、低い位置にあるスピーカーから放射された音が壁の上の方で反射した場合、その後天井にぶつかってからでないとリスニングポジションのある下方に向かうことはできない。

もしくはスピーカーから放射された音が天井にぶつかってから壁の上の方にぶつかって下方に向かわないとリスニングポジションに到達しない。


これらの二次反射は、床を介した反射と違い遅延がそれなりに大きいため、積極的に取り込んでも副作用は少ないと思われる。
それらの反射音を細かく分割して取り入れたいので縦にリブを入れている。

この前書いた自分のスタンスは概ね取り入れたが、理想通りはいっていないのではないかという点もある。
まずは15-20msの初期反射が入っているかはラフな拡散による二次反射で取り入れているのでピンポイントの時間で入ってくるか、十分な量が入ってくるかはやや疑問に残っている。
一次反射音は早すぎるが二次反射音は遅すぎる。小空間だとそんな印象は拭えない。

あとは第一波面の法則から外れる頃〜中期は密な反射は煩わしく感じやすいが、疎にできているかというと怪しいと思ってはいる。
ただリスニングポジションに相対する正面は背面はDiffusion、Redirection、Absorptionと多めに処理されているので反射波は密になると行っても大部分はスピーカーより外側になる。外側の早期中期反射音はレベルが低ければ密でも聴感上はいいはずである。

ということでとりあえずの暫定ルームをまた設計してみた。
結局既知の理屈を纏めて、間違ったことをしないようにすると、
一般的な矩形室の部屋の響きを自然と肯定しつつ、矩形室で悪いと分かっている要素を不完全なRFZと不完全な拡散音場で欠点を克服しようとしているだけで、独自に考えたからと言って設計は平凡なスタンスにはなってしまっているが。
あとは実践でシミュレーション通りにいかないところを対応しつつセオリーを外した解決法を探っていくしかない。
実践の予定はまったく無いわけではあるが。
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