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モッチリ遅いコメの距離感

オーディオルーム、シアター、注文住宅などに関してのblog。

書評:「音響聴覚心理学」 誠信書房 大串健吾

2022-03-29 09:29:48 | オーディオ
音響心理学の本について一度読んでみたいと思い標題の本を読んでみた。

実際の所はどうなのかは不明だが、非専門家が一読した印象としては基本的には大学レベルの教科書という印象の書籍である。
幅広い観点からの基本的な学術的観点が網羅されている。非専門家にはやや難解な点も多く、100%理解しようとすると厳しい印象がある。発行が2019年であり情報として新しいのが素晴らしい。

「心理学」と銘打っているものの、非専門家からしてみると生理学的な内容が多く感じる。一般的なイメージの心理というより感覚の部分を多く扱っている。そのため、一般人のイメージする心理学というファジーなイメージと違って、数値や数式や図表などが多く扱われており、信頼性や客観性が相当に担保されている情報を扱っている。

オーディオに関連するような項目はあまり多くはない。実際にオーディオに直接活かせるような知識も少なかった。聴覚に関しての基礎的網羅的な知識を備えておくという意味では良い本であるとは思われる。
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ライブな部屋で高域をイコライザーかけるべきかを考える。

2022-03-15 21:31:38 | オーディオ
今回の疑問点に関しては専門家が答えを出しているかもしれないが、自分がその答えを見つけられているわけではないので、疑問だなというだけで答えはない。

音楽鑑賞において、部屋の響きがある程度存在することが望ましいとは常々言われている。
そして間接音というのは基本的には中低域よりも高域の方が減衰しやすい。
なので響きも含めて周波数特性を計測すればハイ下がりのデータが出てくるのは必然となる。

ただし、製作現場では果たしてそうなのかというとやや疑問である。
スタジオは割とデッドな環境が多いため、間接音が少ないと考えられ、ハイ下がりの間接音が少ない現場で音楽が作られやすい。
そもそもライブなスタジオであるにせよ、デッドなスタジオであるにせよ、イコライジングによってスタジオの周波数特性は平坦化されることが多い。
なのでリスニングルームのようなハイ下がりになっているとは想定しづらい。

また、ヘッドホンでのマスタリングにおいても、ほぼ直接音のため、これもリスニングルームのハイ下がりが反映されていない可能性が高い。

リスニングルームで高域がなまることを予測してハイ上がりにマスタリングしてくれている可能性もあるが、ヘッドホンリスナーのことも考えれば、そこの配慮をすることが絶対的な正解とは思えない。

つまりスタジオでのスピーカー、ヘッドホン、リスナーでのヘッドホンではハイ下がりにならず、リスナーのスピーカーでのリスニングにおいてのみハイ下がりになるということになる。
これは当然のことと受け入れるべきものであるのか?部屋の響きがある方が良いというのは高域がなまってまろやかな音になるからなのか?どちらかというと高域減衰は副作用であり、主作用は間接音による音の適度な厚みや音源の幅や音の広がりなどであろう。
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個人のオーディオリスニング環境にとって必要な要素を整理してみる。

2022-03-04 18:06:41 | オーディオ
 今までも音が良い、部屋がいい、システムがいいということについて考えたことが何度もあった。その際に1つの要素が良いだけでは良い訳ではないだろうという結論にいきつく事が何度もあった。

 どういう要素があれば良いのか、それだけではいけないのかについて整理できるのではないかと考えたのが今回の記事である。

 検討の結果、以下の5つの項目がどれだけ達成されているかがリスニング環境の評価項目になるのではないかと考えられる。

・物理的特性
・心理的効果
・室内環境
・愛着
・可変性


・物理的特性
 オーディオにとって特性は客観的評価として主要なものである。これを無視したシステムが良いというのは独りよがりな評価と言わざるを得ない。
ただ、特性の良さだけを追い求めたシステムを最上と評価する人が少ないのも事実である。
特性はオーディオ環境の一要素として重視すべきものと考えられる。

・心理的効果
 当該環境でオーディオリスニングを行った場合のエモーショナルな作用、感動させられる、心にしみる、おおっと思わせるなどの心理的作用がどの程度あるかという評価である。
物理的特性の項目によっては心理的効果と相関関係はあり、特性と心理的効果は明確に分離できるものではない。
ただ、音を歪ませることでもプラスの心理的効果が生じることがあるのはギターアンプなどにより実証されているのが事実である。そのため、ある程度の音源の忠実再現が求められる再生音楽にとっては、物理的特性と心理的作用はある程度分けて評価すべきもと考えられる。
 特性や他の項目が優れていたとしても心理的効果が低いものは「悪くはないシステム」という評価に落ち着いてしまうだろう。
 ただ心理的効果のみを追求したシステムは「個人の好み」だけに依存した独りよがりなシステムと言わざるを得ない。そしてその独りよがりなシステムのオーナーも人間である。人間は使っているうちに飽きてきたり好みが変わってきたりする。
 独りよがりなシステムでオーナーの好みが変わってしまった場合、それを好ましいと考える者が皆無になってしまうため心理的効果のみを追求したものは望ましくないと思われる。

・室内環境
 オーディオシステムとして特性が良く、出音の印象も素晴らしいと思えるものがあったとする。その特性や心理的効果を追求するあまり、その室内環境が悪くなってしまう場合がある。
 個人のオーディオリスニングは業務や修行でやっているわけではない。音が良いなら苦痛も受け入れなければならないという類いのものではない。なのでリスニング環境の居住性が良好でなければならない。
 そもそも居住性と物理的特性や心理的効果は完全に相反するものではない。物理的特性や心理的効果にわずかな妥協を行いつつ工夫を行えば室内環境と高いレベルで両立が可能なはずである。なので居住性を無視して音を追求すべきではないと考えられる。

・愛着
 理想とするオーディオ環境は人によって十人十色である。物理的特性が優れていて、心理的効果も高く、室内環境が良いというものを設計することは恐らく可能だろう。ただその条件を満たした1つの環境が万人にとっての至上の環境かというとそうではないだろう。
 それに一時はその人にとっての至上のシステムであったとしても未来永劫に至上のシステムという訳でもないだろう。
 結局のところ個人がその時点でどれだけその機器や部屋に愛着を持っているかという要素がその時点での良い環境かどうかに大きく関わってくる。どんなに良い機材でも所有者が使いたい所有したいと思わなくなったら本人にとっては至上のコンポーネントとは言えないのである。現に大抵の名機は中古に出ることを考えればその要素は無視して良いとは思えない。

・可変性
 上記でも述べたように個人の趣向は変わるので、過去での最高の解答と言える環境を揃えられたとしても、未来にそれが最高であり続けるとは限らない。
 そもそもオーディオ機器も技術の進歩により最高の機材は更新されるし、音響理論も新しくなっていくため、部屋の環境も未来の最高の環境が今と同じとは限らない。
 そういった意味でも機材の更新のしやすさや室内音響の調整のしやすさなどが必要であると考えられる。(一度搬入したら搬出できなくなる機材などほぼないので、基本的には部屋の話にはなる。)


今のシステムは自己採点100点満点で採点するなら
・物理的特性:50点
・心理的効果:45点
・室内環境:30点
・愛着:40点
・可変性:25点

くらいだろうか。あまり今の環境をよしと思っていないんだなと自覚している。
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