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モッチリ遅いコメの距離感

オーディオルーム、シアター、注文住宅などに関してのblog。

ライフスタイルに寄り添ったリスニングルームを考え直してみる。

2021-07-30 18:03:25 | オーディオ
リスニングルームでくつろぎ易くしたいということについて考察していて
先日リスニングポジションの後ろにソファベッドを置いて、そこで寝転がれるようにするというアイディアで記事を書いたが、書きつつも「これは満足するものなのか?」と違和感を感じていた。


考察してみて気付いたのは、寝転がれる場所が欲しいことは事実だが、寝転がれる場所が理想のリスニングポジションである必要がない、理想を追求しても仕方が無いということである。
ソファベッドを真ん中に置いたとしても仰向けやうつ伏せになるなら結局音像定位は理想からは程遠いものになってしまう。
つまり「いい音を聴きながら寝たい」という理由でリスニングルームにソファベッドが必要と考えている訳では無い。リスニングルームに滞在している間に横になりたいと思ったときに「部屋の外に出ることなく横になれる」ことにより部屋が使い勝手がよいからリスニングルームにソファベッドが必要と考えているのである。そういう場所があると疲れている時もその部屋に入りたいと思うはずである。逆に横になれるところがないと、疲れている時はリスニングルームに行くのが「かったるい」と思ってしまい、融通が利かない部屋になってしまう。
つまりソファベッドは左右的に真ん中である必要はあまりない。

どちらかというと、リスニングポジションの真後ろの比較的定位の良いポジションは映像音声を鑑賞するスペースに利用した方が利便性が良いと思われる。
リスニングルームでビジュアルと併用となると、ホームシアター兼用というイメージがあるが、ホームシアターシステムはプロジェクターの画面や大画面液晶などが前提となる。システムが大仰で長時間試聴は画面が大きすぎて疲れやすい。ステレオ音源にマルチチャンネルシステムは不要であったりする。テキストを読む作業なども相性が悪い。

PCモニターとしても使えるような20インチ前後の液晶ディスプレイを用いてリスニングポジションの後方でPCで動画鑑賞やゲームなどを遊べるスペースとするのが使い易いのではないかと思う。音声はステレオシステムで再生するようにしたいところではあるが、ガッチリ音質重視で伝送するよりもカジュアルに使えるようにBluetoothで送信するくらいが使い易いのではないか。

そこでリスニングポジションの後方は作業机とオフィスチェアを設置することにする。モニターは本格的なリスニングの際に響きの悪影響にならないように折りたたみ式で簡単に片付けられるモバイルディスプレイとする。そしてソファベッドは部屋の後方の片隅に設置するのが良いのではないかという発想になる。


音楽鑑賞は当然ながら、PCでyoutubeや動画配信をステレオシステムの音声で鑑賞することもできる。ゲームなどもできるし、机に肘をついて音楽を聴きながら読書や書き物もできる。お茶やコーヒーを飲んだりお茶請けを食べたりすることも出来る。疲れたらソファベッドで横になることもできる。

日常生活の行動を大体できるようにはなっており利便性の高い部屋になってくれてはいるものの、片側だけにソファがあるのは音響的にやや問題がある。
布張りのソファは吸音材の塊のようなものなので後方に吸音材があるのは悪いことではないが左側だけ吸音効果が高いことになってしまう。吸音率が左右で大きく変わってしまうことは受け入れがたい。

そこで左右対称に2つソファをデスクの横に置いてみる。


応接室の機能が復活することにはなる。
これだと響きとしては問題ないだろうが、デスク周りが手狭で、しかも出入り口の導線が悪くなる。ソファが2つある必然性もやや微妙に感じる

導線の問題からソファのを片側だけ小さいのにしてみる。

これで導線は確保されるが、左右対称性が前ほどではないにしろ右側の吸音が少なくなってしまう。

ソファを後壁に沿わせるように左右対称に設置してみる。


良さそうな感じがする。ソファの真後ろの音響調整用の棚はソファで吸音されるためあまり意味が無い。ソファの設置スペース確保のため、高さ100cmまでの後壁の棚を削除してみる。





高所の構造が映り込んでいて分かりづらいが平面図


これはそれなりに個人的に抑えておきたいポイントを抑えられている気がする。
左右の吸音率を揃えるためにソファが2組あるが、それだけではなく実際はほぼベッドとして使うソファベッドと、普通にソファとして使うためのソファの用途の異なる2種類のソファがあるのは問題ない。
ソファとデスクを向かい合わせる位置に動かせば応接もできる。応接は頻繁にするものではないからたまに使えればいいし、たまにであれば動かす労力も気にならない。応接しない時にはソファは邪魔になることはない。

ただ以前にあった掛け布団を収納するスペース、使用していない機材やシアター機材などを収納するスペースはなくなってしまっている。必須ではないので許容できるものだが、全面に棚がある割には大きな物は収納できない事実は否めない。




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後方の床座スペースの廃止と作業用通路の固定階段の廃止

2021-07-29 13:16:14 | オーディオ
以前に設計した仮想部屋で響きや音楽鑑賞の使い勝手だけでなく、居住空間としての使い勝手を重視することで「つい行きたくなってしまう部屋」にすることを重視した。

そのために後方スペースを床座としたが、横になったり自由な姿勢を取るためというのが理由である。
ただそのためだけに床座スペースとして高さをかさ上げする必要あるのだろうかという疑問、床強度を確保しづらくなるという懸念、床座スペースなのに机と椅子があるという矛盾があった。
調べてみるとソファベッドもいろいろバリエーションがあり、別に床座にして布団を敷かなくてもソファベッドを用意すればお昼寝スペースは作れそうだ。
なので床座の床の高さをかさ上げするスペースを一旦廃止することにした。


また、作業用通路の階段は最初は左右に2つ付けたり途中から棚階段として1つにしたり、一部を可動式の脚立で代用しつつ高所は固定の棚階段にしたりしたが、ドアの近くにそういった階段を付けるのはなかなか取り回しが悪く、強度や実際に登れる設計なのか疑問もある。
いっその事可動式のハシゴ的なロフト階段にした方がいいだろうということでドアの向かい側に可動式のハシゴを設置することにした。


元々棚階段を設置していたスペースはその奥行きを利用して使っていないコンポーネントやシアター関連機器を収納するスペースとした。
敷き布団を収納するスペースは不要となったが掛け布団を入れるスペースは必要であり、布団収納スペースはそのまま残した。スペースが余ったとしても布団以外の大型の物を収納する時に使えるので。


設計的にやや無理があった部分を解消させたような感じだが、これで「つい行きたくなってしまう部屋」になっただろうか?もう少し考察する必要があるように思われる。
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窓ガラスは音が悪いことについて考えてみる。

2021-07-24 13:35:03 | オーディオ
各所で言われていることではあるがガラス窓は音響的には良くないと言われる。
そこから思考停止していたが、少し深掘りして考えてみようと思う。

基本的には防音的にも優れていないものが多いのは事実だろう。
薄いので遮音能力が低くなりがちであり、一枚の板なのでコインシデンス効果で透過する周波数が出てくる。開け閉めをする機構の影響で音漏れしやすかったりする。
遮音に関してはそれらの対応を行っている製品が多く存在するので満足できるレベルかどうかは別として遮音性の高いガラスを採用するか二重ガラスにすればそれでいい。

では窓ガラスの響きが悪いということに関してだが、それも明らかに悪い要素は存在する。
先のコインシデンス効果で透過する周波数と反射する周波数が存在するので反射音の周波数特性がガタガタになる。
開け閉めする装置なので可動性と軽さが必要なので、薄さもあいまって共振しやすい。反射の際に共振すると周波数特性が悪化する。
ガラスの向こうが見えるような窓は当然のように高いレベルの平滑さが確保されている。それにより反射音がきつい感じになりやすい。

この辺りの時点で音響として望ましくないのは間違いないが、ガラスの材質的にどうかというと材質的に全否定するような情報は自分が調べた限りでは見当たらない。
鉱物の加工品なのでガラスそのものが音が悪いものともあまり思えない(特別良いとも思えないが)。
結局のところ窓用の薄い板ガラスをサッシに納めた構造自体が音が悪いのではないかと思える。

向こうが見えるような視覚的透過性を期待する窓ではFix窓にして共振を防ぎつつ、二重サッシや厚みの異なる合わせガラスを用いてコインシデンス効果を緩和するなどを行うことで若干の音の悪さの解消を図ることができるが、反射がシンプルすぎて音がきつい感じはどうしようもなさそうだ。平滑でないと窓の向こうは見えないが平滑な鉱物素材だと反射はどうしてもきついものになってしまう。

では採光のみを期待する窓だとどうなるだろう。光が入ってくれさえすればいいので平滑である必然性はなく、ある程度やりようはあるかもしれない。
ただ曇りガラスの微少な凹凸では可聴帯域にほとんど緩和効果を期待できない。共振のしやすさの解消という意味ではガラスブロックを使ってもいいのかもしれない。
内部が若干の真空になっていたり厚みが大きかったり、薄い板ではないのでコインシデンス効果や共振などはあまり起こらないのではないだろうか。
ただガラスブロックは目地の劣化で気密悪化の原因になったり目地自体の断熱性などの問題もあるので凝った割に恩恵が少ないのかもしれない。
ガラスブロックと窓ガラスの二重ガラスにして内窓にガラスブロックを配置し、ブロックは凹凸を付けて積み上げることで音の反射を拡散させるようなことをするとガラスでも音の良い窓にできるのではないだろうか。
ただそういった施行を想定されている製品ではないのでコストと手間と安全性を考えると得策とはいえず、そこまでするなら窓を排除した方がいいし、大して面積を必要としない採光用の窓にそこまでする必要があるかというとあまりないだろう。
結局沢山面積を取ることでメリットがあるのは窓の向こうの景色が見える透明なタイプの窓であり、そういうものでないと部屋の開放感は確保できないからだ。

音響のことをしっかり気を遣うなら窓を最小限にするという選択があるだけに、
音響が良い感じに配慮されたガラスで窓をデザインするというのは難しいというのが自分の中での感想になってしまう。うまい方法があればいいのにと思えるが難しそうだ。
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リスニングルームの哲学

2021-07-19 22:11:48 | オーディオ
リスニングルームは室内の響きだけ良くすれば良いという訳では無いというのは少し前から考え始めていることだが、その辺りを掘り下げて考えてみたい。

理想的なリスニングルームを考える場合、アプローチの仕方は異なるにしろ、それなりの容積と面積を必要と考えるケースが殆どである。
そして殆どの場合、リスニングルームのオーナーは敷地を持て余しているわけではなく、広大な屋敷の数ある部屋の一画にリスニングルームを作るというわけではない。
さらに音楽鑑賞を行う場合、真剣に鑑賞のみを行う場合と、視覚的に何かしながら(読書、スマホ、PCなど)鑑賞する場合がある。

上記の理由から、単純に真剣に音楽鑑賞をする時だけを考えて最適化した仕様にすると、
「所有敷地の多くを占有した一室なのに利用する時間が少ない、または他の用途に利用しづらい」となってしまう可能性が高い。

そのため割と頻繁に行われるのが、ホームシアター機能とのコンパチブルであり、それを自分も実践している。
ホームシアターがメイン機能でステレオがサブ機能であればいいのだが、ステレオメインである場合、実際に利用してみると、ちょっとどうなのかなと思ってしまうのが現実である。
ステレオのセッティングに自由度を与えるためシアターのサラウンドバックとステレオを兼用とし、オーディオのフロント面とシアターのフロント面を別にしたことはそれなりに機能しているのだが、音質的な問題以外が考えきれていなかった感じがする。

ホームシアターにしてもステレオ再生にしてもPCなりタブレットなりスマホなりテレビなりで鑑賞することはできる。サブスクリプションサービスの普及もあり、そのアクセスの容易化は驚嘆に値する。
それゆえ、ホームシアターにしろステレオ再生にしろ大仰なシステムを利用する場合は、手軽さよりもそのクオリティや核心に真剣に向き合って鑑賞したい時に限定しがちである。利用アクセスの容易さは情報端末を用いたサブスクリプションサービスには決して勝つことはできないからである。
リスニングルームの中にステレオシステムとマルチチャンネルのシステムをそれなりに本気で導入すると機材だけでかなりの専有面積を占めてしまうし、シアターの暗室を作るため採光照明の手段はかなり制限されてしまう。なのでそれ以外の用途では利用しづらい部屋になってしまう。

相応の面積を使って造るリスニングルームを真剣に聴く以外でも利用しやすいものにするにはどういう活用がいいのかと考えると、他にある解決策が応接室を兼用するというパターンである。
家族との交流、同じ趣味を持つ者との交流、来賓に対する応接、それぞれで若干対応が異なるが他人と関わり易い機能を搭載するという発想である。
だがこれもよくよく考えてみると個人的には相性が良くないのではないかと思えてきている。
大前提として応接の場合、人と人が向き合うことになるが、オーディオリスニングの場合は鑑賞するときにリスニングに望ましい方角が1方向しかない。
客がリスニングに理想的な方向に向けたとして、自分がスピーカーを背に座ることになる。
そんなところにソファでも置くのか、毎回移動させるのか。
それは具合が良くないとのことでスピーカーから90度傾斜した向きで客と自分が相対する場合、両者ともリスニングに妥協したポジションになる。そして来客がいないときにはリスニングポジションの付近の左右に邪魔なソファが2つ鎮座することになる。リスニングを妥協するなら、あえてその部屋で応接する必要があるのか?
そういったことを考慮すると応接室という用途での相性はあまり良くないのではないのかなと思う。基本的には書斎の延長線上と思うので1人で居室している用途を大事にする設計思想の方がいいのではないかと思っている。

基本的にはリスニングルームは防音室である。外からの音が遮断され、隔絶された空間となる。空間として隔絶するのは音漏れによる他者との干渉を避け、他者の音が再生音楽に干渉するのを避けるからである。
そういう隔絶された空間を利用する場合、やはり自分以外の人間と共有する空間としては使いづらい、少なくともメインの用途としては自分独りが篭もるための設計を目指す方が理に適っている。

別に再生音楽リスナーでなくても独りで篭もりたいという欲求は古今東西存在する。家を建てる時に夫が書斎を欲しがって揉めるのはよくある定番の問題となっているし、落ち込んだときに「独りにして欲しい」というセリフはよく聞かれる。
独りに隔絶されたいというのは自分が耽るために必要だからだと思われる。
音楽を聴き耽るだけでなく、歌う演奏する。書物や情報端末を読みふける。嗜好品をたしなむ。絵や書をかいたり、物を作ることに没頭する。様々なことに思いをふける。激しい運動は無理だとしてもストレッチやヨガなどで体に心を通わせる。そういったものに耽る、または意図的に何も考えないような行為(いわゆる瞑想)に最適化した部屋にすることがリスニングルームに相性がいいのではないのかと思えてきている。

脳に入力する・・・読む、観る、聴く、食べる、飲む
脳で熟考する・・・過去を内省する、未来に想いを馳せる、瞑想する
脳から出力する・・・書く、描く、歌う、弾く、作る、体を動かす、表現する

こういった行動の大部分は別に特別な部屋がなくても可能ではある。だが、一般的な外界と隔絶されひたすらに自分に向き合える空間であればこそやりやすい、捗る、新たな境地で行えるのではないだろうか?
リスニングルームに他の機能を持たせるとしたら応接よりもこういった行為を行うことを支援するような部屋にすることが良いのではないか?
上記したような行為はありふれた物ではあるが人間としてかけがえのない営みであろうと思う。その環境を大事にするというのはオーディオ趣味の人間が高じて専用室を造るという行動から一歩進んだ、多くの人に理解される余地のある行動ではないだろうか?

オーディオリスニングの音質というものの大前提は自己完結であり自己満足である。
科学的であろうが独善的であろうが、その上位に自分の満足が存在する。
客観的にどれだけ良かろうが悪かろうが所詮は自己満足を達成できているかが一番の大事である。
音質を良くする為の部屋というのは大事ではあるが、上記に挙げた脳の入力、熟考、出力を支援するための部屋という発想を取り入れて「音の良い部屋」から「人生を豊かにするための部屋」への発想の飛躍をしてもよいのではないかという考えに至っている。

リスニングの姿勢は基本的に座位であるが、姿勢を正したい時、リクライニングしたいとき、横になりたいときがあるように、その他の脳の入力、熟考、出力をする際に最適な姿勢は様々である。脳は働くけれども体が疲れているときは横になりたいし、体が元気を持て余しているときは歩き回りながら考えたいとなる。
コンディションに応じて姿勢を変えることに対応できる部屋が良い部屋、使い易い部屋、満足度が高い部屋になる気はしている。
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自分はどういう響きにしたいのかを纏めてみる 2021.7

2021-07-16 13:10:22 | オーディオ
割と書き残したtipsがバラバラになっているせいで、どうしたら良いのかというのが自分でも覚えていない感じになっている部分もある。

結果的に自分はどういう響きを理想とするのかというのを過去の書き残したtipsを見直しながら考え直してみたいと思う。

まずBlackbird Studio Cのような床以外高度な拡散をする部屋からの引き算で考えた方が早そうと思われる。
全面を高度な全拡散をすればある程度の問題を改善できるが、早期反射音が無くなってしまうことになる。
早期反射音がなくなることでS/Nの分子が減少するので明瞭さが落ちる可能性がある。
早期反射音がなくなるとASWの効果が得られないことになり、音像の幅が極端に狭くなることになる。
音源の中に収録された音像の幅があればそれを知覚はできるし、モニター用途であれば部屋によって作られる音像の幅は不要なのかもしれないが、リスニングルームの場合はあっても良いと思う。
なので拡散自体は肯定するけれども早期反射音なくすほどの拡散は大変だからしなくていいし、むしろ残したいというスタンスにはなる。

・ITDGは床以外で5ms程度は確保するがそれ以上は無闇に追わない。
・初期反射音はまず取捨選択する。スピーカー側の側面は残すが、反対側と後壁は拡散と屈折で排除する。天井と床はそれほど有害ではないので若干の拡散のみとする。天井や床で高度な拡散吸音は現実的ではないのも加味する。
・側面の反射音は時間軸の分散を行うことを目標とし、スピーカーの外側からの時間的に偏り無く分散された反射音がなだらかに減衰するように到来するように設計する。反射音の周波数特性をなるべく変えないようにする。
・正面壁の初期反射音は音像の近さや圧迫感の原因となりモニター用途ではあまり好ましくないものだが、リスニングでは個人の好みで音像の近さが好ましいと感じる場合がある。個人の嗜好も変化するので、現時点で一つに規定するよりも調節しながら決定していくのが良いと考える。
・他の壁はシミュレーションできる二次反射音を除いて、基本的には残響成分を作り出す目的を考慮する。500~2000HzがLEVを作り出す周波数のためそれらの1/4波長である4.5〜17cm程度の拡散体を利用する。その周波数を処理できれば材質や剛性は多少の範囲で妥協する。
・拡散処理の面積に制限がある場合は側壁後壁の耳の高さかその上方を優先する。
・拡散でも多少の吸音効果があり、最大限拡散の副産物の吸音で対応するが、拡散処理を行った上で吸音が必要な場合必要な部位に吸音を行う。
・定在波は部屋の寸法比が問題なければ多少の山谷はあまり気にせずいじらない。
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リスニングルームの高域が減衰しやすいことについて考える

2021-07-13 17:43:30 | オーディオ
 リスニングルームで内装で音響に配慮すればするほど高域の反射音、残響音が減っていく傾向は気付いていたが、そこについて掘り下げてみたいと思う。
 高域は簡単に位相が変わるし吸音も楽なのでそもそも中低域に比べて消しやすいのは当然ではある、そして高域のまとまった反射音がダイレクトに耳に入った場合は高域の指向性の高さ故に耳障りな印象もある。なので反射音や残響に関して高域が少なければまろやかな響き、温かみのある響きという印象として好意的に解釈されてきたのは否めない。
 ただ高域の反射音の耳障りな印象は拡散するなり一次反射面だけ吸音するなりでかなり解消できるので、耳障りだからと反射音で高域ばかり減衰するのを手放しに受け入れて良いのかと思えてくる。
 そして高域の残響音の少ない室内空間だと響きも含めた音の総量が少なくなる。周波数特性的には右肩下がりの音になる。真空管やLP時代のように高域が鈍った音は聴感上そんなに悪いものではないが、「あえてそういう特性にする」のか「それ以外に手段がない」のかでは幾分意味合いが変わってくると思う。採用するか否かは別として高域だけ減衰が多くならない手段もあるべきだと思う。
 さらに自分自身の聴力の問題もある。今後高域が聞こえづらくなってくることが想定されるため、高域が響かない環境だと余計に聞こえづらくなる可能性がある。

ではなぜリスニングルームで高域が減衰してしまうのか、原因を列挙してみようと思う。

・木材の壁や床
木材の吸音率、反射音の周波数特性は案外にはっきりとした定説が少なく、その原因として木材の種類や板目や柾目などの目の向きよって結構特性が変わるからであるようだ。
ただ調べた範囲では全体的な傾向として反射の際に高域が多少吸われてしまう傾向があるようだ。
そして拡散しようとすると拡散する際に複数回反射されることが多い。乱反射する度に高域が吸われるのでシンプルな反射よりも高域の減衰が顕著になりやすいと思われる。

・木の塗装
内装木材が住宅で無塗装で使われるのは少ないと言わざるを得ない。塗装は木材の内部摩擦を増大させるので高域の吸音率は高くなりやすい。
上記の理由で何度も反射した時にその影響は無視できない。

・音響調整材の寸法
拡散体にしても吸音材にしても縦横高さの寸法で大抵いずれかの部分が数センチ程度の大きさになることが殆どである。逆に言えば縦横高さ全て10cmを超えるような物体を住宅の部屋の音響調整に使うことは現実的ではない。
拡散体で言えば溝の幅であったり木材の幅であったりが1〜数センチであることが多く、それ由来の位相差が出やすい。3400Hzの位相は5cmで反転するし、6800Hzは2.5cmで反転する。高域が材料の寸法由来の位相差で減衰しやすいと思われる。

・拡散効果の副産物
拡散は反射の方向を全方向に分散させることが基本的な目的ではあるが、それを達成するときに数センチ〜十センチ程度の位相差は大抵の場合生ずることになる。それによる高域の場合吸音効果を多少は発揮してしまうことになる。

こう考えると寸法や拡散効果の副産物は仕方ないにしても拡散体の材料はどうにかできないかなと思えてくる。
反射の度に高域がゴリゴリ減衰されるのを避ける意味で石材や金属材などを使用するのもありなのかもしれない。
コンサートホールなどの大空間と比べてリスニングルームの響きの成分は反射回数の多い反射音が多く占められている。なので反射時の損失をより敏感に考える必要がある。
加工が木材より困難なだけに視覚的にまともにはできないが、仮想ルームのように棚に設置でき、格子で見た目を遮蔽できることを想定して石や金属で音響調整することを考えてみる。

・庭石
大きめの砂利を接着剤やセメントなどで接着させ内部をスカスカになるようにして積んでいき、それにより反射のタイミングや方向を複雑にさせるという案である。
当然ながら壁掛けするには脆く、棚置きができることが前提のものとなる。
うまく二次元QRDのように積めるのかという疑問と手間がかかりそうというのはあるが、コスト的には計算が容易で安価と思われる。

・鎖
金属材で反射が複雑で変形させやすく透過もさせやすく安価なものというと鎖が挙げられる。鎖をうまく複雑に張り巡らせれば拡散体として使えるかもしれない。
ただ、揺れ動きやすい構造なので音響エネルギーを鎖の振動に置換されやすいような気もする。また金属は共鳴しやすく、鎖の単位の大きさも一定なので特定の周波数に影響を及ぼしてしまうかもしれない。

・コンクリート
シリコンで拡散体の型を作ってそこにコンクリートを流し込む方法である。二次元QRDなどをコピーする型として利用する。
型を作ることさえできれば拡散体の量産が容易にはなりそうである。
安く作れそうでもある。

石を接着剤で付けるか、型取ってコンクリートのQRDを作るかあたりが有力そうな気がする。
石材を使うとしてもアクセント程度に留め、全面的に使うのは避けた方が良い気がする。鍾乳洞の洞窟のように形態を複雑にしても石の表面が多すぎると中低域の残響が長すぎることになりかねないからだ。
ツイーターの高さ付近で割と近い壁を中心に設置してみても良いのかも知れない。

ただ石材の拡散体を多量に使用し、初期反射音のきつさはないけれども響き自体は長いという状況にして、そこから厚い吸音材を散発的に設置しつつ調整するというのを理想的には試してみたいとは思っている。
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格子戸の詳細な設計を考える

2021-07-05 21:15:47 | オーディオ
音響調整材の視覚的遮蔽かつ若干の拡散効果を期待して格子戸を仮想ルームで多用する設計としているが、格子にもいろいろなパターンがありどのような設計が良いかを考えてみることにした。
格子は細かければ細かいほど遮蔽効果が高く、格が高いと言われているが、拡散体として使うことを考えれば細かい方が拡散の効果は高そうに思われるが、大きくて粗い格子の方が剛性が高い方が予期せぬ共振が減るので無難かもしれない。
今回の仮想ルームは吸音、反射、拡散を可逆的にコントロールすることを旨としているので、格子自体に拡散効果を期待するよりも、格子の内側に音を透過させる役目の方に重点を置いてもいいのかもしれない。
格子戸の枠の設計をしてみる。幅は90cmの場合を想定した。



格子の長さを微妙に変えているのは共振周波数をずらすためである。下の方が長い方がデザイン的なバランスはとれるのかなあと思う。

透過性を重視して格子の太さを2cm格子の間隔を4cmとして設計してみる。



雰囲気は良い感じだけど、やや細かすぎるか。
太さ3cmで間隔6cmと比較してみる。



若干野暮ったくはなるが剛性としてはこちらの方がいいのかもしれない。

カリモクの3Dで一部組み込んでみる。

まあ普通かな。奥の物を遮蔽する効果はあまり高くない。場合によっては格子戸の後ろに障子の代わりにジャージークロスを後付けで留めるという選択肢もあり得る。
音響を透過させつつ、光を透過させないようにしつつ、あまり高コストにならないバランスはなかなか難しい。
奥側を無塗装にしておくと格子戸が遮蔽効果少なくても目立たないか。


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仮想リスニングルームの内装微修正とリビングシアター兼用

2021-07-04 14:18:30 | オーディオ
正面壁の色調をもう少し調整。
飾り棚が主張強すぎたかなと思い白に設定。
上に行くほど色が白に近づき、中心に近づくほど白に近づくような配色にして流れを作ってみたら割と違和感が少ない感じになった(個人の感想だが)。


以前にも記載したが府中の森芸術劇場ウィーンホールと

引用:府中の森芸術劇場ウィーンホール

慈照寺(銀閣寺)東求堂の書院のデザインをモチーフにしている。

引用:ザ・京都

引用:四国新聞


この仮想ルームは基本的にはシアター用途を考えてはいない。
マルチチャンネルの音を頑張ろうとするとスピーカーの設置面積が馬鹿にならないし、大規模なマルチチャネルの場合、残響や反射音はDSPとサラウンドスピーカーによって人工的に付与されるので、音響はデッドであればそれ以上を求めなくてもよさそうなのでコンセプトと合わない。
シアターの場合遮光が第一なので光を取り入れる設計とも合わない。
ただオブジェクトオーディオの音楽配信が始まるなど音楽鑑賞でもマルチチャネルがある方が良い時期がくるかもしれない(今までも来そうで全く来なかったが)。
なのでリビングシアター的なカジュアルなマルチチャネルシステムを後付けできる余地があってもいい。



ただ今回の仮想ルームにカジュアルシアターの導入は比較的容易である。
高所作業用通路に電動巻き取り型のスクリーンを設置し、後ろ側の手すりの格子にプロジェクターを設置できる隙間を設ければプロジェクターとスクリーンは設置できる。
そして作業用通路を通して配線すれば別に埋め込みしなくても目立たないように各所と配線をつなげるることができるので特にCD管を通すなどは必要ない。
センタースピーカーはファントムにせざるを得ないにしてもサラウンドやサラウンドバックは格子戸の内部の棚にならスペースを占有せず、目立つこともなく設置できる。
天井スピーカーもリブに吊す形で設置ができ、それが危ないと感じるのであればリブの上の音響調整材を置くスペースに奥行き20cm以内の天井スピーカーを任意の位置に設置できる。

任意の位置に音響調整材を設置出来るというコンセプトのリスニングルームは小型スピーカーも任意で設置できる訳で、
そういう意味ではフロア型を使わないマルチチャネルであれば割と導入しやすく、最初から特別な準備をせずとも、後付けでもチャンネル数の大きいシステムを導入できると考えられる。
最新の映像伝送は長尺に制限があるのでプロジェクター近くの高所にアンプを置くのがいいのかもしれない。
配線が高所作業用通路を通ることもあり司令塔は高い位置にあった方が都合が良い。
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内装色を検討する

2021-07-03 06:06:04 | オーディオ
前回のモダン書院造りを前面壁とした仮想リスニングルームはそれなりに機能性とデザイン性を考慮して設計したが、
デザインしている内に、この正面壁に面と向かって長時間いるのってどうなの?と思えてくる。

配線を目立たなくするために壁を黒くするのは下のほうだけでも問題ない。
書院造りは若干堅苦しい。
現代人はもはや和室に落ち着きを感じる訳でも無い。むしろ場慣れした洋室の方が落ち着くのではないか?
むしろコンサートホールのような内装色の方が音楽に集中する分には良いのではないか?


引用:府中の森芸術劇場ウィーンホール

色調的にはクラシカルな感じで配線を隠すために黒は入れたい。黒を入れれば入れるほどモダンな感じにはなり易い。
そのあたりを考えてみる。

コンサートホールを想起させつつ、光の演出としてもやりやすいため高所の壁は白でいいだろう。
今回は多くのコンサートホールに倣って側壁も木の色を活かした内装とする。
木の色の格子戸が引用した府中の森芸術劇場ウィーンホールの凹凸のある側壁と似せたデザインになっている。


正面壁を試しにホワイトマーブルのタイル貼りとするシミュレーションをしてみた。
機材が置かれるであろう再下方はケーブルの遮蔽のため黒のタイルと設定してある。
これはこれで良い気もするが、割と普通すぎる感じか?棚に音響調整材を置くのも悪目立ちしそうなのが懸念になる。

いろいろ色をいじっているうちに、下方に暗い色、上方に明るい色を設定すると重心がしっかりした感じになる。飾る物によって映える背景の暗さが異なるので白背景、グレー背景、黒背景があると良さそう。
という感触があるので色を段階的に暗くするように設定した。







割と凡庸でクラシカルな配色だが合理的で悪くはない感じかな。
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和風モダン仮想リスニングルーム調整

2021-07-02 00:43:42 | オーディオ
和風モダンのデザインで細かいところを調整してみた。
カリモクのホームページは素材を工夫して使用すると割と自由度があっていじりがいがある。

まずは床の間をより書院造り風にしてみる。違い棚をモチーフにして音響調整材置き場兼飾り棚をデザインしてみた。
床の一次反射面も拡散を期待した格子を付け、その床下空間で反射を調節する材料を入れるためのスペースとしている。


採光の入り方もすこし雰囲気がでるようにしている。


天井は左右にコーブ照明を入れているので照明効果を考えたリブの設計に。
リブの上に吸音材などを配置できるのは今まで通り。


側壁の格子扉の内側の棚はかなり簡素な物になっている。
リスニングルームとして自分が考えるベストな部屋は音響調整が容易に支障なく行える部屋と考え、壁面に棚を敷き詰めたルームがいいと考えた。
その棚はどのようなものが良いかとデザインを考えていた。棚自体が間隔が広く深いリブで若干の拡散効果があるので細かく板を入れ込むのがいいのかと思っていたが、
今回の部屋は調整を行えることがコンセプトなので棚自体の拡散性はあまり求めない構造を求めた結果こんな感じのスカスカの棚になる。


格子戸でほとんど隠れるので棚のデザイン性を無視できる。ツーバイ材で柱を作ることも想定しており、造作家具というより下地材のような低コストのものでも可能である。
そして棚自体が作業用通路の足場を支える柱の機能もしている。



後方の作業用通路への階段は一部を外し固定式とすることを止めた。
固定式階段は固定資産税に含まれる可能性があることや、部屋面積が狭くなったり、左右対称性に支障が出たりすることもある。
布団収納用の押し入れの上に上がるには可動式の脚立などを使用し、その上には固定式階段があるような感じだ。
メンテナンス時以外使わないのでこれくらいの不便さは問題にならないだろう。



小上がりの床座スペースから見た感じ。




今回のデザインは合理性を追求したのでそれなりに無駄は少ないと思われる。
・格子の多用は音響効果と音響調整材の視覚的な遮蔽効果と和風モダンの印象効果を兼ねている
・床の間は音楽鑑賞中に視覚の観賞を行う機会を提供する場となり、蹴上げ床は機材の振動を絶縁する目的も兼ね、飾り棚で音響調整を行う。
・作業用通路はそれ自体を拡散体としつつ、高所の音響調整を容易にし、採光用の高所窓からの光を演出的に取り入れるための工夫を行う余地がある。
・天井リブはそれ自体の拡散体としての効果とリブの上にさらなる音響調整材を置けるスペースを作り、天井の調音の機会を身近にさせる。天井を照らす間接照明の光をさらに演出的にする効果も期待できる。
・小上がりの後方スペースは床座で音楽を聴く、横になって音楽を聴く、お茶を飲みながら聴く、小上がりの立ち上がりの部分に座って音楽を聴くなど鑑賞するスタイルの多様化と居住性の改善を期待できる。

新規に作らなくても中古住宅の吹き抜けのあるLDKを潰せば出来ないかなとも思っているが、まああまり現実化を望むのは困難かもしれない。
今後の課題としては和風モダンデザインとしては正面壁がやや癖があるので、他にやりようないか検討の余地がある。
格子戸は視覚的遮蔽と音響透過性があればいいのでフレームにジャージークロスを貼ったようなものでも機能する。家風モダンではなく洋風でのデザインにも挑戦したい。
3Dで部屋のデザインができると、こういうのを考えるだけでも趣味としてはかどる。
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