モッチリ遅いコメの距離感

オーディオルーム、シアター、注文住宅などに関してのblog。

壁面棚オーディオルームでの響きを考えてみる

2020-11-30 00:01:18 | オーディオ
先日に投稿した、オーディオルームはとにかく可変性調整性に特化すればいいんだ、あとは試行錯誤すればいいんだという、
今までの考察を無に帰す身も蓋もない結論で自分の中では考察を終了しかかっていたが、
試行錯誤するにしても、それなりに正解の仮説は必要だろうと思い返し、
本棚ルームでどういう音響処理をすればいいのかを再考察してみることにする。

2回反射までのシミュレーション。棚のみでも多少拡散する作用はあり、深さや間隔を考えると低域に効果は期待できるが、基本的にはリブの間隔が広すぎて棚のみでは不十分。
棚がないときと同じように側面と後壁の反射の到来するパワーの強さが気になる。


側面と正面の一次反射面をDefrectionした時のシミュレーション
リスニングポジションに入りやすい反射は減少する。


他の設計に影響されて正面をどうすべき、側壁をどうすべきか混乱していたが、
今まで論文で抑えた見識を用いると、そもそも正面側面で分ける問題ではないのではないかと我に返った。
自分としてエリアを下図の6つに分けてみた。


①エリアは正面壁のスピーカーの内側の部分である。
推奨の壁面処理は表層に拡散、深層にDefrectionまたは吸音

そのままにしておくと正面からの一次反射がリスニングポジションに入ってくる。そのまま入れると音源の近さ部屋の狭さを感じさせる。
奥行きはでないがボーカルは前に出る。音像が近く、小空間の雰囲気は出せるが、デメリットの方が多いかもしれない。
そして強力な一次反射を回避するにしても、この部分からの早期反射音は音の明瞭度を下げ、ASWを拡大する効果もない。
そして残響音としてもLEVを感じさせる効果が少ない。
総合して考えるとあまり魅力的なポイントではないことが分かる。
AcousticFieldが拡散を推奨し、アキュフェーズの新試聴室で吸音しているのはその辺りにあるのではないだろうか。
とは言っても指向性の問題から中高域はそもそも正面壁には直接音が多くは放射されないので、何が何でもうまく対処しないといけない場所ではない。
低域中心の直接音を無害に処理するために深部にDefrectionまたは吸音の処理しつつ、後壁から返ってきた中高域も含まれた反射音を側面の多次反射音の源にするために表層に拡散体を置くのが良いのではないだろうか。

②エリアは正面壁のスピーカーの外側と、側壁のスピーカーの真横から後ろ部分である。
推奨の壁面処理は拡散である。(ただし定在波処理を考えない場合)

このエリアはそのままにしても一次反射面にはならない。
この部分からの早期反射音は音の明瞭感を与え、ASWを拡大する効果がある。
なので使えば有益と考えられる。
真後ろと真横も含まれるのでフラッターエコーになりやすいことともあり積極的に拡散していくと良いように思える。
最初から一次反射面にはならないのでDefrectionの必要性が感じられず、使えば有益と思えるので吸音する必要も感じない。
ベーストラップを置くことの多い場所なので、部屋の特性的にベーストラップが必要ないことが前提の話ではあるが。

③は側壁の中でスピーカーとリスニングポジションの間にある部分である。
推奨の壁面処理は表層に若干の拡散をいれつつ深層にしっかりとしたDefrectionまたは吸音

このエリアは最も強力な低域から高域までの音が反射してリスニングポジションに入ってくるポイントである。
特に反対の側壁からの反射音は定位を悪くする。
スピーカーともリスニングポジションとも距離を確保しづらいので拡散が効かせにくい。
だが早期反射音はASWを広くする効果があり、場合にもよるが音の明瞭感を向上させる効果もある。
残響音としてもこのエリアからの残響音はLEVを感じさせやすい。
薄い拡散体のみでは十分な効果が得られないが、ひたすら吸音するだけでは勿体ないように思える。
吸音なりDefrectionなりをメインに据えてしっかり減弱はさせつつ、表層には多少の拡散体を設置して完全には殺さないのが良いと思える。

④は側壁の中でリスニングポジションよりも後ろにある部分である。
推奨の壁面処理は多少方向性のある拡散

この部分は何もしなくても一次反射面にはならない。なのでケアしないと有害という場所ではない。
ASWの観点からはこの方向までワイドにする必要性は感じられない。
音の明瞭度への寄与も逆効果であるようだ。
残響音としてはLEVを感じさせるのに有用である。
なので、基本的には無処理と同じように後壁に向かって反射させ、後壁にバトンタッチする仕事は変えない。
それを前提として後壁に送る前の下処理として多少の拡散はしておいてもいいのかもしれない。LEVを期待するという意味でも拡散させておくメリットはある。
ただし後壁に送るという第一の仕事を違えないため、拡散するにしてもリスニングポジションに迷入しづらいように多少の方向性を持っておくのが良いように思える。中途半端くらいがちょうど良いのかもしれない。

⑤は後壁の中でも外側にある部分である。
推奨の壁面処理は高度な拡散

この部分も何もしなくても一次反射面にはならない。
だが低域から高域までしっかり入った直接音がこの壁に向かって放射されるので、二次移行の反射音や残響音の源になる。
ASWや音の明瞭感には寄与しない。
LEVへの寄与は比較的大きい。
ここはシンプルに残響に寄与してくれればいいし、上手く拡散できなくても悪いことにはならない。
余裕があればしっかり拡散しておきたい。

⑥は後壁の中でも内側にある部分である。
推奨の壁面処理は部屋が大きくなければDefrectionまたは吸音中心が無難。

この部分は後壁の一次反射面になるので無処理はよろしくない。
後壁からの一次反射音が強烈だと音像が異様なほど近くなる。
部屋の大きさや配置の仕方によってではあるのだが、リスニングポジションと後壁の一次反射面が非常に近い事例が多い。
壁と近いと拡散が効果を発揮しづらい。大きな部屋で無い限りはピンポイントでもいいので吸音中心の処理をしておくと無難な場所に思える。
音像は処理しやすい中域高域で認識されるのでDefrectionでも経験的には副作用はしっかり減少してくれる。

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アキュフェーズの新試聴室

2020-11-25 21:02:22 | オーディオ
コロナ禍でオーディオの試聴会などができない代わりに
youtubeでいろいろと機器のプロモーションになるように動画コンテンツを見せていく傾向があるようである。

日本音響エンジニアリングが設計したアキュフェーズの新試聴室が完成し、それをステレオサウンドが取材に行ったという動画コンテンツが本日掲載された。

https://www.youtube.com/watch?v=gE6TcPQYshM


動画を見ると分かるとおり、表面の色は一様に見えるが、反射と吸音を組み合わせているとのことだ。
正面は吸音中心、背面は反射中心のデッドエンド-ライブエンドの設計としている。
側面は壁を一部傾けて高天井に音を流れやすくしている。
Defrectionを含めた吸音と反射を組み合わせた設計のようで、
音像形成がうまくできているかをしっかり確認する必要のあるミキシングルームと違い、
アンプが音楽を聴くのに良い感じで鳴っているかを分かりやすくするというのが主目的になっているようだ。

それぞれで目的があるのだろうがそれにしても、どこを吸音するのかはなかなか答えを簡単に出させてくれない。

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pinterstでオーディオルームの照明を考えみる

2020-11-17 13:36:51 | オーディオ
pinterstで関連画像を見ていくとオーディオルームを複数見ることができる。
音響に関して参考にしていくこともあるが、照明の配置による印象も確認できる。
どういう照明でどういう効果になるのか、検討してみるのが今回の記事。


Vicousticの北アメリカの試聴ルーム。この画像だとスピーカーはないが、リスニングルームとして使用しているようである。
非常に印象的な照明配置を行っており、
正面壁の天井ではコーニス照明、側壁の天井にはコーブ照明、側壁の音響パネルにはバランス照明を用いている。他にも少数のスポットライトを配置してある。
オシャレで特別な空間という印象が良く出ており、ショールームとしては最適だが、いかんせん正面のコーニスと側面のバランス照明は視界に入りやすく眩しそうな印象がしてしまう。






個人のハイエンドオーディオルーム。ダウンライト中心に照明がなされている。
ダウンライトだとなりがちなのがスピーカーが影になってしまい、見栄えが悪くなってしまいがちなパターン。
スピーカーは脇役なので目立たせなくて良いという考えもあるだろうが、スピーカーを際立たせるかどうかは状況により調整すればいいので、スピーカーが映えないライティングは微妙と言わざるをえない。



オリジナルノーチラスの直上でダウンライトを配置しているパターン
これはこれでオシャレにも見えるが、お化けの演出のようなライティングで、
スピーカーの振動板の下半分だけ照っていて全貌が見辛い。
今の自分の部屋が同じような状況だが、よく映えているとは言い難い。



おそらく後ろからスポットライトを当てた部屋。スピーカーが映えるライティングにはなっている印象がある。
前方にあるスポットライトはリスニングポジションからは眩しそうな気もするが。


ハイエンドシアターでのコーブ照明、下からの照明、ダウンライトを組み合わせた物。
シアター照明なので当然ではあるが、スピーカーは影に隠れる感じ。コーブ照明は邪魔にはならないがスピーカーの演出としては不十分


シルバーのYGの部屋。YGはシルバーの方がいろんな部屋とマッチングが良いような印象を感じる。
後ろからスポットライトを当てているが、中央で広がりの強い照明を入れており、スポットも広がりの良い照明を使っているようで、全体的に均一に明るい印象を受ける。


これも後ろからのスポットライトと思われる。


良く雰囲気は出ているが正面の壁が眩しく、アンプ系の機材が暗くなっているのが演出として惜しく、試聴の際の眩しさにつながる。

自分としてオーディオルームに必要な照明は眩しくない、暗めにできて雰囲気を出す。
必要に応じて機材を演出するという要件があると望ましいと考えており、

側面コーブ照明で眩しくなく優しい光を作った上で
後面からのスポットライトで直接光が入らないようにしつつ
手元、スピーカー、アンプを照らすと良いのではないだろうかと考えている。
コーブ照明とスポットライトのみで光量が十分取れるかどうかは疑問にはなるが。
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実験室とリスニングルームを兼ねたセカンドリビングオーディオの案

2020-11-15 23:19:15 | オーディオ
今までの考察で、自分としてこうすると良いのではないかという室内音響手法であったり、
先人達によるこうした方がいいという手法であったり、
結果的にある程度の正しさを担保されている中でも音響整備は多様なアプローチがあることは思い知らされた。
そして一定の正しさが担保された手法の中でどれが一番好みなのかというのは実践してみないと分からない。

一つの決まった設計でいこうと決め打ちして上手くいけば良いが、それが上手くいくのかは分からない。
それが想定通り良いものになるかもしれないし、
微妙な出来でも、測定して微調整すれば最終的にそこそこには纏められるのだろうが、
それよりも問題なのは、他のアプローチでさらによく出来るのではないかという疑問と、疑問の果てに作り直したいという願望が付きまとうことである。
結局は色々な手法をいろいろ実践しないと完全に納得する、満足する、ということは恐らくあり得ない。それが自分の中では音響本体の良し悪しよりも重大な問題であることは自覚してきている。

そうであれば話は早く、リスニングルームとしては未完成、音響はこれから整備するという状態で仕上げる。
その代わりに整備は簡単にできるようにするというコンセプトが唯一納得する部屋にたどり着く正解に思える。
そうでないと専用室を何度も大幅に作り直さないと完全に納得する境地までたどり着けない。

ということで前回にも述べた壁面収納のような造作棚で、音響処理をモジュール化する。棚で壁面を埋める手法が良いと思えてきている。
ひとまず60cm四方のモジュールで部屋を設計。



部屋のサイズや寸法などは今までの縦長部屋のアイディアを流用。
側壁は視覚的遮蔽+拡散効果を兼ねた格子と吸音の2層になる可能性を考えて厚みを30cmの棚としたが、
前後は拡散または反射がメインになってくると考えて厚みを20cmに抑えている。
棚の板の厚さは3cmを想定している。
棚により少し部屋が狭くなったのでスピーカー配置を3mの正三角形から2.7mの正三角形配置に縮小している。

棚の開口部が開いていると考えた時のイメージ


下の緑の部分が棚となり、その部分で音響処理が可能となる。


棚の中に収まるような吸音モジュールや拡散モジュールを自作、またはオーダーメイドし、竣工後にそれをどこに置くかを調整しながら試行錯誤するというコンセプトである。
要は部屋の建設完了は音響工事としては中間地点であり、竣工後にこれから色々試しながら最終的な音響空間の完成を目指すぞ、という考え方である。

天井はアレンジする対象とはせずに、高天井として天井そのものの影響を少なくしつつ、以前に述べたような交差二重リブのようなもので拡散効果をもたせつつ床とのフラッターエコー回避をするような設計を考えている。
天井をアレンジ可能にしようとすると高天井だと極めて困難であり、一般的な天井高さにしてアレンジの難易度が下がるにしてもDIYでは落下事故の危険が付きまとうため、天井は一発決め打ちにする方が良いと思っている。

このコンセプトの副次的なメリットはいくつかあって、
壁面の造作棚は今の部屋の3.5m前後の高天井にするとしても、棚はせいぜい3mくらいまでしか設置しない。
後でアレンジするにしても一般的な脚立で届く範囲内以上の高さは簡単に安全に変えられないからである。
棚を入れない空間は棚の上面を利用してコーブ照明を作ることが容易である。

下図がイメージ。(出典:LIXIL)


造作棚の上にコーブ照明を取り入れている例(出典:建築家紹介センター)


そして、建築時の特殊設計が少なくて済むというのもメリットである。
基本的にはありふれた造作棚とリブ天井と建築化照明である。
コスト的にもそれほど高額になるものではなく、予測もつきやすい。
竣工後のDIYで相応のコストはかかるが、DIYなので節約できるとは思われる。
見た目の仕上がりが悪い場合はオーダーメイドにせざるを得ない可能性もあるが。

またゴージャスなオーディオルームでありがちな、収納が少ないという弱点もない。
造作棚は音響効果を付与するためのスペースではあるが、
何も全てそのように使う必要はない。厚み30cmあるため、日用品、CD、LP、本など大体のものを収納できる。
そういう意味でもセカンドリビングオーディオという以前提唱したコンセプトに合致している。

また、以前に自分が書いたことがあるように
自然にあるもの、日用品なども複雑な反射をする拡散体が多くある。
一部の棚は上に書いたように物を置く棚に使うことも想定しているが、
飾り棚として硬く複雑な形状をしたものを飾っておくだけでも拡散面としてそれなりに機能する。
鉱石や化石、木細工、トロフィー(持っていないが)、陶磁器、鉄器、オブジェなどを拡散体を意識した並べ方をすることで、生活感を持たせつつ音響効果を得ることもできると思う。
異物感の強いQRDや吸音パネルで埋め尽くされた、いかにもな視覚的印象を持つ音響空間よりも、科学的な裏付けを持たせつつ、創意工夫のある生活空間を作れれば、そっちの方が使い始めてからの満足度は高いだろうなあと思っている。

というわけで今後、モジュールの寸法や棚の範囲や部屋の寸法などを調整するかもしれないが、
ブレブレだったが仮想的なリスニングルームのコンセプトは今後そんなに変わっていかない気もしている。
なぜかというと完成品としてどうするかを悩んできたが、結局どういうのが良いかはやってみないと完全には分からない。
だから音響的には未完成の部屋で、今後思うようにできて、気になるメソッドは全部試してみるというラボラトリーとして作るというのが一番満足できそうであり、どんな完成品でも精神的満足感はそれを超えることができそうにないからである。
それでいてセカンドリビングルームとしての機能もあり、収納も解決していれば、課題は概ね解決している。
その部屋は音楽を聴くだけでなく、音響の実験や試行錯誤ができ、生活もできるので、完成後も楽しみが多くあるというのはうれしいことである。
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造作棚による壁面音響処理のモジュール化構想

2020-11-13 13:24:33 | オーディオ
以前のアイディアとして水平にリブを走らせて、それ自体を拡散体にしつつ、
備え付けの棚として、物置に使用したり、吸音材を置いたりさらに拡散体を置いたりすることで、音響効果の調節性を持たせようというアイディアを記事にしたのだが、
そのアイディア自体は、壁面を基本的には拡散することを前提に、プラスアルファの付加効果をアレンジできるような構想だが、
側面はそもそも吸音を主体に処理すべきという考えに触れ、あくまで可変性のアレンジできる範囲内で本格的に吸音できるシステムにすべきなのではないかと思うようになった。

それなりにしっかり吸音できるメカニズムを作ろうとする場合、やはりそれなりに厚みは必要だろう。20cm以上欲しい所ではある。
また可変性のある吸音材というのは基本的には見た目的に好ましくないものではある。
それを見た目的に許容範囲内にするための工夫をした方が望ましい。

そういった事情から今考えているのは4つの壁全てに高さ60cm幅60cm奥行き30cmの造作棚を敷き詰め、60cm×60cmをモジュール化した壁面処理を行うというアイディアである。



イメージはこんな物(出典:Yahoo!不動産)


そして高さ60cm幅60cm奥行き10cm以内の格子(格子の間はクロス貼りして完全に目隠しする)を作り、棚にぴったりに置けるようにする。



格子自体が多少の拡散効果があり、高さと幅が同じ寸法なので横向きでも縦向きでも設置できる。
そして格子自体は固定しないので外すこともでき、格子の深さも浅くしたり深くしたりの調整ができる。格子を何十にも重ねて拡散効果を増強することもできる。

棚の表面に格子を置くとその奥に奥行き20cm超のフリースペースができる。そこに吸音材を無造作に敷き詰めたり、QRDを設置して拡散させたり、何も入れずにそのまま反射させたり、物置にしたりすることができる。
棚ごとに別のことをやっても格子が隠し見えない部分なので雑多な印象にはならない。
寸法を60cmと30cmにしたのは、市販の板材に多い寸法だからである。QRDを自作するときに長さ60cm幅30cmの薄板を買ってきて棚に入れれば無加工で簡単にスリットを作れるし、長さ60cmで任意の板を買ってくれば溝のスリット毎の深さを変えることができる。
棚の中に長さ60cmの棒材を複数立てればシルヴァンアンクのようになる。

これで壁面の吸音反射拡散を好きなようにアレンジできる。そしてそのアレンジは「工事」ではなく「設置」をするだけである、簡単に変えられる。
吸音や拡散は細かくいろいろやると雑多な部屋の印象になるがそれは視覚の届かないところで処理できる。
有効な部屋の寸法がそれぞれ30cm縮まってしまうが、そもそも拡散も吸音も本来的にはそれくらい余裕をもってやるべきなので仕方ないか。
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Acoustic Fieldsのエッセンスを入れたオーディオルーム構想

2020-11-11 00:46:07 | オーディオ
youtubeでリスニング用途の室内音響を多く扱っている動画チャンネルAcoustic Fieldsでこうすることが望ましい、とレクチャーされているエッセンスを取り入れつつ、自分のポリシーも入れつつオーディオルームを設計してみる。



外形としては縦91×7横91×7cmの正方形にはなるが、内面は縦7:横6の長方形に設計。
横方向は左右で45cmずつ使って吸音材を置いたり視覚的にうるさい拡散体を仕込んだりできるスペースにする。

後方では左後方に二重扉の出入り口を設けて、隣室への漏音を最小限にする。
右後方では機材などの物置にして左右対称性を確保する。

側面を基本的に吸音する、正面背面をしっかり拡散する、というAcoustic Fieldsのメソッドは踏襲しつつも、個人的にはあまり好きではない側面の吸音材の分散配置は回避する。
吸音材の表側に格子を付けることで、格子が反射面もしくは拡散面、格子に当たらなかった音を吸音するという均等な部分吸音・部分反射をできる状態を狙う。
格子の中の吸音材は建て付けの固定式のものとせず、取り外し式のものとする。
格子の中の吸音材を入れる面積は完成後に量を調整することもできるし、吸音は必要無いとなれば格子の内側の吸音材を除去して拡散体を入れれば全面拡散環境にできる。Deflexionを狙ったような傾けた反射板を入れても良い。

このアイディアのメリットは吸音材の表に設置する格子が目隠しとしても有用なことである。
壁に吸音パネルがあったり、凹凸が多く目がチカチカするような拡散体を置いたりするとインテリアとして雑然としてしまう。
特に可変性を重視して取り外し式のパネルを簡易に取り付けたり、ポン置きしたりするとみっともない感じになる。
だが格子で隠せばインテリアとしての悪影響はひとまず無視して好きなように特性をアレンジできる。

そして横方向の定在波の軽減効果が強いというメリットもある。リスニングポイントは基本的に横方向的に中央が基本になるので横方向の定在波の腹や節が集中し、影響が強く出やすい。
このデザインの場合横方向が吸音材が多い上にリスニングポイントの付近で横方向の寸法が変わる、つまり定在波になる周波数が変わる境界なので、どちらの定在波も定在しづらい位置取りになっている。

ただこのデザインの欠点は外形が正方形になっているので、内面で形を調整したと言っても、実際は正方形的なモードになってしまっている懸念がある。
また、左右の壁で45cmも響きを整えるエリアを設けていることもあり、部屋の面積効率が悪いというのがある。

また天井の部分的吸音が望ましいと言われているが、その部分を側面のように可変的にすることは難しいので、それをどう組み込むかは今回の設計では盛り込まれていない。
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音質的に最適な音量は?

2020-11-10 00:36:50 | オーディオ
今回もAcoustic Fieldsの動画を扱う。

https://www.youtube.com/watch?v=L1FmuSOJ3oQ

この動画では最適な音量やその他について言及されている。
ここでステレオ再生の研究では83dBSPLが最適と言われている。
動画の詳細はあまり扱わないが、自分も考えている中でも60-80dBあたりが良いのではないかとは考えている。
というのもCDのダイナミックレンジの理論値が96dBで、波形をまともに描けるレンジはもう少し狭いと考えると、ピークで80dBちょいは欲しい。
100dBは爆音のレベルとして、90dBでもやや聴き疲れはする。85dB以内くらいが現実的に聴覚的に無理はない。

そして残響面として考えてもピーク80-85dB近くが一つの基準と言えそうに思える。
残響は直接音から-30dB〜-60dB減衰した反射音が存在する状態と定義されることがある。
-60dBをなぜ基準にするかというと、それより小さい音は聞こえないと考えられるからである。
正常な聴覚の場合、10dBくらいの音が聞こえる音の限界になる。
「響き」を聴く場合、大きな直接音を聞いた直後だから小さい音の聴取はさらに鈍感になる。
なので15dBが聞こえる音の限界だとすると、(直接音-60)dBの残響音が15dBくらいの大きさが必要と考えられる。
つまり75dBくらいの再生音がないとRT60の残響時間が理論通り作用しない。
響きを整えたつもりでも実際は想定よりも早く可聴音量よりも下になってしまい、響きを整えた効果が十分に得られない。
そして音楽の場合、音量は進行によって大きいときと小さいときがある。平均で70~75dB、サビのアタックやフォルテシモの部分で80~85dBくらいの音量が計算通りの響きを聴取するために必要な大きさと考えられる。

部屋の響きを考える場合、何よりまずそれくらいの音量が出せる防音が第一に必要になるということでもある。
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Acoustic Fields流オーディオルームのリファレンス的なもの

2020-11-09 00:33:17 | オーディオ
先日より注目している室内音響を扱うyoutube動画チャンネルAcoustic Fieldsで
つい先日投稿された動画を扱う。

https://www.youtube.com/watch?v=eMLA5h0nh8s&t=160s

英語が不自由なので独自の解釈があるかもしれないが、
Acoustic Fieldsがコーディネートし、Acoustic Fieldsが販売している吸音パネルやQRDキットをふんだんに使用したオーディオルームが完成して公開した画像と思われる。



離れに一棟独立型で建築されたオーディオルーム。ルームというよりオーディオ離れというかオーディオハウスというべき存在である。



正面の壁は一次元QRDで全面拡散。床はカーペット。側面と天井は吸音パネルを一部に張ることで反射面と吸音面の交互配置になっている。
おそらくではあるが、スピーカーは約3mの正三角形配置。側面の壁とは1m程度と部屋の大きさの割には若干近くなっている。
スピーカーの振動板から正面壁まで目測で2m程度あり、リスニングポジションから後壁までの距離も2m程度あり距離は比較的しっかり取っている。

個人的な立場として気になるところを挙げると
居住性よりも理論を優先した印象のルームではあり、離れになっていることも含めて日常生活から切り離されすぎている空間になっている。
家族の兼ね合いや、本気で音楽鑑賞しない時の利便性を考えると、生活空間と離れすぎている空間は使い勝手があまり良くない。
要は書斎としてどれだけ使いやすいかというのも重要である。音楽を聴きながら読書やネットサーフィンやおやつを食べたり、酒を飲んだり、文章を書いたり画を描いたりデスクワークをしたりなどに有用であると、その部屋を利用する時間は増える。
逆にそのあたりを配慮しないと、ただ音楽を真剣に聴きたいときにしか使わない部屋になる。
実際のところ家族から声のかけられることのない深夜が一番音楽を聴くのに最適な時間ではあり、太陽光売電や他の電力使用も少ないことから電源の質も良い。周囲の音も少ない。
深夜に離れに音楽を聴きに行くのはそれなりに面倒であり、本気で音楽を聴きたい時以外は使わなくなってしまうのではないだろうか。

また側面と天井はAcoustic Fieldsが販売している吸音モジュールを分散配置している所も気になる。
第一に視覚的に圧迫感が強い。そしてモジュール型の割には可変性はあまり良くなさそうである。
また日本音響エンジニアリングが言っていることではあるが、反射と吸音の分散配置は音響インピーダンスが極端にめまぐるしく変化するので耳の位置を少し変えただけでもかなり特性が変わると指摘されており、それが当てはまる。

とはいえ、恐らくはAcoustic Fieldsが目指している音響空間のおそらくは典型的な完成形の部屋になっていると思われ、一つの理想の到達点としては大変参考になる。
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Acoustic Fieldsの中で言われていること

2020-11-08 00:22:41 | オーディオ
英語のリスニング力が弱すぎてなかなか動画をピックアップして解説というのが軽々しくできないのだが
Acoustic Fieldsの動画を複数観ている中で、解説者にある程度のポリシーや傾向が見えてきたのでそれを記録として残しておく。
結局持論は様々ある中でこの人のことを100%信じるつもりはないのだが、リスニングルームはこうあるべきだという意見をしっかり持論を持って確立している人の意見は参考にならないはずはない。

・部屋は縦長にするべき。
・部屋の構造はツーバイ工法で良いが、ツーバイエイト以上の剛性が望ましい(だがコストとの兼ね合いで決めるべきだ)。
・ドライウォール(この場合石膏ボードというよりタイルや石という意味?)は響きが多く好ましくない。木質が好ましい。
・低域中域高域は吸音で対応する。拡散は中域高域のみを対象とする。
・ガラス窓やガラス壁は音響的に相当に悪質で、可能なら排除すべき。無理なら可及的配慮すべき。
・正面壁と背面壁は拡散すべき。拡散効果は距離が必要なのでスピーカーやリスニングポジションとの距離が必要
 →なので部屋は縦長にすべき
・側面は吸音する方が良い(拡散にすると多次反射が管理しきれない)
・天井は拡散と吸音の組み合わせが望ましい。
・床はカーペットなどで堅くしすぎない方が良い
・拡散は一回り大きな部屋の響きにさせる。

大体の傾向としてこんなことを言っている。
今の自分で考えている望ましい音響とはかなり隔たりがある。
自分の考えを整頓して改めた方が良いと思いつつ、100%同じ考えにするのでは主体性がなくつまらないので、どのあたりを取捨選択するかというのをじっくり考えてみようと思う。
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音響動画かいつまみ②

2020-11-05 12:54:48 | オーディオ
今回もアコースティックについての動画。


https://www.youtube.com/watch?v=B-VHFamIZBc


Acoustic Fieldsという動画チャンネルで、
音楽再生側(モニター目線ではない)からの室内音響について多くの動画を載せている。
後でいろいろ見てみようと思うが、一番面白そうな動画を今日はピックアップ。
2100万円(近日レート換算)かけて作った部屋がなぜうまく鳴らなかったのか、という内容のもの。

英語のマシンガントークなのでそれなりにリスニング力がある人はここの記載など読まずに動画を見て貰った方が正確に分かると思われるが、ひとまず自分として理解した内容を以下に記載。



部屋としては一次元や二次元の拡散体が敷き詰められたかなりガチでウルトラハイエンドな音響空間というイメージ。

だがこの部屋は特定の周波数と特定のジャンルでは良好な響きを出すのだが、それ以外のジャンルでは良好とは言えないという。
QRDがボーカル録音用途のスタジオで用いられている物と同じであるがために、ボーカルの帯域に効能が偏ってしまっていると分析されている。



また、この部屋は側面の壁が拡散寄りに仕上がってしまっているのがあまり良くないとのこと。
小さな部屋で拡散は予測が難しいが側面からの反射の大きさやタイミングを管理することで部屋を大きく感じさせ、ステレオイメージを明確にできるという。
拡散にすると二次反射三次反射での挙動が読めないがために吸音する方が好ましいとのことだ。



もう一つは天井がヘルムホルツ共鳴器のようになってしまっているとのこと。
ヘルムホルツ共鳴は音の分布は広がるが、挙動は拡散とは異なるもので響きの印象としても拡散体による拡散に劣るものということである。
画像を見る限り二次元のQRDに見えるのだが、
ヘルムホルツ共鳴は聴感上の印象が良くないという言及は参考にすべきだろう。

ガチで予算注ぎ込んだのにうまく鳴らないというのはなかなか厳しいものがあるが
室内の視覚的な印象として床以外を拡散し尽くしている感じで
好みか好みじゃないか、居住空間として心地良いか悪いかなどの問題は別にしても
響きとしては全拡散という間違い無さそうな無難な設計に見える。
しかしながらうまく鳴らないという結論になってしまっているのはなかなか刺激的であり考えさせられる。
やはり考え抜かれた設計であるとしても、後々響きを調整するための可変性を組み入れておくことの重要性は再認識させられるものである。
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